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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
63/280

案内

ゲンエイガハラ村は、かなり広大な敷地だった。

そのほとんどが居住スペースというより、畑や雑木林が占めていた。

マリは、女エルフの後をひたすらついていく。

牛舎の建物から歩き続けて1キロメートル、10分ほど経過していた。


(ど、どうなってるのここ・・・。住民がみんな変!)


マリは深くフードをかぶって目だけを動かしながら、辺りを確認しながら歩いていた。

その間にいくつもの信じられないものを見ていた。

羽の生えた人、しっぽが生えた人、タイガーの顔をした人、はたまた、下半身が大蛇、魚など、子供含めすべての住民が魔物の特徴を合わせ持っていたのだ。


「このこと含め後で説明します。今は歩いてください。」


女エルフはマリの思考を見通すように言った。

マリも何も言わず後をついていく。


「もうすぐで私の家に着きます。」


女エルフがそう言った時だった。


「・・・メイヒール~!!」


遠くからこちらに向かって叫んでいるような声がした。

その声の主はどんどんと近づき、接近した。


「・・・・・メイヒール!どこ行くニャ~?」


その声の主は頭にネコ耳が生え、ネコの歯をした少女だった。

その少女が女エルフに話しかけたのだ。

そこで女エルフの名前がメイヒールであることが判明した。


「あぁ・・・キャアシー。え、えぇ・・ちょっとね・・。」


メイヒールは動揺しながら返答する。

また、同時にその少女の名前はキャアシーであることも判明した。


キャアシーは顔が見えないマリをじろじろと見ながら、マリの周りを一周する。


「妖精が出ているってことはエルフの人ニャ?でも初めてのにおいがするニャ。」


キャアシーはマリに近づき、においを嗅いでいた。


(うっわぁ・・あざとっ!語尾にニャを付けるって今時こんなのいるんだ・・・。)


マリはそう思っていた。


「ごめんなさいキャアシー。これからこの人と、することがありますので。さ、さぁ、行きましょう。」


メイヒールは強引にマリの手を引っ張って歩き出した。

周りの近くの人もキャアシーのせいでメイヒールとマリの2人に注目し始めていた。

なのでメイヒールはマリが気づかれるのを防ぐため、早くその場から立ち去りたかった。


せっかちな2人にキャアシーは進行方向に立ちふさがった。


「待つニャ!2人で一体何をするつもりニャ!もしかして我が輩を差し置いて楽しいことでもしようとでもいうかニャ!!」


メイヒールは動揺し、困ってしまった。

少し考えて、何とか苦し紛れの言い訳をひねりだす。


「べ、別に楽しいことではな、ないです。えぇ~・・・と、そ、そうだ!今から妖精魔法の勉強会でもしようとしてたところでーーーそのために私の家に行こうとしてたところなんです。そ、そうですよね?ねっ?」


メイヒールは汗をかいた状態でウインクし、フードをかぶったマリに同意を求めるように振った。


(ここは合わせるしかないわね・・。)


マリもフードをかぶった状態で首を大きく縦にウンウンと頷いた。


「なん~だ、勉強かニャ。・・・」


メイヒールとマリの2人はホッとし、歩き始めようとした時だった。


「にしても、なぜさっきから喋らないニャ?」


キャアシーは疑いのまなざしでマリの至近距離に近づきながら言う。


(ま、まずい!)


マリは何とかフードを引っ張って顔を隠しながら、後ずさりする。


そしてキャアシーが下から覗き込んで、マリの顔を見ようとした時だった。


「そ、それ以上はダメー!!」


メイヒールがマリの前に腕を広げて立った。


「どうしてニャ?」


「実はこの子、極度の人見知りなんです。だから顔を見ないであげて・・!お、お願いっ!」


メイヒールはまっすぐ、キャアシーを見る。

だが、動揺は隠せてなかった。


「ふ~ん。そうだったかニャ・・・じゃあ勉強がんばるニャ~。」


キャアシーはバイバイの動作をしながら歩いて行った。


「なんとか乗り切りました・・・。」


(今ので少し寿命縮んじゃったかも・・。)


メイヒール、マリの2人は生きた心地がしないほどだった。


「さぁ、急ぎましょう。」


その後、何とかメイヒールの家に無事たどり着き、中へ入る。

マリは中へ入ると、フードをとった。


「お疲れ様!・・戻って。」


メイヒールがそう言うと、マリの周りにいた妖精たちが消えた。


「とりあえず、この椅子に座ってください。お茶でも出しますから。」


メイヒールはそう言うと、ナイフが入った太もものベルトをとってガタッと机の上に置くと、お茶の一式を準備し始めた。

マリは言われたとおり、大きい丸太の机に接する椅子に座る。


「はぁ~何、あの子~。あ~疲れた。」


「ああいう子は嫌いですか?」


「えぇ・・嫌い。」


「・・・・・・。」


メイヒールは、マリのその言葉を聞いて、少し手が止まったように見えた。


「どういうところが嫌いですか・・?」


「うーん、そうねぇ。口癖、仕草、行動・・そのすべてが・・なんていうか・・スッカラッカンて感じね~。演じているキャラと演じていない部分のギャップがどうもね。痛いったらありゃしないわ。

どうせ男を落とすためにやってるんでしょうけど・・。」


「・・・・・・・。」


メイヒールは黙って聞きながら準備していた。


「はぁ~どうせ私が男だったら随分と違うんでしょうね~。顔は隠せても、私が女なのはボディラインで丸わかりだったしね。」


その時、メイヒールは一式揃ったお盆を机に置いて、急須から湯飲みに緑の色をした茶を入れる。

先にマリの分を、入れ終わると自分の分を入れる。

湯気が立っていた。


「樹木茶です。熱いから気をつけてください。」


「ありがと。」


そして少し間を置き、メイヒールが目をそらして、悲しそうに言う。


「あの子は別にキャラでああいう風に振る舞っているわけではないんです。」


「・・・・・・。」


マリは急に曇ったメイヒールの表情に視線を移す。


「言うなれば・・・体質となるでしょうか・・・・。」


「体質・・?あのキャラが?」


「そうです。私の耳がこのように特徴的なのと同じように・・・・。」


メイヒールはそこまで言うと、真剣な表情でマリを見た。


「人間と魔物という2つの存在が生み出してしまった闇。それが私たちなのです。」


「・・・・・・。」


マリも真剣な表情でメイヒールを見つめる。


「このゲンエイガハラ村という場所について今からすべて、あなたに話します。」


メイヒールのその目は覚悟を帯びていた。




























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