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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
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遅れてくる者

午前。

早朝は予想外のグールフの行動に全員が驚かされる結果になったが、作戦に変更はない。

食事を、グールフと一緒になって取るという奇妙な状況の中、さっそくそのことを意識しながら、マリたちは談笑していく。


「そういえば、キングリメイカーではどうやって皆さん食事を済ましているのですか?」


メイヒールがマリに聞く。


「そうね・・・みんなだいたい食堂で済ましてるかな。私やヤン、それにルークドなんかも大抵はそこで食事をすることがほとんど。料理長の他、5人のメイド、それにその日の当番の兵士の人たちが、作ってるって感じかな。」


「なるほど。拠点内に食堂があるのですね!聞けばいくほどいい環境ですね。うらやましい限りです。」


「私たちの拠点のエングランド訓練所は元々、キングテレトリー軍の施設でもあるし、いる人たちも元は軍に所属していた人がほとんどだから、うまく運営って・・・いうの?まぁ、回るって感じかな~。」


「へぇ~・・・なんかそういうのっていいですよね。他人であっても、うまく協力しあって、目的のために突き進む・・・。」


キングリメイカーという名前や、マリとヤンという人物についての情報を、身元を明かすように会話の中で自然に入れていく。

作戦のために最初はわざとらしく情報をひけらかしていたが、メイヒールがいつしか聞き入るようになっていた。

また、その反応も素の反応が出ていた。


「でもそれが最初のうちはまったく合わなくてさ~。料理長のグール・メリットって人がいるんだけど・・・」


その間もグールフは一言もしゃべることなく、何を考えているかわからない表情で監視していた。


そして時には、マリはキャアシーとじゃれあったりし、またヤンはファイと闘気の話題についてかなり話し込んでいた様子だった。

その和気あいあいとしたその場の雰囲気に、マリたちは手応えを感じていた。

グールフにいい心情、印象、情報をうまい形で与えることができたのは確実で、その調子で作戦は成功を収めると思えた。


だが、時間が経てば経つほどマリたちは、追い込まれていた。

食事を全員終えるころには、その作戦の欠点をまざまざと自覚するしかなかった。


(うぅ・・・予想外につらいッ・・・!何か、何か話題ないの・・・!)


マリは、少し焦り出す。

その様子は、顔に出ていた。


そうその欠点とは、時間の消費だった。

談笑で時間を消費させ続けることは、予想外に厳しかった。


(沈黙だけはなんとしても避けなければ・・・!)


その時の話相手だったメイヒールも連動するように焦り出す。

マリとメイヒールの2人が動揺すると、その場にいた全員に波及するかのようにヤンとファイもすっかり黙りこんでしまう。

沈黙してしまえば、グールフにさっきまでのは取り繕ったものと思われてしまうばかりか、気まずい雰囲気になってしまうということは全員がわかっていた。が、一通りの話題がなくなり、そのことを認識すればするほど緊張してしまう。

食事中の自然な感じはなくなり、空気はこわばったものへと変化していた。


「・・・あぁ、えぇ・・・っと・・・」


何かを切り出そうとするが、できない。

気まずそうにそれぞれ視線だけを合わす。


「・・・・・・。」


いったん静かになった状況を変えることはできなかった。

沈黙のまま、時間が過ぎる。

グールフも明らかさっきまでと違い、もう見極めたという表情で、今にも立ち上がりそうだった。

やはり、マリたちは信頼できない存在で、組織による何か思惑があってここに来たのだろうと、そしてさっきまでのはすべて計算による演出で、メイヒールたちに強いたのだろうと結論づけるように目を閉じていた。

そして、目を開けると遂にグールフが口を開く。


「もう充分だ。・・・茶番はおしまいだ。」


それだけを言うと、グールフは忍ばせていたナタに手をかけて、ゆっくりと立ち上がる。


(やっぱり・・・どうやっても戦闘は避けられないってことね・・・。)


マリもメイスに手をかける。


(ここは力で止めるしかないのか・・・!)


ヤンも構える。


「・・・・・・。」


そして、メイヒールとファイも不本意ながらと曇った表情を見せ、メイヒールは体の周りに妖精を出現させ、ファイは構える。


そして、その時だった!


「・・・俺は充分じゃねぇな。」


どこからともなく、声がした。

その声がする方向へ全員が視線を向ける。


「ニャ!」


キャアシーが、その現れた姿に怯えた表情から満面の笑みに変わった。


「ルークドニャ!!」


大広間に現れたのは、今さっき起床したルークドだった。

そして、ルークドはグールフと目線を合わしながら、歩いて行く。


「ファァアァ~・・・」


ルークドは、伸びをしながらあくびをすると軽くストレッチの動きを見せる。

近づいてくるルークドに、グールフの瞳孔が広がる。


「いや~昨日からずっと爆睡してて、よー。空腹なんだ。・・・・・・座って話そうぜ?」


ルークドは、それだけ言うとニヤリと笑った。









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