第03話 その女、剣聖につき
『ちょ、どうしたらいいの!?
探究心さん、ベガ、助けて!!』
《御意、魔法『自由操作』を作成、、、成功しました。
魔法『竜翼』と魔法『自由操作』を合成、、、、成功しました。魔法『浮遊』を入手しました。
使用します》
体感的には新幹線よりも速いスピードだったのが急に止まり、体が前に引っ張られる。
『ぬぐぅうう』
《成功です》
ねえ、慣性って知ってるかな? 急ブレーキはどんな乗り物でも良くなーー
《警告、魔力残量0%まで 5、4、3・・・》
ちょっと待って!! カウントダウンやめてー!
俺は急いで『浮遊』を使って滑空するように地面へと降りた。
地面のちょっと手前で魔力切れを起こしてバランスを崩したせいで5人の冒険者を落としそうになったことは秘密だ。
《幾ら何でも速すぎ! あんな危険な飛行してるといつか死んじゃうよ!?》
『め、めんぼくない。 それにしても探究心さんのおかげで助かったよ。ありがとな』
《私は主の望むままに魔法を作り、魔法を使用したまでです。
賢者 ベガより有能な事は認めますが》
《ちょっと、謙遜してるフリして私の悪口言うのやめてよね!》
『2人とも落ち着けって。
とりあえず街に向かうぞ』
《街は現在、『謎の黒竜が上空を通過した』と騒いでおります。 主が行かれると高確率で戦闘となるでしょう》
『マジですか? それってどうにかならないですかね?』
《質量変換で体を小さくして街に行けばいいじゃん》
《最小化した場合、戦闘になる可能性は 12%まで下がりますが、戦闘になった場合の危険度が格段に上がります》
『なら 取り敢えず最小化して、街について戦闘になりそうなら巨大化すればいいや』
《御意、魔法『質量変換』を使用。最小化 開始します》
ぐんぐん縮んでいき、凶悪そうな邪竜に程遠い、まあ何とも可愛らしい生物に変化した。
『さてと、街まで歩くか』
前方にある巨大な街を目指して歩き始める。
5人が持っていたバッグの紐を結び合せ、5人を全員繋げて引きずりながら運ぶ。
『重い・・・・』
ま、そりゃそうだな。
だって今の自分より少し大きいサイズの人間を5人運んでるんだもん。
さっきの大きさなら、どうって事ないけどこの大きさだとさすがにきつく思うな。
《流石に女の子を引きずるのはどうかと思うよ?》
『んなこと言ったって、この体の大きさで引きずらずに2人も運ぶのは無理だぞ?』
《た、確かに一理ある・・・》
《魔力残量が5%ほどまで回復すれば『浮遊』で浮かせることが出来ます。
その場合、街までかかる時間は30分かからないくらいで着きます》
『じゃあ、魔力を回復させてから運んだほうが良いかな?』
《センパイってバカなの? 魔力を回復してる時間がこの魔力のめっちゃ薄い場所でどれだけかかると思ってるのよ?》
『どれくらいかかるんだ?』
《主の場合、20日間程と思われます》
5%回復するのに20日って、満杯にするのに単純計算で400日だろ? 1年間を軽く超えてんじゃねーか!
『っっ、わかった。 歩いて行こう』
いざという時に魔力切れを起こさないためにも今度から魔力を大切に使っていこう。
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冒険者の集う街 ロジック
中立地域最大の街であり、中立地域の実権を握っていると言っても良い。
まあ、『この中立地域を支配しているのは俺だ!』って宣言すると現魔導王と現魔王が殴り込みにくるから誰も宣言しないけどね。
んで、自由組合が大陸中にあって、そのほとんどの本部がこの中立地域にあるらしく、中立地域を敵に回したくないため魔王や魔導王も迂闊に攻めれないらしい。
平和だねぇ。 地球もこのくらい平和であればもっと楽しそーー
「おい、そこの・・・何だお前?」
声をかけられ振り返ると、鎧を着込んだTHE兵士みたいな格好の女の人が居た。
『何用ですか?』
《警告、敵対反応あり》
《えっとステータス見せるね》
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ステータス
肉体名:アイリーン
魂名:アイリーン
称号:剣聖
魔法:身体強化 、研磨、回復(弱)
スキル
ユニークスキル 『剣聖』
エクストラスキル:見切り、豪剣、衝撃波、畏怖の念、覇気、超回避、超反応
推定魔力量:100000
推定物理攻撃力:50000
推定物理防御力:6000
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んんん? 基準が分からないけどこれって強いのか?
ま、まあ剣聖って書いてあるくらいだし、結構強いんじゃないかな? うん敵に回したくないな。
「話せるとはな。 何をしている?」
『何って、人を運んでいるのですが』
「それは見れば分かる。そいつらは冒険者だろう?
何故運んでいるのかを聞いているのだ」
ここは適当な嘘を言っておこう。
『ここから東方にある森の近くで倒れていたので一番近いこの街へ運んでいただけですが』
「・・・・まあ良い。 誰か!救護兵をこちらに!」
アイリーンとやらが叫ぶと門で検問をしていた兵が数人こちらに来て、俺の運んでいた5人を持ち上げ街の中へ入って行った。
じゃあ、俺が原因で起こったことは解決したし、魔王シュリ?だっけ? の支配地域まで行って人間の体を手に入れるか。
『じゃあ、俺はここで』
「待て」
アイリーンに手を握られ呼び止められる。
『な、なんですか?』
「着いてこい、話がある」
話? 俺には話すことなんて無いのだが。
《警告、戦闘になる可能性98% ここからの逃亡成功する可能性は13% 危険です》
ふぁあ!? ちょ、ちょっと? 間違いだろ?
《肉体名"アイリーン"から強大な魔力が漏れ出ています。 固有スキル『魔力吸収』を使用しますか?》
もちろんだ! 因みに今の魔力残量を教えてくれ。
《現在の主の魔力残量は 1%未満。
『魔力吸収』の使用により、5分以内に15%程まで回復すると思われます》
《ちょ、ちょっと!いま解析終わったけど、あいつのユニークスキル、ヤバすぎるよ! 》
どうしたんだ?
って聞いても探究心さんとしか喋れないんだったな。
《主が 『どうしたんだ?』と聞いてますよ》
《あいつのユニークスキル、全ステータス値が倍になるとか言うスキルなんだって! しかも、自我スキルだよ!》
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