森の王
ヤンが川に到着したころの朝の洞窟。
「・・て・・起きて・・ルークド。」
(・・・・・う、う~ん・・あれ?ライネット?・・違う・・この温かい手・・。ア、アリー!?)
「!!」
ルークドは温もりを感じ、目を覚ました。
目を覚ますと洞窟内にマリもヤンもおらず1人だった。
ルークドは今までずっと熟睡していたのだった。
「ふぁ~あ~・・・・・あれ俺1人か・・?」
寝起きともあって今の状況をよく理解できないでいた。
だがすぐに何かを察知する。
さっきからパラ・・パラ・・と洞窟の天井から小石が降ってくるのだ。
「!!!」
ルークドは反射的に剣を持って、かなりのスピードで洞窟の外に飛び出した。
ほぼスライディングに近い動きで外に出ると片手で地面をズザアアァァ!!と引きずるようにブレーキをかけながら回転する。
砂埃が大きく舞った。
ちょうどドゴオオオォォォン!!と音を立て、洞窟が崩壊したのと同時だった。
そこでルークドは見たのだ。
洞窟の外にいたのは8メートルほどの大きな魔物。
茶色と黒の体毛。大きな肉厚な体。特徴的な形をした角が2本生えており、髭を大きく垂らしていた。
そんな魔物が両腕を高く振り上げて叩き落とし、洞窟を破壊したのだ。
洞窟は跡形も無くなるように粉砕され、ただの落石現場のように姿を変えていた。
ちょうどルークドが起きたときに洞窟の入り口側に立っていて、もう少し遅れれば、ルークドは洞窟と同じように粉砕されていた。
「ゴクッ・・・。」
ルークドは汗が出始め、魔物の後ろ姿をまじまじと見ていた。
そしてその魔物は四足歩行に戻り、ルークドのいる後ろをゆっくり振り返る。
ルークドはその魔物の正面を見て確信した。
「くっ・・クソ!・・・ハイコング!!」
ルークドはその魔物を依然、学科で聞いていた。
森の生態系ヒエラルキーの頂点に君臨する危険種。
それに危険種の中でもかなり上位で通称「森の王」と呼ばれているハイコング。
優れた運動能力と属性土と風の魔法を使うのが特徴だった。
ルークドは剣を抜いて、構える。
必死に行動を考えていた。
(まさかハイコングに遭遇するとはな・・ついてねぇ。どうする?逃げるか?・・・。)
学科のことを思い出す。
(いや・・逃げ切るのは無理だ。逆にやられてしまう。だが今ここで戦って倒すのは可能か・・?
チッ!ヤンとマリがいれば・・!今の俺1人が倒しきるのは困難だ。)
さらに思考を巡らす。
(それに目的はゲンエイガハラ村にたどり着くことだ。こいつを倒すことではない。)
そこでルークドはケリーが言っていたことを完全に思い出す。
(・・・・いや、ハイコングは聡明な魔物だ。俺が強いということをわからせてやればいい。
俺は殺せないと。そうすれば引き返すはず・・・。)
ルークドの取る行動は決まった。
(ヤンとマリのことはとりあえず後だ。まずはこいつをなんとかしないとな・・。)
ハイコングは威嚇をしていた。
ルークドは深呼吸をして体に力を入れる。
「いくぞ!」
対峙したルークドとハイコングは戦い始める。




