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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー実戦編
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成長の実感

樹海を程よく進んだルークド、マリ、ヤンの3人は周りをウルフの群れに囲まれていた。


「この数、随分と手厚い歓迎だな。」


ルークドはそう言いながら剣を抜く。


「誰かさんの臭いに寄ってきたんじゃない。ねぇ?ウルフのハンバーグが好物な人?まさに相思相愛て感じだわ。」


マリはルークドを意味ありげに横目で見ながら、ベルトからメイスを手に取る。


「あぁ、そうだな。お前のそのガキのしょんべん臭さに寄ってきたんだろうな。」


「はあぁ!?何、死にたいの?」


「2人とも後にしろ。先に片付けるぞ!」


「言われ・・なくても!!」


ルークドはそう言うと、勢いよくウルフたちに向かって飛び出す。

そして、ほぼ同時にマリとヤンもそれぞれウルフたちに向かっていく。



(なんだ・・?動かないのか?)


ルークドは一匹に接近すると素早く切る。

ブシュイイィィと血が飛び散る音がして一匹息絶えた。


そして同じように一匹一匹、また一匹と同じように確実に、最小限の力で仕留めていく。


(いや、ウルフが俺のスピードに反応できていないだけか。)


ルークドは、ほんの数秒程度で五匹仕留めた。

そこでようやくルークドの近くにいた最後の一匹が反応し、飛びかかろうとする。


(・・・止まって見える。)


ルークドは剣を両手で持ち、飛びかかってきたところを垂直に切る。

デゥシイイィィ!!と血の音を立て、ウルフは顔から体がきれいに真っ二つになった。

それぞれ半分ずつウルフの左半身、右半身とルークドの後ろの地面に勢いよく落ちた。


(こんなに楽に倒せるとは・・・。かつての俺なら魔法で焼き払っていたはずだ。)


「今回は魔法使うまでもなかったなー。」


ルークドはそう呟きながら、2人の様子を見る・・・。



(闘気を使うほどでもないか。)


ヤンはそんなことを思いながら、飛びかかってくるウルフの頭や内臓部分に的確に肘鉄や、蹴り、掌底打ち

を繰り出す。

ドゴッ!!メキッ!ボキッ!と鈍い音を立てウルフは飛ばされて、ぐったりとしたまま立ち上がらなかった。


四匹ほど倒すとヤンの周りにはウルフはもういなかった。


「これで終わりか・・・。試す機会もなかったな。さて2人は・・」




「ザコはおとなしくしてなーさい!」


マリは飛びかかってきたウルフを脳天めがけて、メイスを振り下ろす。

そのウルフは弱々しい声をあげ、バウンドするように吹っ飛んで息絶えた。


それと同時に別のウルフがマリに向かって飛びかかる。

だがマリはバク転をして、そのウルフを空中へと見事に蹴り上げる。

マリは足が地面につくと、滞空中のウルフに向かって手を上げる。


「アイスクル!」


マリは氷の矢を二本同時に放つ。

空中のウルフの体に刺さり、そのウルフは息絶えた。


そしてマリは前を見る。


「あと三匹・・相手にするのもめんどくさいわ。」


マリは三匹に手を向ける。


「コールドフリーズ!」


冷気が、その辺を包みウルフたちは動かなくなってしまった。


「はい、終~了!」


マリがそう言い終わると、ちょうど氷が刺さったウルフがドサッ!と音を立て落ちてきた。



3人ともほぼ同時に終えていた。


「これで一通り片付いたか。」


「みたいね。」


「いや、まだ三匹残ってるけど。」


ルークドは剣の先っぽを3匹に向ける。


「はぁ、そうよねー。あんたにはわからないでしょうね。あれはもう死んでるのよ。」


ヤンとルークドが動かないままの3匹に近づき、触って確認する。


「い、痛っ!」


ルークドは反射的に手を引っ込める。

その様子を見たマリは自慢げな表情でルークドに向け話し出す。


「どう?外見からはわからないでしょーけど、そいつら凍って死んでるのよ。美しい芸術でしょう~?あんたには到底できないものよ。」


「いやそんなこと、どーでもいいけどさぁ・・俺が触る前に言ってくれよ。凍傷しちまったよ。あぁ、クソいってー!」


ルークドは指を気にしていた。


「なっ!?あんたに私の魔法の美しさを証明してやってんでしょーが!」


「美しさ?美しさなら俺の真っ二つにしたウルフの体のほうが美しいだろ。それにこのウルフたちの死体を昼飯にしようと思ってたのに、凍らしたらまずくなるだろ!」


「そう言えば、そろそろ昼か。樹海に入って歩き続けてきたしちょうどいい。

ルークド殿の言うとおり、ここらで昼食にしよう。」


「だよなー。俺も腹減っちまって。・・ヤン、マリが倒した以外のウルフをかき集めてくれ。俺の魔法で焼くから。」


「おお!それはいい!」


ルークドとヤンは昼食の準備をし始める。


「ちょっと!話終わってないし、てか無視しないでよ!」


「えっ?どうせお前は俺が焼いたウルフの肉なんて食わないだろ?なんだ、食べたいのか?」


マリは少しほっぺを赤くし、目をそらす。


「え、えぇ・・そうね。い、いらないわ。だ、誰が食べるもんですか。」



しばらく後、ヤンがウルフの死体を一カ所に集めた。


「よし、これで全部だな。ここからどうするのだ?ルークド殿。」


「まぁまぁ見てなって!最高にうまい肉を出してやるからな。後は俺にまかせてくれ!ウルフの事は知り尽くしているからな!」


ルークドはウルフの食べられる部分をタガーナイフで切り取り、そのへんの大きい石を皿にして置いた。

そしてそこからルークドは魔法で焼いていく。

絶妙な火加減かつ中までしっかり通るように魔法の強い火力で焼く。それは長年ルークドが狩りをしてきたノウハウの賜物であった。

ジュージューと音を立て、おいしそうな臭い、煙が充満する。


「お、おおぉ~!」


ヤンも思わず声をあげてしまう。

マリも視線がそれに釘着けだった。


少しの後。


「よし!こんなもんだな。」


ルークドとヤンは肉を手に取る。

2人は目を合わせる。


「じゃあ・・・あっ!マリ、お前は見張りな。」


ルークドはマリに指示する。

ふん!といった感じでマリはねた態度を取る。


「いただきます。」


2人は一口一口また一口と、もはや止まらなかった。

おいしそうにガツガツと食べ続ける。

その2人の様子をマリはずーーと見ていた。


2人は無言で食べ続け、ついに肉が残り1つになった。


「ふぅ・・ルークド殿。最高だった。もはや語るのも不要なぐらいのおいしさだった。また頼む。拙者はもう満腹だ。」


「だろ~。そこまで言ってもらえるとよかったぜ。・・・じゃあ最後のは俺が・・。」


ルークドが最後の肉を手に取る。


「・・・ん?何だよジッーと見やがって。ちゃんと最後まで見張りをしろ。」


マリは体を前のめりに肉を見ていた。

無くなりそうな肉に対して、ストップをかけるように手を前に出していた。

理性では抑えきれないほど肉を欲していたのだった。


「あれぇ?欲しいのかな?」


ルークドは笑みを浮かべながら、マリを揺さぶる。


「い、いらない。」


その時だった。


グウウゥゥゥゥゥとマリの腹から音が鳴る。


マリは赤面状態になり、目も泳ぎまくっていた。


なんとも言えない空気が流れた。


「時に、正直になることも必要だぞ。マリ殿。」


そう言ったのはヤンだった。

ヤンにそのように諭され、悔しさや恥ずかしさのあまり涙目、赤面状態だった。

だがルークドにとってはチャンスだった。


「どうしようかなー、日頃の態度悪いしなー。

さっきの凍傷したことに対してもなんも無しだしなー。(チラッ」


「あーー!!もう、わかったわよ!!全部私が悪かったですー!!ほ、ほら凍傷したところ見せなさい!」


ひどく動揺したままルークドの手を強引に掴む。

凍傷したところを見つけると、そこに手をかざす。


「・・・ひ、ヒーリングウォーター。」


すると凍傷したところに水の塊がくっついて、傷が治っていく。


「へーお前こんなこともできたんだな。水の魔法で治療もできるのか。」


ルークドは思わず関心してしまう。


「さ、さぁ、これで治ったでしょ!さっさとよこ・・!じゃなくて・・・・ちょ・・ちょうだい?」


「ほー、ちゃんとやればできるんだな。」


「うんうん。」


ヤンはマリの態度に納得するような素振りを見せた。


「んじゃあ、仕方ねぇなー、座れ。」


マリは何も言わず座る。


「ほら、好きに食べていいぞ。食べ終わるまで待っててやるから。」


ルークドは肉を差し出す。

マリは鼻息を荒くし、よだれが隠しきれなかった。

それは空腹の度合いの表れだった。


(もはや犬だな・・・。)


ルークドはそんなマリの姿を見てそう思った。


そしてマリが肉を受け取ろうとした、その時だった・・・!!









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