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トラップマスターのゲーム記録〜バグ処理のために転生します〜  作者: 鳶崎斗磨
第二章 最弱職の最強者
32/56

第31話 トラップマスターの脱獄③

 〖キュキューーーー!? 〗



 〖おい、ヒビキとやら! 我は、我らは浮いておるぞ!? 〗



「あーそうだなー」



 〖なんだその反応は! 怖くはないのか、この、奇人め! 〗



 なーにが奇人だ、デュラハンめ。


 こんなの、俺みたいなジェットコースター好きにはもってこいの良い機会じゃねえか。

 着地も危険じゃないと分かったから、怖いものなしだし。


「あ、もうすぐ落ちるぞ」


 〖だろうな! 〗


 デュラハンは、なんかキレている。

 もしや高所恐怖症かぁ?


 言った矢先、スライム性の膜に包まれた俺の体はどんどん地上の方へと斜めに降下し始める。

 ノーグリードの姿は……すぐに見つけられた。


 あいつは、着地点に這いつくばうようにして転がっている。


「言い訳、できるといいな」


 叶いそうもないことを小言で告げた直後、俺の体は地面に叩きつけられた。


 ノーグリードがそこに転がっているというのに、盛大な衝突音と共に落下地点に多少の窪みを作ってしまった。その間は抗うことは出来ず、なされるがままに俺は着地の反動で前方へと転がされる。


 普通ならばここで息絶えるものだが、膜のおかげで無事である。

『高性能移動専用大砲(S級)』。便利過ぎて助かる。


 痛みすらないのは本当にありがたい。


 〖我は今、身を隠しているゆえ痛みはないが……ヒビキとやら、いや、ヒビキ。貴様はどうして五体満足なのだ? 本当に人間か? 〗


「はっはっはー。凄いだろ、そうだろう。これも、俺がトラップマスターたる所以だ」


 〖聞いた我が阿呆だった。そうよのう、我が友よ〗


 〖キュキュ〗


 なんだなんだ、白兎までデュラハンに味方するのか。


【しょうもない話はここら辺で区切りましょう。とりあえず、ヒビキ様、あそこに転がっておられる方のステータスを一度確認なさって下さい】


「別にいいけど」


 俺は何食わぬ顔でノーグリードの元へ近付き、「ごめんな」と一声かけて、ステータス確認を行う。




 ______________________________

 ______________________________




 〘ノーグリード 23歳 男性〙 【種族】:人間(NPC) 【職業】:剣士


 Lv :92


 HP :58/13480


 MP :480/1084


 筋力 :2810

 

 耐久 :1305


 魔力 :820


 敏捷 :2469


 幸運 :13


【状態異常】


 気絶


【スキル】


「白魔法Lv27」「風魔法Lv45」「剣術Lv82」「加速Lv13」「鍛冶LvMAX」「家事Lv80」


 スキルポイント:10


【特殊】


 なし


【称号】


「竜殺し」「影の英雄」




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 ______________________________




 え……。



「『鍛冶』スキルがMAXで『家事』スキルが80、だと!?」



 ノーグリードがこんなスキルを会得し、レベルを上げていたとは知らなかった。一度もこいつのステータスを見たことがなかったってのが実情である。


【驚くのはそこではないですよ! ちゃんとHPを見てあげて下さいね】


 HPがどうした、



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 ______________________________



 HP :58/13480


 ______________________________

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 あ、これは大変だ。


 大急ぎでアイテム欄から、事前に錬金して50個ほどストックしていた、半透明な水色の液体が瓶に詰まった『大回復ポーション』を取り出し、ノーグリードに向かって使用する。


 瓶の中が空になると同時に、ノーグリードの体全体が淡い水色のオーラに包まれ、やがてそのオーラは消えた。



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 HP :13480/13480


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 見事に全回復している。『大回復ポーション』の効果は個別対象となってはいるものの、対象のHPを全回復させるといった絶大な効果を含蓄している。


 しかし、このポーションを作るのにどれだけ苦労したことやら……。


 一つ作るのに、『薬草(G級)』『マンドラゴラ(B級)』『エンジェル=キメラの羽(A級)』『ピピルートの肝(A級)』をそれぞれ10個ずつ必要とする。


 できることなら、このポーションはあまり使わない方針でいきたい。

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