意志の表示
エドワール・ノルスがデサン村を訪れた日から一週間が経過した。
そして予告していたとおり再びルークドのもとにやってくる。
ルークドが街へ買い出しに行く時だった。
ノルスがルークドの家の扉を開ける。
「失礼するよ。」
あの重々しい声が聞こえた。
後ろにはロープを着た小柄なのが一人と成人男性ぐらいの背丈が一人立っていた。
フードを被り顔は見えない。
「またあんたか。
今日は随分人数が多いじゃねえか。」
「私の連れだ。気にしないでくれ。
言っていたとおり今日は答えを聞きにきた次第だ。
この国を統治するために君の力を貸してくれるかね・・?」
若干しわの見える目はルークドをまっすぐ見ていた。
「残念だがそれには答えられない。
俺はこの村で育ち、この村でずっとみんなと生きてきた。
そしてこの先もこの村で生きるつもりだ。
離れるわけにはいかない。」
さらにルークドは続ける。
「それに俺はこの村の数少ない若い労働力なんだ。
俺が村の周辺の魔物を狩らないとみんなが危険だし、遠い街へいける足も少ない。
もっと言えば俺は狩りで魔物となら戦ってきたが人と戦ったことはない。」
手を広げ炎を灯す。
「この力(炎魔法)は俺自身なぜここまで使えるのかわからないが、村のみんなのために使う。
仮にキングがいないために、この村に危害がおよぶならそれを撥ね退けるだけだ。」
ルークドは自分の思いをすべて言い切った。
すると黙って聞いていたノルスは口を開く。
「なるほど・・・あくまで自衛して生きていくというのだね・・・?」
「あぁ」
「この村を守り通す自信はあるかね?」
「もちろんだ。」
ルークドの意志は固かった。
「うぬ。そこまで言うのなら仕方がない。
私も君を諦めることにするよ。」
ノルスは厳格な雰囲気から紳士的な雰囲気になっていた。
「返答の是非聞く以外に、もうひとつ言いたいことがあって今日は来たんだ。」
「あぁ?まだなんかあるのかよ?」
「それはこの世界に迫る危機についてだ。
これから村を守るなら聞いたほうがタメになるんじゃないかね・・?」
「いいぜ・・聞いてやるよ。」
「じゃあそれについては私より彼のほうが詳しいから、彼に話してもらおうかね。」
ノルスがそう言い少しうなずくと、後ろのロープをきた高いほうの人物が前にでてきた。
そしてロープのフードをとる。
ルークドはそのフードをとった顔をみて何も言葉を発せなかった。
「なっ・・っ・・・・・・」
その顔はルークド自身、本でしか見たことがない。
スケルトンだったのだ。