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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
エングランド訓練所ー訓練編
40/280

訓練の日々

ルークドたちは午前に戦闘訓練、午後に学科という忙しい日々を送る。

決して楽な日々ではなかったが、それでもそれぞれの課題と向き合い不断の努力をする。


しゅん!」


「せい!せい!せい!せいやぁ!・・はぁああぁ!!」


ヤンはイーサンに猛攻をかける。


「遅い!」


「ぐおぉっ!!」


イーサンはストレートをヤンに食らわし、ヤンは吹っ飛んだ。

ヤンの体は、もはやボロボロで、それは訓練の厳しさを物語っていた。


「・・・はぁっ・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・。」


ヤンは膝をついた状態で思考していた。


(くっ!しゅんだけはどうしても何かが足りない!速さを高め猛攻、受け流しからの反撃。

どっちも力量が上の相手にはまったく通用しない!一体、拙者のしゅんに足りないのはなんだ!?・・・。)


その時、ふとイーサンの分析を思い出す。


「飛び技・・・。」


ヤンは呟くように言う。


(いくら速さを高めようが攻撃力はごうに、さらに受け流しはリスクがあり、守りに徹するならてつに劣ってしまう。

ではしゅんの強みとは・・・。)


「はっ!・・・そうか!」


(ふっ・・気づいたか。)


何かに気づいたヤンの様子を見てイーサンは少し口角を上げる。


「イーサン殿!遂に新技を思いついたのだが早速試していいか?」


「よし!やってみろ!・・ただ俺との距離は離れているぞ。いいのか?」


イーサンはわざとらしく言った。

その事にヤンはニヤリと笑いながら言う。


「押忍!この技は近づく必要がない飛び技である!」


ヤンはそう言うと手を手刀しゅとう状にし、その手刀に青色、すなわちしゅんの闘気が手にまとわせ始めたのであった・・・・。





「違いますね~。違いますよ~。ここは。この魔法式間違っていますよ。それにここも式が成り立ちませんよ。さらに言うならこの式が成り立たないということはここから後はすべて成り立ちませんね。

ちなみに合っているところも全体的に雑ですね~。こんな魔法式の理解じゃほんとんど使い物になりません。よって不可です。」


「あーもういいじゃない!!こんな紙の上で魔法を勉強しなくても実際に使って訓練したらいいじゃない!

どうしてこんな事させるのよ!?」


マリは図書館か研究室でずっと缶詰状態で、答案が、できたらオックス教授に添削してもらうという訓練だった。


「うーん。そうですねぇ。マリ君。君が水の魔法が使えるのは素質があるからなんですよ。

いいですか。実は誰しも魔法の素質は持っているんですね。だから勉強しなくても実際に使っていけばそれなりには魔法は使えるんですね~。」


「は、はぁ?」


オックス教授は止まらない。


「しかしですねぇ~。素質を持っている属性はせいぜい普通の人なら1つぐらいでしょう。

素質がない属性の魔法を使うことあるいは派生魔法が扱えるほどの素質がないならば紙で勉強するしかないんですよ。その勉強が今、君がしていることなんですね~。」


「本当にこの訳わからない式を理解することが魔法を使えることにつながるのかしら。」


「なります。ところで派生魔法はわかりますよね?例えば水の属性は氷の魔法に、風の属性は波動魔法に、光の属性は闇の魔法にといった感じですねぇ~。ただ属性を持たない魔法というのもあってですねぇ。

今では絶滅危惧人種でほんとんど見ることはありませんが、エルフの種族だけが使える妖精魔法だとかあるんですねぇ。おっと!そういえばまだ妖精魔法についてまだあんまり話したことはなかったですねぇ。

学科でもそこはあまり話さなかったですからねぇ。じゃあまず妖精魔法から話して・・・・・・・。」


オックス教授の話はもはや止められない。


(なんで私だけこんなことになるのよ!戦闘訓練のはずが、ずっっと魔法の勉強だなんて・・。

これなら1日中、私だけ学科みたいなもんじゃない!!

はぁ・・というかこのガイコツだれか止めて・・・・・。)


マリもまた、訓練の厳しさがあったのだった・・・。





ドッドッドッドッドッ・・カン!・・・カン!・・・カン!カン!カン!・・パカン!・・ドサッ!


道場には足音、木刀がぶつかり合う音だけが響く。

そして激しいぶつかりあいの後、ルークドが尻餅をついた。


「・・はぁ・はぁ・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


ルークドは息が切れ、ものすごい量の汗をかいていた。

対してライネットはまったく変わりなかった。


「さぁ・・立って。」


「・・・あぁ。」


ルークドは立って、構える。

ライネットは再び最初の定位置に戻っていく。


(・・なんとか目で追えるようにはなってきたが・・まだ体の反応がまったく追いつかない・・!

動きを理解した時にはすでに決められている。

しかも・・まだ俺の攻撃は一回もライネットに当たっていない。クソッ!魔法抜きの俺はこうも無力なのか・・!)


そしてライネットが位置につき、また始まる・・・。





「あーもう動けねぇー。」


ルークドは食堂の机に上半身を伏せて、座っていた。


「大丈夫?ルークドちゃん?」


メリットが料理を机に持ってきた。


「これ食べて、なんとか元気出すのよ!ほらしっかりして!」


「あ、あぁ。じゃあ、いただきます。」


ルークドの声に、覇気はなかった。


「訓練は過酷だと思うけど私が全力でサポートす・る・か・ら・ね♡」


「・・あ、ありがとう(震え声)」


ルークドは寒気がした。


(親切心はありがたいが・・未だにゾッとするな・・・。)


「にしても、ヤンちゃんもかなりボロボロだし心配だわ~。」


「心配だけど私たちにできるのはこれぐらしか・・ね~。」


エミールがメリットに同意するように困った感じで言う。


「なぁ?ルークド。そんなに訓練て大変なのか?」


チェリーがルークドに聞く。

ルークドはその質問に食べながら答える。


「あぁ、まぁな。」


「どんな訓練やってるんだ?」


「チェリーやめなさい。ルークドさんも疲れているんだから。」


アルダがチェリーを制止する。


「すいませーん。注文いいですかー?」


そこで兵士の団体が食堂へ入ってきて注文が入る。


「さ、私たちも手を止めている暇はありませんよ。」


「んじゃあ・・がんばってな!」


ルークドは会釈し、チェリーとアルダは仕事に戻って行った。

その時、シオンがテーブルにドン!とジョッキを置いた。


「おっ!ちょうどこれ飲みたいな~て思ってたところなんだよ!よくわかったな。」


シオンは顔を赤らめ、硬直してしまう。

相変わらずの人見知り具合だった。


「シオンからの差し入れ。応援してる、て!」


エミールがシオンの気持ちを代弁する。

シオンは首をうん、うんと頷いていた。


「そうか。ありがとな!」


ルークドがそう言うと、シオンはお盆で顔を隠し、そそくさと厨房へ戻って行った。


「・・・・・・・・がんばって。」


モナが突然通りすがりざまにルークドに声を掛けた。


「・・お、おう。あ、ありがと。」


「あの子たちもあの子たちなりに3人へ気を遣っているのよ。」


エミールが言った。


「3人・・ってことは遂にマリも食堂利用するようになったんだな・・。」


「ちょっと!エミール!あのアマのことを思い出させないでちょうだい!」


ルークドの肉を焼きながら、横にいたメリットがいつものトーンと違う低い声で言う。


「あのアマ!私の料理が食べられないって言うのよ!!ほんと!腹がたつ子だわ!!あーもういらついてくるとやること思い出しちゃったわ!!・・・あら、ちょうどいい焼き加減になったわ。

それじゃあね~♡ルークドちゃん♡(チュッパ」


メリットは投げキッスをして厨房へ戻って行った。


(ま、また寒気が・・・。)


「にしてもあいつ(=マリ)またなんか言いがかりをつけたのか。

懲りないやつだな・・。」


「数日前に料理長がマリさんのトマト嫌いを克服してもらおうと、注文と違うトマトを使った料理をだして・・・。それでマリさんがそれを食べて

”うぇ!まっっず!何このまずい料理!・・中に私の嫌いなトマトが入ってるじゃん!あんだけトマトは使わないでって言ったのに!あーあ、もう二度と来てやんないから。”て・・それで料理長を怒らしてしまって・・。」


エミールはルークドに出来事を説明した。


(うわ、いかにもあいつが言いそうなことだな・・・。)


「料理長、あぁ見えて実はマリさんにも愛情はあるんですよ!」


エミールは笑った。


(そ・・そうなのか?)


エミールは厨房や戻って行った。


ルークドは焼かれた肉に手をつけ、がつがつと食べ続けるのであった・・・。






「よしっと・・今回はうまく書けたな。えーーーこれが獣人族だ。」


(この獣人を書くためにどんだけ練習したことやら・・・。)


ケリーが黒板にチョークで書いた絵を説明する。


「獣人族は有力な説としてはワァーウルフから進化したというのが有力な説だ。

この絵を見ればわかるが、姿としてはウルフが二足歩行した姿て感じだな。

毛色も白だ。

だが体格はより大きく、知性が著しくワァーウルフより高まっている点が違う。

魔法力もワァーウルフの時より大きく進歩している。

また寿命も長く、数百年は当たり前だ。

しかしそれゆえ絶対的な数も少なく・・・・ルークドぉ!マリぃ!」


ケリーが居眠りしていたルークド、マリに向かってチョークをものすごい威力で額に投げた。


「痛ってえぇ!!」

「痛っっった!!!」


2人は額を押さえ悶える。


「ルークド、マリ。訓練が本格的になって疲れてるかもしれねぇ。・・・だがな・・俺の書いた絵だ。ちゃんと見るんだ。」


(なんか・・注意するところがズレてる気が・・・。)


2人とも同じ事を思った。


(2人とも爆睡であったな・・。起こしたけど起きなかった。すまぬルークド殿、マリ殿。)




厳しい訓練の日々ではあったが3人とも充実し、いろんな人と関係が深まったのであった。

そしていよいよ3ヶ月という期間も終わりに近づき、残すは1日となった。


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