第15話 加護の恐怖
「なんだこれはっ」
目を疑うほどのスキル量とそのレベル。
けど、俺の目が真っ先に向かったのは『「女神の加護」』の部分。
メッセージの冒頭あたりに「女神の加護」がどうたらこうたらと書いてあってからだ。
「フィーさん、説明頼む」
【えー、ではですねー、まずは御自身のステータス画面を見て下さい】
視界を覆うようにして開かれた画面の中から、俺のステータスが表示された画面を指でなぞって見やすい位置に持ってくる。
その画面の下部を見た瞬間、俺は唖然とした。
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〘ヒビキ 18歳 男性〙 【種族】:人間 【職業】:トラッパー
Lv :99
HP :9500/9500
MP :6200/6200
筋力 :1530
耐久 :1053
魔力 :3820
敏捷 :4900
幸運 :12
【状態異常】
普通
【スキル】
「罠作成LvMAX」「罠設置LvMAX」「毒耐性LvMAX」
「防護術Lv52」「隠蔽Lv64」「千里眼Lv22」「錬金術Lv90」
「疾走Lv38」「強固Lv52」「暗視Lv40」「危機感知Lv3」
「水魔法耐性Lv80」「黒魔法耐性Lv80」「光魔法耐性Lv80」「土魔法耐性Lv80」「風魔法耐性Lv80」「白魔法耐性Lv80」
「従魔召喚Lv?」(召喚時──『ナックル・ラビット』30MP)
スキルポイント:80
【特殊】
「女神の加護」
【称号】
「ボス殺し」「トラップマスター」
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白兎の仲間たちに「防護術」を使ったり、魔剣を作るのに「錬金術」を使ったりして少しはMPを消費したはずなんだが、なぜか回復してる。それにバジリスクのスキル、メッセージの通りに追加されてる……冗談じゃなかったのか。
しかしなぁ。どうも、「トラッパー」らしからぬスキルだらけ。
良いのか悪いのか、区別ができない。
持ってて損はないというもったいない精神がある一方で、宝の持ち腐れになる、そんな気がしてならない。
「ステータス、開いたぞ」
【それでですね、お次は特殊と書かれたところの「女神の加護」を見ていて下さい。その効果を詳しくお伝えしておきますので】
それにしても、今からか。
もっと早く教えられただろうに。
別に危害を被ったわけでもないから言及しないが。
しばしの間待っていると、ステータス画面の【特殊】に記載されていた「女神の加護」の下に、様々な効果が箇条書きで表されていく────
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【特殊】
「女神の加護」
○「女神の加護」詳細
・HP自動回復《「発動条件」:HP減少「効果」:1秒毎に5P回復》
・MP自動回復《「発動条件」:MP減少「効果」:1秒毎に5P回復》
・スキャリング《「発動条件」:魔物討伐「効果」:対象のスキルを奪取。固定スキルの奪取不可》
・女神の祝福《「発動条件」:女神に慈悲を乞う「効果」:能力値倍加》
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知らぬ間にHPとMPが全回復してたのには、これが原因だったのか。
いくら加護だからって、それじゃあ俺の力量を試せねぇじゃん。
そして、最後の「女神の祝福」ってやつ。
能力値を弄る必要なんてないとあれ程言っておいたのに。ましてや「女神に慈悲を乞う」だなんて、万が一にもありえない。
見縊られては困る。
これはないものとして考えよう。
【ご覧の通り、私からの加護により4つの効果が期待されます。今しがた発動したのはスキャリングですね。それだけで世界観を壊しつつあるのは否めませんが……あくまでもバグ処理のため。仕方の無いことなのです。もちろん、私が崇められることも。ええ、仕方が無いのです】
せせら笑っている女神の様子が容易く想像できる。
バグ処理のためとか言いつつ、実は自分が崇められたいだけなんだな。
やはり4つ目はなしでいこう。