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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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正体

マリもフードの正体に驚きを隠せなかった。


(・・乙女の入浴時を狙うなんてどんな、はしたない野郎なのかしらって思ってたけど・・・

あの特徴的な耳、間違いないわね。エルフだわ。

それも私とそんなに年齢が変わらなさそうな女エルフとはね。

でも本当にこの女エルフが昼間に私たちを狙った正体なの・・?信じられないけど・・・。)


マリに矢を放った人物の正体は女エルフだったのだ。

マントを羽織って、後ろのお尻のあたりに矢筒が装備されていた。

両手には茶色い革のグローブらしきものを着けていた。

あとはマントで隠されていて、それぐらいの身なりしかわからなかった。

またエルフの特徴は学科で聞いたとおりだった。

その女エルフは、かなりの美貌の持ち主で、とても人殺しができるような風貌には見えなかった。

だからこそ、そんな人物が自分の心臓を射貫いたというのがマリは信じられなかった。


2人はじっと相手を見つめたまま固まっていた。


女エルフは女エルフで必死に状況把握をしようとしていた。

マリの死体が浮いていた温泉の方をチラッと確認する。


(死体が消えている・・・・あの時、私が近づくと水が爆発してダメージを負ってしまった。

きっと何か、水の属性の魔法による攻撃。・・・そして水の属性はもっとも柔軟な使い方ができる属性。

さらに射貫いたはずの相手が今、私の目の前にいる。)


女エルフは考えられることをすべて考えた。

そして把握できた。


(・・・温泉に入っていたのは魔法による分身!!そして分身を爆発させた。だから水が・・!

っ!・・・完全に侮った・・・そんな高度な魔法を使えるなんて・・!)


そんな僅かな間があった後、マリはゆっくりと腰のベルトに掛けてあるメイスを取ろうとしながらしゃべりだす。


「にしても私が1人になったところを狙いにきたということはやっぱり自分の強さに自信がないようね。

私たち3人が行動していた昼間は姿を少しも現すことも無かったし。

完全に油断していた昼食時を遠くから弓で狙うのが精一杯てところかしら・・ねぇ?」


マリは女エルフに対し、揺さぶりをかける。


「・・っ!!い、今すぐこの森から去りなさい!そうすれば見逃してあげてもいい。」


マリはその女エルフの反応に対し、鼻で笑った後、言う。


「それはもう遅いと思わない?あなたさっき私を殺したじゃない。それも裸の私に躊躇無く。

それにもう私たちの目的も気づいているんでしょ?ゲンエイガハラ村にたどり着くっていうね。

どうしてそんなに行かせたくないのかしらね?それにその口ぶり。何かこの場所と関係はありそうね。」


マリはメイスを掴んだ。


「・・・・・・・・・。」


女エルフは黙っていたが、汗をかき、目が泳いでいて動揺しているのは見て取れた。


「まぁ・・あなたが何者で、何が目的なのかはわからないけど何個かわかったことがあるわ。」


マリは自信のある様子で話し続ける。


「まずそれほど強くはないということ。次に対象が1人になると早速姿を現すその単純さ。

あと弓の腕はあっても、度胸はないようね。人を射貫いたのはさっきが初めて?

手がさっきから震えているわ。」


マリに指摘され、女エルフは初めて気づいた。

震えを隠し、止めようとする。


「あいつらにわざわざ言わずに囮になってよかったわ~。早々に出てきてくれるんだもん。

強さ、頭、度胸・・・それに美貌・・あっ!スタイルも?なんせすべて私が上回っているし、私からしたら格下相手で楽勝ね。」


マリがそこまで言い終わると、完全になめられたことを言われた女エルフは思わず怒って反応してしまう。


「・・なっ!あなたに私の何がわかるっていうんですか!?私にはゲンエイ(ガハラ)村を守るという重要な役割が・・・・・・っ!!」


女エルフは自分が口を滑らせたのに気づき、思わず口を手でふさぐ仕草をする。

だがすでに遅かった。


マリは大笑いした後、話す。


「なるほどね・・・そういうことだったのね。ふ~ん。身内以外の外部の人間は問答無用で侵入者扱いして、殺すんだ。

そんな異常な村が保護下におけるはずないわ。でもこれなら手っ取り早いわね。

村民は敵対行動を取り、対話の余地なし。よって武力を行使し、全滅。これで伝えなきゃね!」


「ま、待って!何も私たちはそんなつもりでは!!・・・昼間の事も去るようにと警告のために・・!!」


「私は女エルフだからって手加減はしないわ。覚悟しなさい!」


マリが動きだそうとする。

もはや戦闘になるのは避けきれなかった。


(っ・・!!どうしてこうなるのっ!!でもここで私が死ぬわけには・・・!!)


女エルフも戦闘覚悟を決めていた。

すると地面に転がっていた弓を視界に捉え、そこにローリングする。

弓を手に取り、矢筒から矢を1本取り、転がり終えると同時に速射!!


矢はものすごい高速で風を切る音を立て、マリへ向け一直線。

マリは掴んでいたメイスを即座に腰のベルトから抜くと飛んでくる矢をはたき落とすように弾く。


キィン!!


メイスの金属音と矢がぶつかる音がする。

矢は折れて、地面に落ちた。


その音は戦闘開始の合図だった・・・。








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