女エルフ戦Ⅱ ~妖精魔法~
マリと女エルフの距離は確実に縮まっていた。
追う側のマリ、追われる側の女エルフの2人は共にその事を把握していた。
そしてまだ樹木があるところまでには、まだ少し距離があった。
(この間合いからならいける!)
そう確信したマリは走りながら、女エルフをしっかり捉えてアイスクルで攻撃しようとする。
だがその時だった。
女エルフは足をズザザッ!と地面にこすりつけるようにスピードの勢いを殺しながら回転する。
女エルフの足下に砂埃が舞った。
ちょうど追ってくるマリのほうを向く形になった。
(・・・っ!)
マリは女エルフが急に自分のほうを向いたことに驚き、アイスクルの発動が遅れてしまう。
マリの思考を読んでいたかのような絶妙なタイミングだったのだ。
女エルフの動きは隙を与える間もないぐらい、一連の動作がひとつの動きのようにとても流暢だった。
そして女エルフの体の周りを赤、水色、黄、黄緑、茶、神々しい黄、白の7色の光の球体がグルグルと回りながら現れ、浮遊する。
光は色こそ違えど遠くから蛍を見るように幻想的だった。
「力を貸して!・・・フェアリーファイアーー!!」
女エルフがそう叫ぶと赤い光の球体が独自に浮遊して、マリへ火の魔法を放つ。
1本の細長いビームのような炎が独特な挙動をして向かっていく。
マリは走るのをやめて、避けようと大きくバックステップし後退する。
炎は届かずに不発に終わろうかと思えた。
だがそうはならず、そのまま大きい動きで空中を移動しながらマリに向かっていく。
まさに対象を追尾している動きだった。
「う、うそっ!」
予想外の動きにマリは対応できなかった。
女エルフの傍を浮遊している赤い光の球体から放たれた魔法は高速かつ対象を追尾する炎だったのだ。
そしてマリへと着弾しブフウゥゥ!!ブオオオオオオォォ!!という音を立てる。
大火となりその周辺に熱風を広げ、一定の範囲を延焼させたのだった。
女エルフは命中を確認するとすぐにまた樹木がある方面へ全力疾走を始める。
光の球体はもう消えていた。
マリがなんとか炎の広がりをリリーヴウォーターを使って食い止めたため、すぐに鎮火はした。
だが地面の草は焼け、燃えた痕が大きく残っていた。火の粉も舞っていた。
「・・ハァ・・・・・ハァ・・・ハァ・・・・。」
マリは膝をついて大きく息が上がっていた。
リリーヴウォーターで自身の体を水の膜で包んだため、ダメージはそれなりにカットできたがそれでも体の複数の箇所に火傷を負っていた。
(・・これが妖精魔法・・・聞いていたけれど本物は初めて・・ね。)
マリは今のがエルフの人種だけが使える妖精魔法であるとわかっていた。
訓練の時に聞いていた。
光の球体の色は魔法の属性の色を表し、白の色は治療魔法なのが妖精魔法というもので、各それぞれの妖精の力を借りてその属性を扱うというのが特徴だった。
光の球体は妖精の姿そのものであった。
マリはピクピクとしながら何とか立ち上がる。
火傷の箇所が痛む。また全体的に消耗しており、とても無理ができる状態では無かった。
しかし、女エルフとの距離はどんどんと開いていき、今すぐに追いかけなければ見失うのは明らかだった。
なのでマリは回復などしている余裕などなかった。
女エルフを視界に捉え、また全力で追いかける。
頭の中は、ここで逃がすわけにはいかないという思考一色だった。
いつしかマリは主導権を相手に握られ、戦う前までの冷静さを失っていたのであった・・・・。




