第10話 不死族の王として①──(デュラハン視点)
「何故お主たちは我から一歩身を引いておるのじゃ? 」
「そ、それは…………い、いえ、何でもございません」
「いっつもそうじゃな。別に大したものでもなかろうに。いいからさっさと答えよ」
「申し訳ありませんが、どうかお気になさらず! 」
そばに居た臣下の不死族たちは誰か一人の捨て台詞とともにこの大広間からでていく。我は今、古城の大広間にポツンと配置された紫色の玉座の上に座っている。
我は不死族の王。故に、然るべき格好をとっている。
しかし……なんじゃ、我は臣下にまでも嫌われておるのか?
城下町へと出掛けても付き添う者は誰もおらず、まして民衆に紛れ込んでいるというのに極端に避けられる。我の周りにはなぜか者避けのような、変なサークルが出来上がる。
我が嫌われておることをそれらが証明している。
王ともなればこのような扱いなのだろう。
我はものすごっく寂しいのじゃがな。
「我に友さえ居れば」
一言口にしたが、それもまた叶わぬ夢。
そう思い描いて諦めかけていた。
「ぬ……? 」
足元に、巨大な紫色の魔法陣が浮かび上がった。
まさか今ここで我に挑もうとする輩がいるとは。少々不快だ。
「違うな」
もしこれが人間共や他種族の魔物共、我に抗おうとする不死族による攻撃であれば、もとより我の「危機感知」スキルが作動していたはずだ。
ならばこれはその類ではない何か。
「邪竜の赤目」
我の固有のスキルともある「黒魔法」の中でも、様々な魔法を鑑定することができる魔法「邪竜の赤目」を行使し、早速その紫色の魔法陣を調べる。
やはり、反応はあった。
その謎の魔法陣は『魔水晶』というアイテムにより発生したもので、行使者の名は『ヒビキ』とやら、か。
さしずめ、我を召喚する気なのだな。
はて、我の偉大さを知ってのことなのか。
だが退屈しのぎにはなるだろう。
そう考え、1秒ごとにMPを1ずつ消耗する邪竜の赤目の行使を中断し、召喚先での振る舞い方を模索することにした。
「我は我だ。戸惑う必要などない」
我こそが、不死族の王と崇められているデュラハン。相応の態度でいるべきである。
相応の態度……それに、身なりもどうにかせねば。
「そうだな、黒馬でも呼ぼうか」
更新遅れ、すみませんでした!
内容的には……戻ってます。申し訳ありません。