訪れる災禍そして消えゆく日常
あれから3日が経った。
ルークドはなんとか立ち直り、街への買い出しを頼まれたところだった。
「えーっと卵に小麦にチーズだな」
「ちょっともう忘れたの! 治療薬!ち・りょう・や・く!それと卵は、トリキンタの卵ね!それ以外認めないからねー!」
アリーがルークドに叱声を浴びせる。
「おうオレの酒も忘れんじゃねーぞ!ちなみに銘柄はハイドドスウだぞ。それ以外の酒は認めねーぞ!
あの度数が最高なんだよな!それ以外の酒は水だ。ガハハハハーー!
頭を洗う用途にしかならんな。 ガハハハハーー!」
ドンゴが好き放題ルークドに注文をつける。
ルークドは笑みを浮かべながら返答する。
「少しは遠慮しろーての。つーか酒なんかで洗うからそんなハ・・」
ドンゴの眼が殺し屋のそれに変わる。
「そ・・その単語は言わないであげて・・・ね!?父さんああ見えてけっこう気にしてるから・・。」
アリーに口を抑えられて耳打ちされた。
(仕方ない。アリーの情けだぞ。)
ルークドは改める。
「じゃあ行ってくるわ~。」
「おう!最近物騒だからな気をつけるんだぞ!襲われたら魔法で燃やしちまえよ!
そうしたら同士が増えるからなー!ガハハハハハー!」
(そう言われるとためらってしまいそうだ。)
「ルークド!これ持っていて!」
アリーがなにやら渡そうとしてきた。
「なんだ?これ?」
「お守り。」
そのお守りは羽だった。
「その羽は希望の羽って言うんだって。きっとルークドの力になるから。」
「あとこれ。」
続いて差し出したのはタガーナイフだった。
「タガーナイフ・・?」
「ルークドてその大きい剣一本でしょ。だから取り回しやすい武器があったほうがいいかなーて!
私がずっと狩りの時に使ってたナイフなんだよ。大切に使ってね!」
「そうかありがとう。 もらっておくよ。」
ルークドは希望の羽とタガーナイフをしまう。
「じゃあ・・・いくよ。」
ルークドは街に向かって歩きだす。
それはいつもと同じ見送りという日常なのになぜか今回は特別のようにルークドは感じた。
(・・・あんなことのあった後だからなのか。)
ルークドはちょっと歩いたところで二人のほうへ何気なく振り返る。
歩いた距離以上にアリーとドンゴの二人は遠く、小さく感じられた。