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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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「・・・これが私のすべての事の次第ってこと。」


マリはヤンにすべてを話終えた。

それと同時に、メイヒールもひとまずファイの治療を終え、ずっと集中していたのか少し疲れた表情を見せる。

そしてメイヒールもヤンとマリの話の輪に入るかのように椅子に座る。


「なるほど。独断行動は裏目にでてしまったが、結果的にはいいんじゃないか。」


「私もまさかこうなるとは予想できなかったけどね。」


「一番乗りでさらに目的まで果たしてしまうとは・・・見直したぞ。」


「えぇ・・・それだけなの・・。」


「ん?何がだ。」


「こんだけ私が働いてあげたのに、その一言だけなのかって言ってるの!・・・『見直したぞ』って元々マイナスだったものがゼロになっただけみたいじゃない!もっと他にあるでしょ!」


「あぁ・・・そういうことか。キングリメイカーに帰ったら、メリット殿にマリ殿の今回の頑張りを拙者から伝えよう。そうすれば豪勢な料理を振る舞ってくれるだろう。自分から伝えるのもなかなか難しいだろうからな。」


ヤンはマリの扱いに熟練してきていた。

そんな子供扱いされたマリは悔しさに溢れた。


「料理でとりあえず手なずけておけばいいと思ってぇ・・・私を素直に認めなさいよ!!」


「そうか・・別に料理はいらないのか。」


「ちょっ・・ちょっと!そこまで言ってな・・・」


マリがそこまで言いかけた時にずっと2人のやり取りを見ていたメイヒールが笑った。

いつしかメイヒールも自然に溶け込めるようになっていた。

マリは少し恥ずかしくなって言うのをやめた。


「ま、まぁいいわ。次、ヤンが話す番よ。」


「よし、じゃあ話すぞ。拙者はまず、マリ殿を探すところから始まって・・・」


ヤンは昨日の夜から、今に至るまでの行動を2人に話しだす。

内容は、洞窟でマリを待っているところから始まり、いつまでも帰ってこないマリを捜索、弓矢を見つけてその方向に。

突き進むと川に到着、そして洞窟に戻れなくなったためゲンエイガハラ村にそのまま、川に沿って向かうことに。

そして門の前にたどり着くと、ファイが立っていて、そこで戦闘になったこと。

倒した後、急いで助けを呼ぼうとしたが、門がいくら押しても開かなかったので派手に壊したことなどを詳細に話していく。


「・・でマリ殿に制止され、今に至るというわけだ。」


すべてを聞いたマリが口を開く。


「なんか・・すべての行動がズレてるっていうか迷走しすぎじゃない?」


「そ、そうなってしまったのだ。反省している。」


その時、ファイがむっくりと起き上がる。

包帯が体中に巻かれていた。


「ファイ!大丈夫ですか!?」


もう目覚めたファイにメイヒールは驚く。

マリとヤンも会話を止め、ファイの方を見る。


「・・・平気だ。」


上半身だけを起こし、ファイはそう答える。

そして痛みを堪えながら3人のほうに体を向けて、両足を床につけ、ベッドに腰掛けるような姿になった。

その状態で話し出す。


「ヤンとマリだったか・・・悪いが今までの会話すべて聞かせてもらったぞ。」


ファイはメイヒールの家に運ばれた時には、意識はすでに目覚めていて、治療されている時は会話を聞いていたのだ。


「俺は保護下とかそういう政治的な話はわからない。だが、メイヒールがお前たちを受け入れたんだ。

だから、俺も受け入れようと思う。」


ファイはヤンに視線を移す。


「それに戦っている時、こいつは悪ではないというのは感じていた。・・・人間というのは結局、似たもの同士が集まるようにできているんだ。1人の人間の周りの人間はそいつを映し出す鏡みたいなものだ。

確かキングリメイカーといったか・・?きっと個性はそれぞれ違えども、根はいいやつの集まりなんだろう・・とは思う。」


ファイのその語り口調は、ホモゴブと人間との半端物だからこそ、人間を客観的に捉えることができ、たどり着いた重みがあった。

それはファイが今まで生きてきた経験や境遇に裏付けされており、生き様すら感じさせる。

3人は黙って聞いていた。


「だからゲンエイガハラ村もまかせることができる。是非、保護下に置いてくれ。」


「押忍!!」


ファイとヤンの間にはわした言葉こそ少ないが、拳を交えたからこそわかる信頼のようなものが生まれていた。


「なんか・・友情って感じね。」


マリが呟いた。


「もしや・・!闘気とは人と人とがわかりあうための手段・・!マサスケシンドウの真理とはこの・・」


ヤンは何かスイッチが入り、1人何かを言っていた。


「あ~また闘気バカが始まっちゃった。」


「そういえばその闘気とはなんだ?もしかしてあの体を纏っていたオーラの正体なのか。」


ファイが闘気という言葉に食いついてしまった。


「おぉ!興味を持ってくれるか!・・そうだ。察しがいいな!拙者の体を纏っていたのが闘気だ。」


「なにっ!俺はてっきり魔法で体を強化しているのかと・・・。」


「じゃあせっかくだ。闘気を1から説明しよう・・・」


そこでヤンとファイは闘気の話となり、2人して盛り上がって、マリとメイヒールを蚊帳の外へ置く。


「闘気バカが増えちゃった・・・。」


マリは、微笑しながらやれやれといった感じの態度をとる。

そしてふっとファイとヤンを見つめていたメイヒールの顔を見る。


「ど、どうしたの!?」


なんとメイヒールの目から涙がスーと流れていた。


「あっ!ごめんなさい!」


メイヒールは涙を手でぬぐう。

涙腺が緩んだせいで少し目が腫れていた。


「・・・・これは悲しい涙とかそういうのではなくて。こうして私たちが理解しあっているのを見るとなんだか感慨深くて、つい涙が。・・・・・・結局、ゲンエイガハラ村の存在というのはずっと私たちを縛ってきただけの存在なんだなって、今になって思います。自分たちの存在を、一番、特別視していたのは当事者である私たち自身だったのですね・・・。」


メイヒールのその溢れる思いは安心感や背負っていたもの、自分たちが人間に真に受け入れられる世界というかねてからの理想を垣間見ることができたことなど、さまざまなものが含まれていた。

マリは何も言わなかったが、心を揺さぶられていた。


「・・・あっそうだ!」


マリはそのしみじみと感じて心が動揺するのを隠すように話題を切り替える。

マリの性格上、感動や涙といったものを人前で見せるのは恥ずかしかったのだ。


「はい!闘気の話をしているバカ2人も聞いて。」


「お、俺もか。」


ファイは少し驚いた表情を見せる。


「まだ、メイヒールにもキングリメイカーについては途中までしか話してなかったから、おさらいとして、キングテレトリーのことから改めて話すね。ファイにも知ってもらわないといけないし。」


「・・そうだな。保護下に置くならそのことが優先だ。」


ヤンも同意する。


「んじゃあ・・・」


そしてマリは話始めた。


「その前に少しいいか?」


ファイが止めた。


「言おうかどうか迷っていたんだが・・・。別に過ぎたことを今更、責めるつもりはないんだが・・。ヤン。門を押して開かなかったと言っていたな。」


「押忍。」


「門の開閉は門番の俺が担当だから、メイヒールも知らなかったと思うが、あれは外からは押して開けるんじゃなく、引いて開ける門なんだ。だから開かなかったんだろう。」


それを聞いたヤンは自分の過ちに反省し、マリとメイヒールはどうフォローするか言葉が出てこず、ファイは黙っていたほうがよかったかと後悔を感じた。

なんとも言えない空気に包まれたのだった・・・。


その時、外はすでに暗くなってきていた。

マリ、ヤン、メイヒール、ファイの4人は寝たままのキャアシー、そしていまだ合流できていないルークド、ゲンエイガハラ村にとってもう1人重要なグールフのことをすっかり忘れてしまっていた。






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