老兵隊長と新鋭の副隊長
ルークド、マリ、ヤンの3人が門に着いた時には、馬車が止まっていた。
そして全員が揃ったので、出発することになった。
「みなさん揃ったようですな。樹海の入り口まではこの馬車でお送りしますぞ。」
そう言ったのは老兵隊長のオーガだった。
オーガはキングテレトリー軍の軽鎧の格好をしていた。
「おっ、入り口まで送ってくれるのか。そりゃ助かる。」
ルークドが返答した。
「本当はもっと目的地の近くまでお送りしたいところなんですが、なんせ未開拓の樹海で馬車はどうも厳しくて。」
そう言ったのはオーガの横に立っていた兵士だった。
格好はオーガと同じだった。
「入り口まで送ってくれるだけでもありがたい。」
ヤンが言った。
「そういえば、まだ私の名前を言っていませんでしたね。名前はエル・ハンスといいます。
まだ未熟ですがキングリメイカー隊の副隊長をやらしてもらっています。
ルークドさん、マリさん、ヤンさん、よろしくお願いします。」
ハンスは、ハキハキと誠実にしゃべり、印象は好青年といった人物だった。
年齢は20代後半といったところで、まだ若さが残っていた。
「あぁ、よろしくな!」
ルークド含め、マリ、ヤンともそれぞれに握手をする。
握手が済んだ時に、オーガは言った。
「ホッホッホッ!私のような老いぼれは先が短いですからの。ハンスは次期の隊長として期待している次第であります。もうかなりの付き合いでもありまして~ねぇ、安心して任せることができるもんですよ。」
「た、隊長、すぐそうやって自虐を~。私にはまだまだ隊長から教わりことがあります。」
ハンスは少し困惑気味に言う。
「ホッホッホッ!」
そのハンスの言葉をオーガは笑って受け流す。
「では出発しましょうか。」
そうハンスは言うと、馬の操縦席へ向かう。
ただオーガはルークドをじっと見ていた。
「あの時の坊ちゃんが・・・そうですかぁ。随分と大きくなられたことで。」
「オーガさんと昔からの知り合いだったの?」
マリがルークドに聞く。
「えっ・・あぁ・・・この訓練所で会ったのが初めてだと思うが・・・。う、う~ん・・
す、すまない。俺はわからない。」
「いや・・いいのですぞ。しかし何とも奇妙なもんですな。不思議な縁を感じますぞ。
・・・では出発しましょうか、みなさん乗り込んでくだされ。」
「そ、そうだな。」
ルークドは思い出せないことに罪悪感を感じた。
そして3人は馬車へ乗り込み、オーガは、ハンスの横の操縦席につく。
ガタゴトと揺られている間、ルークドは必死に思いだそうとしていた。
(・・・・・・・くっ、ダメだ。やっぱり思い出せねぇ。)
マリとヤンは窓から景色を見ていた。
数時間の後、揺れが終わった。
どうやら入り口に着いたようだった。
「みなさん、着きましたぞ。」
オーガの声を聞き、寝ていたルークドとマリ、瞑想をしていたヤンは気づいて降りる。
降りると、背伸びやあくびをそれぞれする。
ハンスが3人に近づき、地図を広げて見せる。
「ここが今の現在地です。そして目的地であるゲンエイガハラ村はここです。だから方向としては北上するだけですが・・・樹海内部は我々もわかりませんので、もしもの時はこれを。」
ハンスは3人にそれぞれコンパスと地図を渡す。
「ゲンエイガハラ村は川のすぐ近くにありますので、最悪、川を沿っていけばたどり着けると思います。
また我々はここからすぐ近くのこの街、ゲンエイ街といいます。」
ハンスは地図を指で指しながら説明する。
「我々の保護下のこの街で、いつでも兵士たちと待機していますので、ぜひ帰還の際は。」
「親切に助かるよ。」
ルークドが言う。
「では、ご武運を。」
「お気をつけを。」
オーガとハンスが同時に言った。
3人は会釈し、樹海へと足を踏み入れる。
樹海は日中にもかかわらず、高い木によって光があまり入らず、異様な雰囲気だった。
至るところにコケがはえ、じめじめとして、普通の森ではないことがすぐに、わかった。
「よし!じゃあ気合い入れてがんばっていこうぜ!ヤン!マリ!なんせ初めての任務だしな!」
「押忍!」
「うわぁっ、暑苦しっ!てかあんたがリーダー面しないでちょうだい。」
「いやいやなんでそうなるんだよ・・。俺はただ・・」
「そうやってあんたが率いようとするのが・・・!」
「ふ、二人とも落ち着くである・・・。」
だが3人はいつも通りだった。
その様子を高い木の上から、フード付きのマントを着た何者かが見ていた・・・・。




