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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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語られる闘気家の道

洞窟に残ったルークド、ヤンの2人は消えてしまったたき火をもう一回作り直した。

そしてそのたき火でびしょ濡れの服を乾かしながら食事をとることにし、昼にストックしておいたウルフの肉が入った袋を開ける。


「冷凍保存して甲斐があったな、新鮮だ。にしても1人の時より随分とサバイバルが楽に感じるぜ。」


ルークドは魔法を使って解凍し、肉を焼き始める。


「すまぬ。拙者も魔法の1つぐらい使えれば役に立てるのだが・・・。」


「なーに、それぐらい気にすんな。」


ルークドは焼き上がった肉をヤンに渡した。

手元に焼き上がった肉が揃うと2人は食べ始めたのだった。



しばらくの間、沈黙が続き、たき火のパチ・・パチ・・という燃える音だけが洞窟に響く。

多少の気まずさもあってかルークドはヤンに話題を振る。


「そういえば・・ヤンてどうしてキングリメイカーに入ろうと思ったんだ?

やっぱり俺と同じでキングテレトリーの復活を?」


「まぁ・・・結局はそういうことになるな。世の中が乱れる時こそ闘気の力が必要になると思っている。」


ヤンはそれを言った後、何かを考えているような沈黙があった。


「たが・・個人的な理由もある。少し長話になるかもしれないが、いいか?ルークド殿。」


「あぁ、ぜひ聞かせてくれ。俺も興味がある。」


ルークドは食べながらヤンのほうを見て、聞く体勢に入る。

そこでヤンは食べるのをいったん止め、改まって語り始める。


「そうだな・・これを話すなら、まず闘気道の歴史について説明する必要があるか。

闘気自体については前に言ったとおりだ。人、全員に闘気があると。

そしてその事を発見し、武道へと発展させたのがマサスケシンドウという人なんだ。

これが闘気道の始まり、つまり開祖ということだな。生没すらわかっておらず伝説に近い。」


ルークドは聞き入る。


「少し脱線すると伝記にはこのような言葉が残っている。

”為すのが人間で力だ”と」


「ど、どういう意味なんだ?」


「正直、拙者にもわからない。いや誰もそのマサスケシンドウの発言の真意なんてわからないだろう。

だが拙者の解釈なら、”闘気は何かを為すために人間に与えられた力なのだ”ということだと思う。

だからさっきの事につながるが、闘気はまさに今、乱れた世の中を変えるために使われる時だと拙者は思う。」


「なるほどなぁ・・つまりヤン自身の闘気に対する信念てことか。それがキングテレトリー復活という目的につながると。」


「押忍。それがさっきの補足説明ってことではあるな。」


ヤンは語り続ける。


「本題に戻そう。そのマサスケシンドウという人物の正統の継承者が拙者の師匠にあたるんだ。」


「それはかなりすごそうな人物だな。」


「あぁ・・師匠は強い。12の有識に匹敵・・いやそれ以上かもしれん。間違いなく闘気道では最強・・・最強だった。」


「だった・・・?」


ヤンは会釈して話し始める。


「師匠は闘気道の道場を開いていて最大派だった。門下生は強者つわものばかりが数百人。

その中でも師匠の歴代最高といってもいい弟子がいたんだ。

その男の名はソン=ウー。拙者が道場にいた時はすでに師範になっていたからもういなかったが。」


ルークドも食べる手が止まっていた。


「そしてある日、ソン=ウーは師匠のいる道場に帰ってきたのだ。

普通なら恩師の顔やその弟子、門下生を見に来たといったところだろう。

だがあの男は違った。・・・・・師匠を殺しに来たのだ。」


「・・・・!?・・ど、どういうことだ?」


「ソン=ウーは闘気道とは別の闘気を生み出し帰ってきたのだ。

自分が生み出した闘気がマサスケシンドウの闘気を超えたことを証明するために、その正統の継承者である師匠を殺したんだ。」


ヤンは思い出すように語る。


「あれは1対1の決闘だった。拙者含めて、道場の弟子、門下生が見てる前で師匠は殺された。

あれは闘気家同士の”死合”・・・手出しをすることなど誰も許されなかった。

そして師匠を殺した後、ソン=ウーは高々に笑いこっちを見て言ったんだ。


『これでっ!証明された!!ワタシはマサスケシンドウを超えたあぁぁぁ!!!・・超えたのだ!!

貴様らが闘気と呼んでいるものは偽りぃ!!ワタシが生み出した「殺気さっき道」こそ本物ぉ!!

闘気が「為すのが人間で力だ」と言うなら、「為すものは殺人、為すのも人間」

そうだあぁ!人の本質は殺し!!他者を殺し生きるものこそが純粋かつ究極の理想!!

そのためにこの力・・・そう殺気さつきは与えられたのだぁ!!

ヌハハハハハハハハハハハハハハハハハっっ!!ヌハハハハハハハハハ・・・・・・・・』


その後もソン=ウーは笑い続けた。あの時の顔は今でも忘れられないな。」


ルークドは何も言えなかった。

たき火のパチ・・・パチ・・・という音だけが洞窟に響く。


「すまぬ、少し重すぎたな。この話は終わりにしよう。」


ヤンが申し訳なさそうに言う。

だがルークドは、はっきりと聞きたかった。


「ソン=ウーに復讐するためでもあるのか?」


「いや・・・特別に憎んでいるということでもない。もちろん恩師を殺すなど考えられないことだ。

だが闘気家たるもの闘って負け、死ぬことは仕方が無いのだ。師匠もそれはわかっていたはずだ。

だから師匠の仇というよりも拙者は殺気さっき道ではなく闘気道こそが本物であると証明したいだけなのだ。

・・・まぁこれならソン=ウーと変わらないかもしれない。

だが拙者の闘気への信念が燃えるのだ。」


ルークドはそこまで聞くと、仰向けで寝転がり天井を見つめる。


「ふーーん。俺にはその信念、さっぱり理解できないぜ。」


そのルークドの反応にヤンは思わずニヤリと笑う。


「フッ・・・えらく正直だな。ルークド殿。だが聞いてもらえただけでも拙者はありがたい。

道場以外の人間でこうやって話せたのは、初めてだ。」


ちょっとするとルークドは勢いよく起き上がる。


「まっ!だからこその信念なんだろうな!!マサスケシンドウ?って・・人もきっとそういうことを言いたかったんじゃねーかな。俺にはわかんねーけどな!」


「おぉ!なんと・・・!?そういう解釈の仕方もあるのか・・!なるほどぉ・・・・・。」


「んじゃあさっさと続き食べようぜ!」


ルークドは、また食べ始めた。

ヤンは解釈に関心しつつ、いろいろと物思いにふけっていた。


(紫色の闘気・・・。あの後、ソン=ウーは消息不明になってしまった。

殺し屋になったとの噂もあるが・・それはわからない。

師匠を失った道場は、ばらばらに。

そして拙者は自分の信念に基づきキングリメイカーの門戸を叩いた。

すると良き縁に恵まれた。

そうやって共に進んでいくのがいいのかもしれない。

さすれば自ずと道は・・・!)



すでに濡れた服は乾いていた。








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