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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
80/280

落ち着き

キャアシーはゲンエイガハラ村の壊れた門を通り、そこからそれほど遠くない森まで来ていた。

その森までは、家を飛び出した時のスピードだったが、森に入ると段々と落ち着きを取り戻していた。

キャアシーにとって庭のようなその森は、安心感を感じさせていたのだ。


「ニャア、ニャア、ニャア、ニャア・・・」


息が切れたのもあって、二足歩行でゆっくりと森の中を歩いていた。


(どうして、あの2人がメイヒールの家にいたニャ・・・。それもなんだか、すっかり溶け込んでいたニャ。我が輩が気絶している間に一体、何があったニャ・・・。)


そこからいろいろとメイヒールの家を飛び出す前の、場面が頭の中に、蘇ってくる。


(『キャアシー。実はあのお二方は敵ではないのですよ。』・・・あの時のメイヒールの言葉は脅されて言わされていたとは思えないニャ。あれはいつものリラックスしたメイヒールだったニャ。)


ヤンとマリの2人の姿とメイヒールが紹介した時の場面がフラッシュバックする。


(あの武闘家みたいなやつはヤンとかいう名前だったかニャ。間違いなく、門を壊して、ファイと戦っていた悪魔ニャ・・・。う~ん、どういうことニャ?ファイは生きていたニャ。・・・わざわざ、ファイを捕虜にするとも思えないニャ。わからないニャ・・・。)


次に意識がマリに向く。


(そういえば、あの悪女はマリとかいったかニャ。あの時、何か言いながら、我が輩に頭を下げていたニャ。あれは一体何のつもりだったのニャ。)


「ニャ~!わからないニャ~!敵じゃないなら何なのニャ~!!何が目的ニャーー!!」


キャアシーは大声で叫ぶと、空を見上げる。


(またあの2人がいるところに戻るのは怖いニャ。とんでもなく怖いことニャ・・・。でも、いろいろとメイヒールに聞く必要があるニャ。・・・勇気を持つニャ。ずっと逃げ続けていたからわからなくなるニャ。そうだニャ・・・!)


その時、キャアシーの心の中で何かが変わった。


(我が輩は、自分のこの特徴を免罪符に逃げ続け、何もしようとしなかったニャ。「人」はみんな自分の居場所を見つけ、位置づけ、守るために戦っているニャ。それをしようとしないから我が輩は、真の意味で「半端物」だったニャ。メイヒールたちは戦ってきたニャ。だからみんな、メイヒール、ファイ、グールフに尊敬し、あこがれるニャ。・・・今日から我が輩は変わるニャ。怖くても前に進み続けることが「人」として生きることニャ!!我が輩は「人」になるニャ!!)


キャアシーの長年にわたって、いろいろと積もった思いが昇華する瞬間だった。

それは、ゲンエイガハラ村を作った先祖やメイヒールたちに対する引け目でもあり、一人前として認めてもらいたいという思いも含まれていた。

そしてキャアシーは、ある本の内容を思い起こす。


(・・・12の有識だったかニャ?その中にも1人、魔物の特徴を持った人物がいると、確か書いてあったニャ。

我が輩と同じ半端物の存在でありながら、そんな偉い地位に就けるなんてすごいニャ。我が輩もいつかそういう存在になりたいニャ。)


キャアシーは、自分を鼓舞するようにその事を改めて確認するように思い出す。

その地位の事や人物の詳しいことはわからないし、知らないが、自己啓発本的な尊敬する人物であった。


キャアシーは自分の冷静さを取り戻し、鼓舞したところでメイヒールの家に戻ろうとする。

その時だった。


ゴオオオオオオオオ・・・


「なんだニャ!?なんだニャ!?」


地鳴りがすると、キャアシーの周りの木から鳥たちが一斉に飛び出した。

キャアシーは木を上って、辺りを確認する。

すると、少し遠くのほうの場所が、モクモクと煙を立てて、明るかった。


「あそこニャ!!」


するとキャアシーは、四足歩行になって、全力疾走でその場所へと向かう。

その異常事態に自然と体が動いていた。

そしてしばらく走り続けると着いた。


「これは・・・なんだニャ・・・。」


汗だくのキャアシーが見たのは、大爆発した後かのような場所で、焼け野原だった。

信じられない光景を目にし、歩きながら、その辺りを確認していく。


「何があったのニャ・・・。隕石でも降ってきたのかニャ・・・。」


その場所には人どころか草木も何もなく、至る所の地面で燃える炎しかなかった。

そして、キャアシーはその場所で周りの森を見渡す。


「ニャ!?今度はあっちで森林火災かニャ!?」


少し離れた森が大規模に燃えており、どんどんと延焼して広がっていた。

その炎は、自然発生的というより、意思を持ったように燃える強い炎だった。

さらには、その場所に至るまでの木が全部、切り裂かれ、ひどい形で倒木しており、地面が荒れていた。

本数は数え切れないといってもよかった。


(もしかして森の王が暴れでもしたのかニャ!?・・・今すぐこの事をメイヒールに・・・。)


キャアシーは、メイヒールとファイが、包帯をしていた姿を思い出す。


(・・・ダ、ダメニャ!ここで頼ってはいけないニャ!!きっと神様がくれた、最初の試練に違いないニャ!!)


キャアシーは燃えている森林地帯へ駆け出す。


(とりあえず被害の確認ニャ・・・!きっと我が輩にもできることはあるはずだニャ!)


キャアシーは、その危険な方向へと自分でも何かできることがあると思い込んで突っ込んでいく。















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