第14話 女神の恩恵
「キュキュキューーーン」
遠くから、白兎の鳴き声が聞こえる。
俺の後ろに隠れろとか言いながら、当の本人は女神の言う通りに行動し、白兎をほったらかしにする始末……すまんな。
「キュ、キュ、キュッ」
白兎は自身の耳で俺の背中に向けて左右交互に軽く叩きつけてくる。
間違いなく怒っている。「言っておいて、何事だ、このやろー」。単なる鳴き声が、そのように聞こえてしまう。
痛くはないが、ペシっ、ペシっという音とその姿がなんとなく可愛いく感じる。
しばらくして止んだが、このままでは気が引けるので、謝罪の意味を込めてその頭をよしよしと撫でた。
どこか気持ちよさそうで、見てるこっちは不思議と温もりを感じていた。
その後、デュラハンと黒い馬が風のような速さで、どこか勝ち誇にった顔を浮かべながら帰ってきた。
そして一言、
「あんな下賎な魔物、我の手に掛かれば即殺よのう! 」
最後にバジリスクを仕留めたのはお前じゃない、俺だ。勘違いしてんじゃねぇ。
「ふっ。これでも我を従魔とやらにするに足りぬと? 」
「ああ、合格だ」
頼もしさからしたら十二分だがな、その性格が性に合わない。
こればかりは我慢しろと言われても。
【忍耐力がものをいう時ですよ、ヒビキ様。格の違いを見せつけたくないのですか? 】
フィーさんの言葉が半ば挑発的に聞こえるのは気のせいだろうか。
「どうでもいい」
投げやりにそう言って、俺は改めて先程倒したバジリスクを見つめる。かなりの巨体なだけに、我ながら驚きもする。
気になるバジリスクのステータスは、
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〘バジリスク ? 〙 【種族】:魔物・蟲王族
Lv :81
HP :0/3830
MP :0/820
筋力 :1376
耐久 :3510
魔力 :106
敏捷 :4820
幸運 :54
【状態異常】
死亡
【スキル】
「疾走Lv38」「毒吐きLvMAX」「強固Lv52」「危機感知Lv3」「暗視Lv40」「毒耐性LvMAX」「水魔法耐性Lv80」「黒魔法耐性Lv80」「光魔法耐性Lv80」「土魔法耐性Lv80」「風魔法耐性Lv80」「白魔法耐性Lv80」
【特殊】
なし
【称号】
「蟲王」「毒の悪魔」「ローステル草原の主」
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魔法耐性ほぼついてんじゃねぇか!それに「火炎魔法耐性」だけ無くてその他はLv80……とんでもねぇやつだ。
だがそのおかげで、『魔剣・赤竜の剣』の効果が見事に通って奴を倒せたわけで。
俺の幸運度も舐めたもんじゃねぇな。幸運度が些か高いバジリスクと言えど、不幸に恵まれるんだな。
ピピッ、ピピッ、ピピッ────────
──『バジリスクを討伐しました』
──『「女神の加護」により『バジリスク』のスキルを奪取しました』
──『スキル「毒吐きMAX」は固定スキルのため獲得できませんでした』
──『スキル「疾走Lv38」を獲得しました』
──『スキル「強固Lv52」を獲得しました』
──『スキル「暗視Lv40」を獲得しました』
──『スキル「危機感知Lv3」を獲得しました』
──『スキル「毒耐性LvMAX」を獲得しました』
──『スキル「水魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『スキル「黒魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『スキル「光魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『スキル「土魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『スキル「風魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『スキル「白魔法耐性Lv80」を獲得しました』
──『バジリスク討伐により、9800経験値を獲得しました』
突如、あられもないメッセージが次々とチャット枠に表示されていった。