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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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門番戦Ⅰ ~差~

ホモゴブはヤンに一気に間合いを詰め、棍棒を脳天に振り下ろす。


バキイィィ!!


頭が割れる音・・・・・ではなく、木の棍棒が粉々に割れた音が響き渡った。

破片は地面に飛散し、散らかった。


「・・・・!!」


ホモゴブは驚きの表情を隠せず、散っていく木の破片がスローモーションで落ちていくように見えた。

口をあけ、呆気にとられていた。



てつ・・・・!」


ヤンは呟くようにそう言い、闘気、てつの色である緑の闘気を体にまとっていた。

気迫のある顔で、散りゆく木の破片とホモゴブを見ていた。

ヤンにダメージはなく、むしろ棍棒のほうが壊れてしまったということだった。


咄嗟にホモゴブは後ろに、身軽な感じで体を丸めるようにバク転し、ヤンとの間合いを空ける。

棍棒を破壊されただけでなく、まったく攻撃が効かなかったことに対して驚いていた表情をしていたが、すぐに険しい表情に戻り、ヤンに睨みをきかせる。

ヤンもその睨みに応えるように、気迫のある表情を乱すことなく構えていた。


するとホモゴブはステップのような軽いジャンプを、その場でトン・トン・トン・トン・・とリズミカルな動きをする。


(変わった動きをする・・・。)


そしてその、数秒後にピタッと止まると、高速でヤンに向ってスライド移動し、そのままの勢いで浴びせ蹴りを繰り出した。

さっきと比べかなり速かった。


(・・・!)


ヤンは反射的に両腕をクロスさせてガードする。

ホモゴブの跳躍力は高く、間合いはかなり空いていたにもかかわらず、浴びせ蹴りはヤンに届いた。

なので闘気を使うのが遅れ、肉体だけで受け止めてしまう。

ダンッ!!というような鈍い音と衝撃が発生し、ヤンは腕にダメージを負ってしまった。

あざとなった。


ホモゴブは浴びせ蹴りを当てると、そこから逆再生を見ているかのように体を切り返し、後ろに見事着地する。

そして足、胴体、頭に向けて蹴りの連続攻撃を繰り出す。

それはランダム的な蹴りだった。


ヤンはそこでてつが間に合った、同じ体勢のままですべての蹴りを受ける。

ダンッ!ダンッ!ダンッ!と軽い風圧と、衝撃が発生する。


一見ヤンが押されているように見えたが、闘気、てつのおかげでまったくダメージは入っておらず、ホモゴブのスタミナが減っていくばかりであった。

そこでホモゴブは地面に両手をつき、低い体勢をとると、そのまま回し蹴りをヤンの頭に向けて繰り出しす。

それはまさに*カポエイラの要領だった。


「ヘッドリーピング!」


ダッン!!と音を立て、相手を削り取る勢いの鋭い蹴りは頭に見事入った。


「ぐおっ!」


だがダメージを負ったのはホモゴブだった。

足に激痛が走り、よろめいて後ろに2、3歩下がってしまう。


ヤンはそのひるみを見逃さなかった。

ごうまといボディブローをお見舞いする。

内臓に深く食い込むような攻撃だった。


「ぐっ・・カッ!ハァ・・・。」


ホモゴブは吐血するが、すぐに両手でヤンの服を掴み、そのまま後ろに倒れ、腹を足で蹴り上げて投げた。

それはまさに、巴投ともえなげだった。


ヤンはドスッ!サアァァと地面に背中を強打し、数メートル引きずった。


ホモゴブはよろよろと立ち上がり、タンを吐く要領で血をペッ!と吐き出し、口から流れている血を手の甲でぬぐった。

その時だった。

ブフゥザアァァァ・・と風圧と砂埃を上げ、突如ヤンが目の前に現れた。

ヤンはしゅんを使い、一気に間合いを詰めたのだった。

風圧と砂埃は、その速さによるものであった。


そこからはヤンのラッシュ攻撃が始まる。

ホモゴブはガードするが、どんどんとあざを作り、ダメージを蓄積させていく。

ついにはガードがはがれ、ヤンの力の入った掌底打ちで軽く吹っ飛んだ。


何とか受け身をとったホモゴブがゆっくり立ち上がる時だった。


闘気貫圧拳とうきかんあつけん!」


その声がした後、ホモゴブの鳩尾に激痛が走った。


「ぐぐおおぉぉ!!!」


ホモゴブは遂に膝をつく。

全身は震え、意識が薄くなっていた。


(そこからっだとぉ・・!!)


ヤンは膝をついたホモゴブをずっと見ていた。

追い打ちはしなかったのだ。


「拙者の勝ちだ。通させてもらうぞ。」


ホモゴブはその言葉を聞くと、手のひらで頬をパチパチと軽く叩き、意識を何とか鮮明にさせる。


「まだ・・だ。門の中へ入れさせるわけにはいかん・・・。」


「まだ続けるつもりか!これ以上は死ぬぞ!!」


ヤンのその心配じみた言葉を聞き、ホモゴブはニヤリと笑う。


「フフ・・・侵入者のくせに俺を心配するとは変なやつだ・・・。だが、俺は門を、いや村を守らなければいけない・・・先に進みたかったら俺を殺してみろ!!」


ホモゴブは気合いを見せつけるように威嚇して、ボクシングの構えをとる。

その目は何かを覚悟した目で、気迫がヤンのところまで伝わった。


「押忍!なら拙者が全力で受け止めよう!」


ヤンもまたそう言い、構えた。

ヤンとホモゴブの2人はこの戦いの意味の受け取り方がそれぞれ違っていたようだった。

どちらかというとヤンがズレていた。


そして次の瞬間だった。


ズウウウゥゥゥ!・・・ドッゴッン!!!


ホモゴブの強烈な顔面ストレートが入り、ヤンは大きく吹っ飛んだ。

ヤンは体を地面に打って引きずる。その後を追うように砂埃が舞った。

ヤンの頬は打撲し、かなりのダメージであることがわかるほどの痕ができていた。


そのストレートは瞬間移動したといってもいいぐらいで、ヤンの目には少しも捉えることができなかった。

ホモゴブがさっき立っていた位置から、今立っている位置まで2本、ライン上に煙がシュウウウゥゥ・・・と立っていた。

足の裏の摩擦で発生した煙だったのだ。


ホモゴブはストレートを繰り出した体勢のまま、固まっていた。

そしてヤンが頬を押さえながら立ち上がった時に呟いた。


「パスド・・ストレート・・。」






























*カポエイラ--格闘技の名前。

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