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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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女エルフ戦Ⅰ ~美しき者どうしの戦い~

洞窟内にいたルークド、ヤンはすでに食事を終え、明日に備え就寝しようとしていた。

ルークドはすでに横になってウトウトとしており、ヤンは瞑想をしていたのだった。


「そろそろマリ殿が帰ってきてもいい頃合いと思うのだが・・随分と遅いな。」


「マリの事だし長風呂でもしてんじゃねーの。」


「のぼせているだけならいいが・・・。だがもし・・。」


マリの分のウルフの肉は、木の枝で刺して、たき火に当てていた。

いつでも食べられる状況にあった。


「ヤン。悪い・・俺、もう寝るわ。マリはたぶん平気だろ。少なからず訓練も受けてきたんだ。魔物程度

に絡まれても1人で大丈夫だろ・・・・・・・カァァァッ~・・カァァッ~・・カァァァッ~・・」


ルークドはそれだけを言うと、いびきをかいて寝てしまった。

それを見たヤンは喋るのを止め、静かにした。


(無理もない。今日一日中、森に強いからと拙者とマリ殿を率先して引率してくれたんだ。しっかり休んでくれルークド殿。)


たき火の音だけがする。

ヤンはゆっくり立ち上がり、洞窟の入り口付近に近づいて月が出ている空を見つめる。

そして昼間の出来事を思い出す。


(あの矢・・。あれを放った人物がもしマリ殿に・・・。

だがこの暗さで動けば危険か。それに今、行けば爆睡のルークド殿を1人にさせてしまう・・・。

う~ん・・長風呂と言われればまだその範疇でもあるし、魔物に遭遇したぐらいなら、なんら問題ない。

・・よし、もう少し待つことにしよう。)


ヤンはそう考えていた。




キィン!!


マリはメイスでまた矢を弾く。

そして女エルフに俊足で距離を詰めようとしていた。

だが女エルフは後ろに大きくバックステップしながら、着地するとマリへ向け速射。

それを何度も繰り返す。

まったく間隔を詰めさせなかった。


(くっ!・・けっこう素早いわね。でもいつまで持つかしらね。)


マリは女エルフに向けて走りながら矢を弾き、かわし続ける。



女エルフはなんとかこの状況を打開しようとしていた。


(なんて強気な!!このままでは矢の残り本数がっ!・・・・とりあえずは樹木があるところまで持ち込んで、そうすれば・・!)


女エルフがそう考えているとバックステップが遅れてしまい、マリとの距離が近づいてしまう。

それに動揺すると、発射しようとしていた矢を地面に落としてしまった。


「さぁ!どうしたの!」


マリはそう言いながらメイスで女エルフを殴る。


「っ!!!」


女エルフは顔を殴られ吹っ飛んでしまう。

だがすぐに受け身をとり、斜め掛けベルトから針を3本ほど抜きマリを捉えると飛ばす。

女エルフの頬に大きなあざができていた。


針は音も無く、高速にマリへと飛んでいく。

細く、軽いため速いので目で捉えるのが難しかった。


「ウォーターショット!!」


マリは手を勢いよく振り、水の大きな粒を散弾のように飛ばす。

ヅゥンヅゥン!と水の粒が針によって破裂した。

そのことによって飛んでくる針は全部さばけた。

残りの水の粒は女エルフへと飛んでいく。


女エルフは咄嗟に水の粒を捉え、空いているほうの手で同じところから針を抜き、指と指の間で掴んで正確にそれへと飛ばす。

見事的中し、すべて破裂した。

そしてすぐに後ろへ空中に高くバク転する。

バク転と同時にまず1本、そして高度が上がりながら2本目・・3本目・・・4本目と次々に速射していく。

その正確な手元使いは技術力の高さが表れていた。


マリはその場で立ち止まり、最初の1本は体を横に反らし避けた。

だが斜め上から、そして偏差のある連続する矢を捉えると、後ろへ大きく引かざるを得なかった。

後ろへ大きくバックステップし避けていく。

よけはしたがマリが初めて押された瞬間だった。

地面に矢が刺さる。


放物線を描くように女エルフは着地する。

そして着地と同時に太ももに巻いている革ベルトから小さめのナイフを抜くと刃物部分を持ち、狙いをつけることなく、そのまま投げつけた。

ナイフは縦に回転しながらマリに飛んでいく。


(これで・・最後!!)


女エルフはナイフを投げた後、息をつくまもなく膝をつき、矢筒から最後の1本の矢をとる。

そして低姿勢のまま、片目を閉じ、弦を最大限に引っ張って狙う。

今までと違う溜めた攻撃だった。

そして発射!!

一直線にかなりの威力を伴いマリに飛んでいく。


マリは怒濤の連続攻撃に少し次への動作が遅れた。

回転しながら飛んでくるナイフにアイスクルを放つ。

氷状の矢を3本飛ばす。

そのうちの2本がナイフに当たり、ガキィン!!ギィンギィン!とナイフが弾かれる音と、氷の矢が砕ける音が同時にする。

1本は女エルフへと飛んでいく。

だがナイフはさばけても、弾丸のように勢いよく向かってくる矢には対応できなかった。


(や・・やばい!!)


ブォォォォ!ヅップシィッ!!・・


風を伴った矢はマリの頬をかすめ、髪が数本ほど持って行かれた。

マリの頬に紙で擦ったような傷ができ、そこから出た血が矢の速さの風圧で飛び散った。

反射的に反応し、紙一重で避けることができたが死んでもおかしくはなかったとマリは感じた。

矢はそのまま一直線に遠くの木に大きな音を立て刺さった。


女エルフは自分に向かってくるアイスクルの1本に意表を突かれ、反応が遅れた。

紙一重で回避行動を取るがビリィ!!とマントを切られ、マントは地面に落ちた。


お互いにもう少しで危なかったことに愕然とし、離れた相手を見たまま固まってしまう。


女エルフはふっと我に返り、マリに背を向き、樹木のあるほうへ全力疾走する。

さっきまで見えなかった背中には魔法用の杖が装備されていた。

マントが無くなったことで肌身が出ている箇所が多い俊敏性重視の服装であると確認できた。


マリは自分から逃げ出す女エルフを見ると我に返る。

冷や汗をかいていた。


(少し・・舐めすぎたわね・・・。)


そう反省すると、頬の傷をヒーリングウォーターで治しながら女エルフを追おうとする。


「逃がさないっ!!」


そして女エルフの後を全力疾走で追いかける。





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