転生
私は、一度死んだ。
『シ‥‥‥‥‥‥‥ル‥‥‥‥‥‥?なんで‥‥‥‥‥‥‥‥‥待って‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥いやだ‥‥‥‥‥‥‥‥‥置いてくな‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ずっと‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一緒だって‥‥‥‥‥‥‥‥‥』
あぁ、愛しい人が泣いてる。でも、もう声が殆ど出ない。嫌だ。置いてかない。ずっと一緒。だから‥‥‥‥‥
「ゴメンね‥‥‥‥‥‥ハル‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥大好き‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
もう一度言おう。私は、一度死んだ。
「オギャァ」
死んだのに、これは一体どういうことなんだろう?
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私の名前。『シルヴィア・フォン・フィルニール』
フィルニール皇国の第一皇女で、『聖女』とも呼ばれていた。
二年前、『勇者』を召喚し、『魔王』討伐の旅に出て、色々な事があって、『勇者』に恋をして、恋人になった。
後は『魔王』を倒してハッピーエンド‥‥‥の筈が、私は今、赤ん坊になって二度目の人生を歩み始めている。
これが『転生』か。初めてだ。いや、二回も有ったら可笑しい‥‥というか、『転生』している事がそもそも可笑しいのだが。
「ほーら『アーニャ』ちゃん。パパてすよ~」
なんか変な事考えてたら美形のお兄さんが覗き込んでる。カッコいいけど、私にはハルが‥‥‥ちょっと待て。
なんで言葉が解るの!?そういえば、此処がフィルニール皇国って言う可能性も‥‥っ!!
そんな考えは、一瞬で吹き飛んだ。それは何故か?それは、今着ている服だ。私は王族だったから、自慢じゃないが服はいつも最高級の物だった。が、これはそれよりも上品で、チクチクしなくて、柔らかい。少なくとも、私がいた頃とは比べ物にならない位技術が発達している。何千年も経ったのか、もしくは世界が違うのか‥‥
「あれ?あれれ!?ま、ママァ!!アーニャちゃん泣いちゃった!どうすれば良い!?」
「あらあら、ほーらアーニャちゃ〜ん。ママですよ〜怖くない怖くない」
ごめんねパパさん。怖くて泣いたんじゃ無いの‥‥ただ、もうハルに会えないと思うと‥‥‥ん?
さっきは流してたけど、なんで言葉が解るのかしら?前世の時とは微妙にしか変わらないから流しちゃったけど‥‥‥もしかして!?
「あゔぁーぶ・あーゔん(ステータス・オープン!!」
アーニャ・ヴェルコフ
称号 転生者
スキル 異世界言語
異世界転移(使用不可
魔力不足
魔法 水魔法上級
風魔法上級
聖魔法上級
(シルヴィア・フォン・フィルニール)
称号 フィルニール皇国
聖女
スキル 勇者召喚(使用不可
魔法 水魔法上級
風魔法上級
聖魔法上級
「ゔぃあゔぉべ(キタコレ」
第一話。読んで頂き、ありがとうございます。この作品は外伝なので、投稿はゆっくりになると思いますが、暖かく見守って頂ければ幸いです。
あと2〜3話で異世界に行くので、それまでアーニャのお話。お楽しみください。