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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
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説得の一歩

引き締まった空気の中、二手に分かれて部屋に向かおうとした時だった。


グゥゥゥゥゥゥ・・・


その清々しいほどの腹が鳴った音は、全員の足を止めさせた。

そして、その発生源を注視する。


「ニャー!せっかく格好良く決まってたのにニャ~!今の音で完全に我が輩たちのプロフェショナル感が失われたニャ!これは幸先悪くなったニャ・・・。」


その空腹のあまり腹を鳴らした正体はマリだった。

照れた顔を見せる。


「(何のプロフェショナルよ・・・)し、仕方ないでしょ~。だって、昨日から何も食べてないんだもん・・・。」


マリが最後に何かを食べたのは、追跡で小屋を出る前のことだった。


「昨日は、1日中いろいろな事がありましたもんね。私もすっかり食事のことなど忘れていました。」


グゥゥゥゥ・・・


また、マリの腹が鳴った。

恥ずかしさの表情を見せる。


「確かに拙者も少し空腹を感じてはいるが・・・ここで食事を取ろうにも、この切羽詰まった状況だ。

優先すべきことを優先しよう。」


「なっ!ヤン、あんたは最後いつ食べたのよ?」


「拙者?・・・確か昨日の昼前ぐらいだったか、川の魚をいただいた。」


「(私の勝ちね・・・!)ほ~ら、どうせそうだと思った!私は昨日の”朝”なのよね~。ついでに言うなら運動量も私の方が多いんじゃない?」


マリはいつもの得意げな顔でヤンを見て、意味ありげなニュアンスで言う。


「拙者は、別に空腹自慢などする気はないんだが・・・。それより、早く・・・」


「っ!!・・・少しは乙女を気遣いなさいっ!!」


「ぐっうおぉ!」


マリは、全力でヤンを殴り振り切った。

ヤンは回転して、床に伏した。


「きょ・・・凶暴ニャ・・・。」


「凶暴、ですか・・・・・・あっ!」パン!


マリとヤンのやり取りを見て、何気なくキャアシーが呟いた凶暴という言葉を聞いてメイヒールが何かを思いつき、手を叩いた。

全員が、メイヒールを見る。


「そうです!食事にしましょう!!」とメイヒールは笑顔で言った。


「やっぱメイヒールは私のことをちゃんと思ってくれてるわ。ありがと!持つべきは友ね。」


「えっ!・・・い、えぇ・・・あぁ、私は、その・・・グールフの説得に食事がいいのではと思いついて・・・も、もちろんマリのことも大事ですよ?」


メイヒールは、あたふたとしながら返答する。

マリは、思っていた反応と違うので困惑を隠せなかった。


「メイヒール殿。それはつまり・・・?」と言いながらヤンは起き上がる。


「あっ、はい。えっと・・・グールフの説得に当たっては、当たり前ですが、まず話をちゃんと聞いてもらう必要があります。そのためには、機嫌を少しでもよくするところから始めようと思うのです。」


メイヒールが話始めたのは、グールフの説得における作戦だった。


「・・・なるほど、そうか・・・!」


ヤンは、それを聞いてメイヒールが言わんとしていることを把握した。


「ニャ?ニャ?我が輩にも教えてニャ!」


キャアシーが自分も混ぜてくれと言わんばかりに、ぴょんぴょんと跳ねる。


「あぁ・・・そういうことね・・・。あ~、だから~胃袋から掴んで手なずけようとってことね。」


マリは、肩とテンションを落としながら話す。


「そうです。満腹にさせてから説得に入ろうと思うのです。・・・特にさっきまで気が立っていたのは、戦闘による消耗も大きかったからだと思います。だから、耳を貸さないような態度だったのだと・・・。

でも、食欲が満たされれば話をちゃんと聞いてくれるかもしれません。」


「ニャ!いわゆる兵糧攻めってやつかニャ!理解したニャ!!」


「(逆、逆~!でも、間違え方もかわいい・・・!!)あのね。キャアシー・・・兵糧攻めっていうのは・・・。」


マリが誤りを指摘しようとした時には、すでにヤンの方が早かった。


「キャアシー殿。それは、誤りだ。兵糧攻めというのは・・・・・・で、今からやろうとしているのは・・・・・・」


「ニャ~~そうだったかニャ~。我が輩としたことがうっかりしていたニャ~。指摘、感謝するニャ!」


(なんかさっきから疎外感を感じるんですけど・・・。)


マリはそう思うしかなかった。



そしてその後、マリほどではなかったが空腹自体はそれぞれ感じていたので全員の分をこしらえることが決まった。

その中には、ルークドの分も含まれていた。

調理の速さ、正確さがトップクラスのメイヒール中心に、キャアシーとヤンは手伝い、そして何もできない戦力外マリという構成になった。


ただ、調理ができるメイヒールの手は限られているので、先にルークド、マリ、ヤンの分に取りかかることにした。

その際、ヤンは効率を考え、自分の分は自分で作ると申し出て、素材自体はその集会所にあったので自分でそばをまかなう。

マリにとって、精々できることは、物を取って。という時ぐらいで、後はただ厨房の後ろの方に突っ立って、忙しそうなメイヒールの背中を見ることしかできなかった。


(く、屈辱ッ!!あぁ~料理ぐらい少しは練習しとくんだった・・・はぁ~・・・。)


女子力の差をひしひしと感じていたのだった・・・。


そして、ルークド、マリ、ヤンの3人分が揃い、厨房にいたマリとヤンの2人は、自身のも含めた料理を持って、ルークドがいる部屋へ向かった。

ついでにルークドへの説明も、そこで済ませよういうのだ。


ヤンとマリが一時離脱した後も、キャアシーとメイヒールはグールフの分、自分たちの分に取りかかるのだった。























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