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第04話 VS 剣聖アイリーン

 ユニークスキル 『剣聖』

 英雄の力を帯びし自我スキル。

 発動時のみ、全ステータスが倍になり、英雄の力を借りることのできる絶剣となりしスキル。

 操作可能スキルは解析不可。


 《しかも! あいつ、レベル8だよ!》


 《はあ、全く。 賢者 ベガよ (あるじ)のレベルを見てみなさい》


 ちょ、いつ戦闘になるか分からないのに呑気に話してないでよ!


 《・・・・・なっ》


 《心配することはないでしょう?》


 というか、レベル8って雑魚じゃん。

 ポケ○ンの7番道路くらいまで行けばゴロゴロとレベル10くらい居るぞ?



「さてと。ここまで離れればいいだろう」


『えっ?』


「貴様、ただの使い魔や魔物ではないな?」


『その心は? 根拠もなしで疑うのは良くないぞ?』


「私には特別な目があるのでな。

 貴様はデタラメなオーラを持っている。

 とても邪悪で、危険なオーラだ」


 まあ、そりゃ邪竜ですもんねー。


 《多分、私の『ステータス確認』の下位互換ね》


 《その下位互換の私の『鑑定』よりも下位互換のようね》


 なんでこの人達張り合ってるの?

 ボクニハ、ヨクワカラナイヨ。


『えーっと別に俺は邪悪でも何でもないのだが』


「そんなことを信用できる・・・とでも思っているのかぁぁあ!!」


 アイリーンとやらは剣を抜き、俺に襲いかかる。


 《巨大化いたします》


 アイリーンの攻撃をバックステップでかわす。

 その瞬間からぐんぐん巨大化していった。


「貴様、何をするつもりだ?」


『それはお前だよ!』


 アイリーンの攻撃を躱したり、爪で弾いてやり過ごし、元の大きさになるのを待つ。


『ほぉ、それが貴様の本当の姿か?

 邪竜 レイヴァール!!』


 アイリーンはスピードを上げ、俺に迫る。


 剣先が首元に迫ってきたのでそれを爪で弾ーー



『えっ?』


 結構な力で剣を弾いたはずなのだが、その剣は無防備となった脇腹へ吸い込まれていく。


 その瞬間はスローモーションに見え、捉えることができた。

 そして自分が勢いよく吹き飛んだことを理解した。


 《エクストラスキル『超反応』を入手しました。

 常時起動を勧めます》


 ああ、よろしく頼むわ。


 《では、起動します》



 地面に叩きつけられた体を素早く起こす。

 すると目の前にアイリーンの剣が迫ってきていたので思いっきりぶん殴る。


 轟音と共に鎧が砕ける音が聞こえる。


 ヤッバ。 もしかして殺っちゃったかな?


 《気をつけて! まだ全然ピンピンしてるから早くトドメを!》


 トドメなんて刺さないから。 殺さないから。


 吹き飛んだアイリーンは空中で体制を整え、剣に魔力を込め剣が赤く光り始める。


「はあぁあああ!!」


 空中を蹴り、こちらへアイリーンが向かってくる。


 その剣先が体に届くのを『超反応』の力で受け流し、くるりと体を回転させ、尻尾で吹っ飛ばす。


 人ってあんなに吹っ飛ぶんだね。

 俺もあんな位の高さまで吹っ飛ばされたなぁ。


「あ、ああ。クッソォ」


『わ、悪い。けど斬りかかって来たのはお前だからおあいこってことで……』


「……………」


『ん??』


 《警戒、周囲に濃縮魔力体を観測》


 《気をつけて! そいつ、スキルを起動したよ!》


 ズドン!!


 そんな音が聞こえると再び俺は吹き飛ばされた。


『いったーー!! 痛い!超痛い! ギガ痛い!」


 そう叫び空中でアイリーンの様子を確認するがそこには誰もいない。


 どこに行ったのかを探し、キョロキョロしていると後頭部に衝撃を受け、地面へと突っ込んで行く。



 地面へ叩きつけられると大きく砂埃が立つ。


『いたたた。 何だよ急に?』


 《あいつのレベルが15まで上がってるよ!

 さっきより強くなってるから気をつけて!》


『気をつけてって、無理だろあんなの』


 《攻撃用魔法を作成可能となりました。

 作成しますか?》


『もちろん!』


 もっと早く作成可能になってくれよ・・・



「あああああ!!」


 砂埃の中をアイリーンが突っ込んでくる。


『目で追えない・・・速さじゃない!!』


 赤く光る剣を振りかざしているアイリーンを殴り飛ばす。


『まだか!?』


 《もう少しお待ちを》


 またアイリーンが迫ってくる気配を感じ取ったので、『浮遊』を使い、空を飛ぶ。


 さすがに人間は空を飛ぶことは出来まい。



 そう思っていた時期が俺にもありました。


「はっはっはっは。空を飛ぶ程度で勝ち誇るとは、邪竜 レイヴァールが聞いて呆れる」


『っな・・・・』


 空を飛び、下を見下ろそうとした時、目の前にアイリーンが現れたのだ。

 しかもフワフワと浮いている。


『ちょ、ズルイって。空を飛ぶのはないでしょ?』


「はっはっはっはっはっは、貴様が言えたことではなかろうに。 さあ、始めようか。

 貴様が死ぬか、この肉体が尽きるかを賭けた勝負を」


 おい、お前キャラぶれてるぞ?


『ちょっと、無理だって・・・』


 そう呟いた瞬間、後頭部に激しい衝撃を受け、再び地面に叩きつけられる。


『マジでさ・・・強すぎだって・・・』


 《魔法『黒炎』を作成しました。

 発動後、1回目に吐く息が黒き炎となります》


 こ、黒炎?? まさかの中二病患者御用達(ごようたし)の能力ですか?


「うおおおおおら!!」


 アイリーンの一撃を『浮遊』で躱す。


 ドゴッ


 その音と共に今の今まで立っていた場所に大穴が開いていて、下の方は少し赤く光っていた。


『うっわ。 溶けてるんだけど』


「まだまだァァアァ!!」


『うおっ! ちょっ!』


 躱されては近づいて斬りつけ、躱されては近づいて斬りつけを繰り返し、地面に大穴を開けていく。


「アハハハハハハハハッ 避けてばかりで何がしたいのかな? もうそろそろ飽きてくるんだけど?」


 飽きるって・・・

 探究心さん、今の魔力残量はどのくらい?


 《現在の魔力残量は52%程です》


「まあいいや。もう飽きたわ」


 そう言いアイリーンは高く跳び上がり、斬りかかるべく魔力を込めた剣を下に向けながら下降する。



『初めて使う攻撃魔法が中二病みたいな魔法ってなんか嫌だなぁ』


 そう呟き、息を大きく吸って『黒炎』を発動する。



 そして上から降ってくる剣聖アイリーンに向かって吹き付ける。



「ガアァアアアアアアア!!!!!」


 そうすると目の前が真っ暗な霧のようなものに覆われて・・・・違う。 マジな黒い炎だ。


 近くの木や草は燃え、足元は溶け始める。


 足が熱い!

 猛暑日とかに屋外プールに行った時のプールサイドに似てるな、というか逆にその程度なのが凄いな。


 そこは素直に「流石、邪竜」と褒めたい気分だ。



 《警告、魔力残量の急激な低下を確認。

 十数秒後、魔力切れとなります》


 魔力消費量めっちゃ多いじゃん。

 これ連発できないから あまり使えないなぁ。

 というか、これヤバくね?


 異世界に来て早速殺人しちゃったよ〜。

 どうしよ。 正当防衛って認められるかな?


『ふぅ。 どうなったかな?』


 空を見上げると遥か上空から黒い物体が煙を上げて落ちて行くのを見つける。


『すっげぇ。 あんなの食らって普通に体が残ってるってどういうことだよ?』


 出来れば完全に溶かして証拠隠滅したかった・・・ってそれは元人間としてダメか。


 《何を言っているの? まだあれ生きてるわよ? なんでトドメ刺さなかったの!?》


『はぁ!? あれで生きてるの?』


 《ええ、まだ普通に生きてます》


 ば、化け物だろ・・・ 邪竜の数倍危険じゃん。


 《多分、あいつの持ってた剣のおかげね。

  あれ、解析が出来なかった》


 《あれは魔剣と思われます。 何者が作り出したかは分かりません》


『あいつ、途中から性格が変わってなかったか?

 最後の方なんて半分狂人みたいになってた気がするのだが』


 《それはユニークスキルの暴走 それかあの魔剣のせいだと思われます。

 あの魔剣により、ステータスは5、6倍以上となっていることは明白です》


『そっか・・・まあ、どうでもいいや。 勝てたし。

 それはそうと、これからどうしよう?』


 《街へ行くのはやめておいた方が良いと思われます。今の魔法を目撃した者が多数いますので、行くのは危険かと》


『じゃあ、どうしよう?』


 《人間の体を手に入れるって話はどこにいったの?》


『うーん、じゃあそうするか!』


 《魔力残量は1%未満『浮遊』の使用は無理と思われます》


『じゃあ、歩くか……』


 《露骨に落ち込むのね・・・ まあ、『浮遊』が使えるようになるまでの辛抱よ》



 こうして俺、もとい俺とスキルたちは魔王シュトリの支配地域まで歩き出した。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 薄暗い部屋の中で各支配地域の魔導王と魔王が集まっていた。


 集まった人数は5人。


 魔王ガリウス、魔王シュトリ、魔導王ウロボロス、魔導王ペンタグラム、魔導王エレメンタル の5人だ。


「やはり、揃わないか」

 魔導王ペンタグラムはそう呟く。


「いつもの事じゃねーか。そもそもガリウスの招集でここまで集まったことの方が珍しい」

 魔導王ウロボロスは相槌を打つ。


「黙れ小僧、ひき肉にされたいか?」

 魔王ガリウスはウロボロスを睨む。


「やってみろよ」


 この場で1番血気盛んな2人が睨み合い、殺気立つ。


 ガタンッ


 その2人はその音の方を向き、殺気が消える。

 その音を立てたのは 魔王シュトリ。

 この場で1番の強さを持つ魔王だ。


 その容姿はどこから見ても可愛い小柄な少女にしか見えない。 だが、内に秘めたその圧倒的な魔力が彼女が魔王 と示している。


 その青みがかった銀髪を揺らしながらシュトリは言う。


「早く私たちを招集した理由を教えてくれるかしら?理由によっては殺すわよ?」


 その『殺す』の一言は冗談交じりで使われることが多い。 だが、魔王シュトリの放った『殺す』の一言は全員に重くのしかかる。

 それほどその一言は本気なのだ。


「そ、そうだな。 じゃあ早速始めてもらおうか。 ガリウス、よろしく頼むよ」

 魔導王エレメンタルは恐怖で引きつった顔を悟られないように明るい口調でガリウスに指示を出す。


「何故集まってもらったのかは他でもない。

 竜封山の崩壊と邪竜 レイヴァールの消失の件だ」


「なにっ?」

「本当か?」

「フフッ」

「消失?」


「ガリウス、どういうことか説明しろ」


「あ? んだその態度?ぶっ殺すぞ」


「やってみろやゴラ」


 またもやガリウスとウロボロスが睨み合う。


「じゃあさ、私も混ぜてよ♪」


 睨み合う2人にシュトリが楽しそうに声をかけると、2人はそれぞれ視線を外す。

 2人ともシュトリとはり合いたくないらしい。


「3人ともやめておけ。 それでガリウス、レイヴァールの消失ってどういう事だ?」


「ふんっ 知らん! だが、竜封山が崩壊し近くの町の奴らが邪竜と思われる竜が飛び立つのを目撃していた」


「それだけで俺らを呼び出したわけではないだろう?早く話の中身を話せ」


 そう促されるとガリウスはニヤリと笑いこう言った。


「今からさ、俺らで中立地域を攻めねぇか?」



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