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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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女エルフ戦Ⅳ ~消耗~

何本、いや何十本という樹木が一気に切り倒された衝撃はかなりのもので、激しい轟音と振動、砂埃や木くず、風圧を出し、煙がしばらく治まらなかった。


マリは倒木した時の、風圧に飛ばされないように目を手でかばいながらずっと踏ん張っていた。

そしてある程度治まると手のひらを貫通している矢と肩の矢を引き抜いた。

普通ならかなりの痛みではあるが、もはや痛みを感じないほど集中状態にあった。

メイスを拾い上げ、ベルトに入れて女エルフが落下した場所に歩いて行く。


女エルフは運良く、倒木の下敷きにはならず地面に転がっていた。

手に持っていた弓は落下の際どこかに落ち、矢筒は落下の衝撃でバラバラに壊れてしまった。

周りに矢が散乱していた。

また背中にあった杖は折れてしまっていた。

何とか起き上がる。


(・・まさかあそこまでとは・・・くっ!ここはいったん引かなければ・・・殺されてしまう・・。)


まだ、砂埃が立っていてよく見えなかった。

その間に、胴体やお尻の革のベルト類、折れてしまった杖などすべての装備を地面に落とす。

完全にすべての装備を放棄して軽量化し、逃げる体勢に入っていた。


(痛い・・・・。)


女エルフは頭から流血しており、全身の打撲もひどかった。

そしてかなりのスピードで動き続けてきたため、消耗していた。

よろよろと立ち上がる時にはすでに砂埃は薄まっていた。

立ち上がった時だった。


「・・・ウォーターショット!!」


その声と共に大きな水の粒が散弾のように飛んでくる。


ヅアァァァン!!という音を立て、女エルフの体に直撃する。

地肌にも当たった。


「ぐっ!!・・・カハァッ!」


女エルフは勢いよく吹っ飛んで、後ろの倒木に背中を激しく打った。

そのダメージのあまり失神しそうだった。

倒木にもたれた状態になり、なんとか片目を開けるとマリが歩いて近づいてくるのがわかった。


マリは女エルフの少し離れた位置まで来ると止まる。


「・・・これで終わりね。安心しなさい、痛みは感じさせないわ。」


マリはぐったりした女エルフにそう言うと血まみれの手のひらを向ける。


「・・・・リッパーウォーター!・・・・・・・・・。」


だが何も起きなかった。

そしてもう一度繰り返す。


「・・!?・・・リッパーウォーターー!!」


やはり何も起きない。


「ど、どうなってるの!?魔法が出ない!!」


マリは手のひらを見つめる。

ひどく動揺していた。

いつものように魔法が使えない理由を瞬時に考える。


(もしかしてこれって・・・!!)


理由がわかった時だった。


「・・・・ブラインド・・・フラッシュ・・・。」


女エルフがそう弱々しく呟く。

マリはハッと気づき、女エルフを見るが遅かった。

女エルフから神々しい黄色の妖精が目の前に出ると、ピッカ!と発光し、マリはまぶしさのあまり何も見えなかった。

その光は、一瞬その森林一帯が昼になったかのように明るくなるほどで、しばらくマリの視界を奪い続けた。


マリは目を押さえていた。

そして正常な視界ではないけれども、何とか女エルフのほうを見て確認しようとする。

だがそこにもう姿はなかった。


「・・・のがした!!」


マリはそこでドサッと力が抜け、尻餅をつく。

とりあえず、目の前から敵がいなくなったので緊張状態から開放されたのだ。

さらに追いかけようとは考えなかった。


(早く、止血しないとこのままじゃ・・!)


マリは回復を優先に考えた。

咄嗟の判断でさっきの小屋の中にフラフラとした足取りで急いで入り、ランタンの明かりをつけて、救急箱を開ける。


(運がいいわ・・・これなら・・。)


中は包帯や、傷薬、消毒液、治療薬などよく使われるものが入っていた。

マリはしゃがんで壁にもたれる。

メイスの入った腰のベルトを外し、痛みに耐えながら上の服を脱いでいく。

上半身裸になると一番痛む脇腹の傷を震える手で手当てする。続いて同じ要領で手のひら、肩と手当していく。

最後に包帯を巻き、とりあえずはすべての傷に応急手当ができた。

手当が終わった後、腕を通さずそのまま体の上から服を羽織る。

ネックレスは着けたままだった。

そこでやっと一息つく。


(たぶんこれが魔力枯渇状態ってやつね・・。思えば1日中、魔法を使い続けてきたし無理もないわ・・。

一番はたぶんシャドウウォーター(分身)ね・・・。もっと効率よく・・・。)


マリは学科で魔力枯渇について聞いた時のことを振り返っていると、ウトウトとし始める。


(・・後のことは・・明日に考え・・・とりあえず・・・今日は・・ここで・・・夜・・・・を・・・。)


その後、マリは気絶するように眠った。














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