築かれる友好
風を切る音と共にルークドが掴んでぶら下がっていた肉を高速の矢が貫いた。
そして肉を貫通させた矢はそのまま後ろの木へと刺さった。
その攻撃はどうみても普通ではないことは3人ともすぐにわかった。
「チッ!!奇襲か!?」
ルークドは即座に剣を抜き、戦闘態勢に入る。
マリ、ヤンも同様だった。
3人は矢が飛んできた方向を見る。
「ホモゴブとウルフの群れだな。」
確認したヤンが言う。
「でも弓を持ってるやつがいないわ。じゃあさっきの攻撃は何!!?」
3人とも敵の正体に動揺していた。
予想と違っていたからである。
「それは後だ。先にこいつらを片付けるぞ!・・・マリ!お前は見てろ。そんな状態で動かれたら足手まといだ。・・・やるぞ!ヤン!」
「押忍!」
「な、何よ!空腹ぐらい別に・・!」グウウウゥゥゥ・・・
マリがそう返すころにはルークドとヤンはすでに群れの中に向かって踏み込んでいた。
ルークドはウルフの群れに近づき、シュッシュッシュッと素早く、確実に一匹ずつ仕留めていく。
ウルフの群れはルークドのスピードに反応できず、傍から見ると無抵抗なままに見えた。
血が一振りの度、剣に付着し地面に広がる。
(拙者はホモゴブを!・・・遍!!)
「セイヤァ!!」
棍棒を持ったホモゴブに白い闘気を纏った正拳突きを繰り出す。
鈍い音を上げて、一体吹っ飛んだ。
立ち上がる事は無かった。
そしてすぐに別の個体へ接近し、同じように正拳突きを繰り出す。
ホモゴブもまた、ヤンのスピードにほとんど対応できなかった。
(これで・・・最後!)
「闘気貫圧拳!!」
残る最後のホモゴブの胴体に向けて、離れたところから正拳突きを繰り出す。
するとわずかなタイムラグの後に、そのホモゴブの体に穴が空き、ゆっくりと後ろへドサッ!と倒れた。
「うまくいったか。」
ヤンは全滅を確認すると構えを解く。
ちょうどルークドのほうも終わっていた。
そして3人は集合する。
「この程度なら俺たちの敵じゃないな。剣の練習にもならねぇ。」
「あぁ・・だがホモゴブとウルフたちが共に行動していたことが気になるな。
本来ならありえないはずだ。ケリー殿も魔物は違う種に対しては命の奪い合いしかしないと言っていた。」
「確かにそこは俺も気になったな。長年狩りをしてきた俺でも別種が共に行動するなんて初めて見る。」
「それにあの矢による攻撃は一体・・。」
「矢のタイミングといい、魔物の遭遇頻度といい何だか気味が悪いわ・・・。誰かに監視でもされているようだわ・・・。」
3人の間に不穏な空気が流れ出す。
それを切り裂くように口を開いたのはルークドだった。
「そうだな。何が起きてもいいように全員常に状態はよくしておこう。そのために・・・・だ。」
ルークドは地面に転がっているウルフの死体からタガーナイフで肉を切り取り、魔法で少しばかりの間、焼く。
その間、2人はだまって見ていた。
「ほら、マリ。」
焼けた肉をマリに放り投げた。
マリはそれを受け取った。
「さっきほど、うまくはないかもしれないが十分食べられるようにはなってるはずだ。」
「あ・・・ありがと。」
マリは少し照れていた。
そしてよほどの空腹だったのか、ガツガツと食べ始めた。
「マリが食べている間、ここにあるウルフの死体から肉を切り取って夜のためにストックしようと思う。確保できる時にしといたほうがいいだろ?」
「なら拙者も手伝おう。・・このホモゴブの体に巻き付いている袋を使うのはどうだ。ルークド殿。」
「おっ!ちょうどいいな。使おう。」
マリが食べ終わる頃、作業も終わった。
ヤンがウルフの肉が入った袋を肩に担いで持った。
「よし!こんなもんだな。じゃあ先へ進もう。あまり同じ場所にとどまるのは危険だ。」
「ルークド殿の言うとおり、まだ日もあることだし今日はもう少し進むことにしよう。それに、ここは樹陰だ。
できればある程度開けた場所にたどり着きたいものだ。」
「そうしよう。・・・マリ済んだか?」
「えぇ、済んだわ。行きましょ。・・・にしてもルークド。あんたもいいところあるじゃない。見直してあげてもいいけど、どうする?」
「あぁ・・そう言うならぜひ、行動で恩返ししてくれ。期待してるぜ。」
「・・そうね。私がちゃんと覚えていたら、だけど。」
ルークドとマリはお互い顔を見合わせ軽く笑みを浮かべた。




