表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラップマスターのゲーム記録〜バグ処理のために転生します〜  作者: 鳶崎斗磨
第二章 最弱職の最強者
34/56

第33話 トラップマスターの脱獄⑤

「キュウビ、お前……」


「どうした」


「そいつ、魔物(モンスター)、なのか? 」


()モンスターだ。今は従魔にしている」


 ノーグリードの前でいきなり従魔を召喚したのは、まずかったか。

 従魔召喚なんて、ゲーム上大したことではないと思うが。


「無念ながら、我はこやつの従魔だ。して、貴様は……ノーグリード、と言ったか? 」


「やっぱり喋るんだな、このモンスターは!? 」


 デュラハンは通常人間語を喋るモンスターじゃないはず。

 しかし、こいつは例外。人間の言葉、魔物の言葉をどちらも会得している。


 驚くのも無理はない。


「我はデュラハン、不死族(アンデッド)を統べる王である! 故にノーグリード、貴様、我の友になるが良い」


「不死族、だと? 」


 ノーグリードはデュラハンの名乗りを聞き、しばし固まった。

 そして(おもむろ)に大剣を構え、再度戦闘態勢に入る。


「貴様、何のつもりだ」


 剣先を向けられたデュラハンの表情が、一瞬にして強ばる。


「昔な、俺の目の前でお袋が斬殺された。不死族の、《スケルトン》にな」


「ほう、それがなんだというのだ。それはそれは残念であった、としか言いようがないのう」


「ああ、残念だ。だからこそお袋を殺した不死族は、何があろうと俺の最大の敵だ。不死族の王、でもな。第一、誘いは死んでもごめんだ」


「ふふっ、そういうことであったか。なら、()()()()、友になるのう。我の力で生きる屍としてやらんこともない」


 ケラケラと、デュラハンはせせら笑う。

 挑発すんなよ、このあほんだら!


 それと、生きる屍にするって、お前にそんな力あったか?

 闘争になりつつある場面で、俺はとことん疑念を重ねてみせる。


「八つ当たり上等だ。積年の恨みを果たさせてもらうぞ!! 」


 挑発に乗る、というより互いが宿敵同士であるかのように、二人は身構える。


 ノーグリードは『バルガノム』を両手に、神経を研ぎ澄ましている。

 一方でデュラハンは、白銀の矛を片手に何やら詠唱を始めた。その直後、デュラハンの下方に大きな紫色の魔法陣が浮かび上がり、そこから先程と変わらぬ外見の黒い馬が現れていき、デュラハンを跨がせた状態で完全に姿を現した。


「ブルルッブルルルル」


 馬の言葉が分かる訳ではないが、「よし、やるぞ」といった心構えの表れのように思える鳴き声だ。



 実に、厄介なことになってしまった。



 双方、恐らく聞く耳がない。


 言い聞かせられないのなら、実力行使だ。

 そう考え、俺は「罠作成MAX」スキルで至急とある罠を作ることにした。


 なにせ、荒くれ者のこいつらがこのまま収まるはずはないのだから。



「貴様は我の敵だ。葬る! 」



「死して償え、不死族! 」


 案外早く始まった。



 でも、俺を―――トラップマスターをなめるなよ。


 作り終えた罠を「罠設置MAX」スキルを使って、離れた距離から二人の間に仕掛ける。レベルMAXになると遠距離からすぐに設置できるようになったため、この上ない便利の良さである。それで、仕掛けたのはまあまあでかい罠だから、大抵引っ掛かる。



「うグッ!? 」


「し、痺れて、動けねぇ……っ」



 そうです。


 お手軽にできる、『痺れ罠』です。


 ただし、そこら一般の『痺れ罠(C級)』と一緒にしないで欲しい。


 これは、『ビングの牙(E級)』を加えて作った、『痺れ罠(C+級)』だ。効果的にはB級に近い。


 ただの『痺れ罠(C級)』だと威力も弱く、効果切れは早い。

 しかしこの『痺れ罠(C級+)』は、錬金することによって効果を一時倍増する『ビングの牙』により、威力は格段に跳ね上がり、効果時間も延びている。


「罠作成」スキルは、「錬金術」とよく似ており、錬金が可能なアイテムは、アイテム同士で罠以外の他アイテムを作り出す「錬金術」のみならず、アイテム同士を組み合わせて罠のみを作り出す「罠作成」でも同様に組み合わせが可能という判定が出ている。


 とても曖昧な設定。でも、今回みたいに大いに助かってる。



「揃いも揃って脳筋バカかよお前ら。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ