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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
デサン村編
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侵略の兆候

その顔は頭蓋骨そのものだった。

頭蓋骨の口が動きだし、低い声を発する。


「驚かせたかね。無理もないね。こんな姿だからね。」


「ス・・・スケルトン・・・?」

ルークドはそれが精いっぱいの言葉だった。


「そう私はわけあってこんな姿をしているんですよ。」


「古書でしか見たことないぞ・・・本当に存在するとはな・・・。」


ルークドは驚愕しながら言った。

ただスケルトンは反応に慣れている様子だった。

ノルスが口をはさむ。


「うぬ。私も初めて見た時はちょうどそんな反応だったよ。」


スケルトンが話す。


「私の名はハーバ・オックス・・・だったようだ。」


「だったようだ・・・てっ!なんだよそれ。

他人のように自分を紹介するようなやついるのかよ。」


ルークドの困惑と疑問を含んだ的確なツッコミがはいる。


オックスは咳払いをし、話を続ける。


「私はすでに500年前に死んでいるのだね。

その時の名前がハーバ・オックス。職業は「キングテレトリー魔法院大学」名誉教授。性別男。

おそらく死んだ時の年齢は推定81歳。

専門分野は魔法、軍事。そのなかでも特に魔法のなかでもね興味を引くのはね。

古代魔法なんだよね。これまたおもしろいんだよね。

現代の魔法には「火」「水」「雷」「風」「土」「光」の「第6大属性」があるよね。

でもこれはひとつ属性が足りないんだよね。

実は古代魔法にはもうひとつ属性があってね。それは「黒魔法」ていうのだけれども・・・」


そこまで早口で言ったところで痺れを切らしたのかノルスが意味ありげな「オッホン!」と咳払いをする。


「おおっと・・いかんいかん。私の悪い癖でね。ついつい講義に入ってしまう。

本題に入ろう。

ルークド君。君は世界がもうひとつあったらどうするかね?」


「はぁ?世界がもうひとつだと?

突然なに言ってんだよ。

意味不明だ。」


「そう。これは決して哲学的な問いではないんだよね。

その言葉の機能が表す意味そのものなんだよね。」


(だめだこのガイコツ・・会話にならねぇ・・・)


ルークドはそう思わざるを得なかった。


オックスはさらに話す。


「我々の世界つまり「キングテレトリー」において「キング」は絶対的かつ最強だよね。」


「あぁ・・・この世界において「キング」より強いやつはいない。

そのおかげでこの世界は戦争がない世界で、そして文明を築くことができてみんなが安心して生活することができたんだ。それが未来永劫続くと。」


「フフフ・・そうだよね。「この世界」においてはだよね。

そこでひとつの疑問がわく。私たちの知っている「世界」は本当に「世界」か?

私たちは「キングテレトリー」がある、この大陸が「世界」のすべてだと信じてきた。

だがもうひとつ大陸があるとすれば?」


その言葉はなにかを開くような言葉だった。

規模が大きすぎてとても信じられないが

妄想話と一蹴することができないほど真実味をルークドは感じていた。

オックスはさらに続ける。


「実際、わが国の多くの冒険者が世界の端にはなにがあるのだろうという疑問から海を渡っていったんだよね。

でもいまだ生還者はゼロなんだよね。私も報告を楽しみにしていたんだけどね。

あくまで私の考察に基づく推論なのだがね。彼らはみんなもうひとつの・・・うーん、ここでは仮にもうひとつのよくわからないキングテレトリーだから「キングテレトリーダーク」としておこう。

その世界に拘束されたかあるいは殺されたんだと思うんだよね。

それを確信したのは襲撃のあの日、マスクをして複雑な骨格のようなアーマーを身につけ、銃という武器を装備した兵士を見た時だね。

それにその兵士たちは、さっきの属性の話につながるけれども現代では失われた黒魔法を使っていたんだよね。

さらには「ブラックキューブ」と呼ばれるオーパーツも持っていたんだね。

ここではキューブについて省略するがこれらが意味し、導かれることは・・・・。」


オックスが区切りをつけ改めて言う。


「私たちより遥かに文明が進んだもうひとつの「キングテレトリー」があるということ。

そしてその世界が私たちの「キングテレトリー」へ侵略をしキングを殺し、この混乱も招いたということ。」


ルークドは圧倒されて黙ったままだった。


聞いていたノルスが久々に口を開く。


「オックス教授の話す通りなら「キング」を超えるものもいても不思議ではないということだ。

教授の屍になってもなお研究に向かう姿勢の賜物かね。」


「フフ・・・私は研究に没頭しすぎてそのまま屍になったわけではないのですよ・・・ノルスさん。

私自身も黒魔法で生かされていますからね。誰がやったかはわかりませんが。

私の推測ではおそらく「キングテレトリーダーク」に当事者がいるとおもいますがね。

ぜひ会ってみたいですよ。黒魔法のいろいろな・・・」


オックスはどこを向いているのか、一人ぶつぶつ呟いていた。


「なぜ俺にそんなことを?俺とこの村に関係があるのか?」


ルークドがノルスに疑問を投げかける。


「一種の注意喚起のためだよ。つまりは大きな内紛、戦争にこの国は突入するということだね。

これから君は村を守っていくのだから。」


厳格な雰囲気で言う。


「おおそうか。じゃあありがたくアドバイスもらっとくわ。用は済んだろ。じゃあな。」


「あぁ・・ではな。」


ノルスたちは後ろを向いて、扉の方へ歩いて行く。

その時、ノルスは顔を少し横に向けた。


「だが、君は必ず私たちと共にする運命になるだろう・・・。なんせ君は・・・」


ノルスがなにやら呟いているその時だった。


扉がダァン!と大きな音を立て吹っ飛んだ。


「オララアアアァアァァァーーー!!!」


野太い声が響き、その人影はノルスのほうへ向かっていく。















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