治療
ルークドは目を覚ました。
どうやら医務室のベッドで寝ていたようだとすぐにわかった。
またそれに至る経緯もすべて瞬間的に理解した。
「あ!目、覚ましたよ!」
その声はカノンだった。
「わかる?ルークド。」
ルークドは上体を起こす。
「あぁ。確か訓練でイーサンと戦っていて俺は攻撃を受けて気絶した。だからここへ運ばれてきた。どうだ?」
「うん!バッチリ。それなら大丈夫そうだね!」
ルークドは腹部を手で触って確認するが、さっき貫かれたとは思えないほどに完治していた。
その時、カーテンがシャーと開き、ローズが顔を出す。
「ルークド君、早速ね~。いつでも治療はしてあげるけど自分でもしっかり気をつけなさいよ。
まぁ、全部カノンが治療しちゃったんだけどね。」
(あの傷を全部カノン1人で治療したのか・・・。ローズから聞いたとおり、かなりの魔法力だ。)
「その顔色なら大丈夫そうね。安心したわ。」
ローズがそう言い、顔を引っ込めると同時にイーサンが姿を現した。
「大丈夫か。ルークド。」
「あぁ、治療のおかげでピンピンしてるぜ。」
「そうか。それならいいんだが、少しやりすぎたかもしれないと思ってな。俺のミスだ。」
「いや、別に気にしないでくれ。それだけ実戦感覚が養われるしな。」
「うむ。ただお前の力は俺が思うより想像以上だった。その調子で精進しろ。」
そう腕を組みながら言う。
イーサンはいつもの冷徹な雰囲気から珍しく、口角を少し上げニヤリとする。
「明日は大講義室に集合してくれ。そこでこれからの戦闘訓練の各個人のプログラムを言う。」
「わかった。」
「じゃあ俺はこれで。ライネット、後は。」
そう言うとイーサンはカーテンの仕切りを開き、医務室を出て行った。
ルークドはイーサンの発言で初めてライネットがベッドのすぐそばにある椅子に座っているのに気付いた。
「おぉ、ライネットもいたのか。」
「今気づいた?」
そこでカノンが口を挟んだ。
「もう完治してるから、多分ないと思うけどもし痛んだら、いつでも私に言ってね!その痛み、私が飛ばしてあげるから!それじゃあね、ルークド!ライネットさんも。」
「あぁ。」
「えぇ。」
そうカノンは言うとカーテンの仕切りを開けて、医務室を出て行った。
カノンは忙しそうだった。
そして仕切りの中はルークド、ライネット2人になった。
「心配かけたな。これからは気をつける。」
「いえ、私はその・・念のために来ただけだから・・・。それに傷の治りから見ても、ちゃんと攻撃も調整されていたみたい。さすがにイーサンよね・・。」
ここでルークドは重々しく言う。
「もしイーサンが敵だったら俺は死んでいた。」
さらに続ける。
「あの日からこの似たような光景が今回含めて3度目だ。今の俺じゃあ、キングテレトリーを復活させるなんて到底無理だ。もっと俺に力があれば!・・・・・」
ルークドの中で強い気持ちが沸き立つ。
ライネットはそんなルークドを見て何かを考えていた。
「今、ルークドに必要なのは力ではなく変化だと思う。」
「変化?」
「じゃあ・・・私も行くね。」
それだけ言うとライネットはカーテンの仕切りを開けて医務室から出て行った。
仕切りの中はルークド1人になった。
「変化・・一体どういうことなんだ・・・?」
その言葉がルークドの頭の中をぐるぐるしていた。
ルークドはとりあえず午後の学科のある大講義室へ向かうことにした。




