戦闘訓練Ⅲ ~炎の剣士~
訓練開始から3日目、今度はルークドとイーサンが戦う。
すでに3人は野外演習場に集まっていた。
そして後からイーサンがやってくる。
「・・・すまん。少し遅れた。じゃあ始めるぞ、ルークド。」
イーサンは盾ではなく槍を装備していた。
それを見て3人は少し驚いていた。
「あぁ。まだ言っていなかったな。今日は俺もある程度、積極的に戦わしてもらう。いいな?」
「あぁ。別にかまわないぜ。」
そう言うとルークド、イーサンの2人は演習場の真ん中へ歩いて行く。
その様子をヤン、マリは遠くから見る。
「イーサン殿のあの雰囲気・・・いつもより緊張感があるな。」
「盾ではなく、槍で戦うなんて。あいつ(ルークド)だけ私たちと違って特別てことかしら。」
「それはこの戦いを見ればわかるだろう。拙者もルークド殿がどれほどなのか気になるところであるな。」
ルークドとイーサンは位置につき、戦闘が始まる。
「ファイアーインパクト!!」
ルークドが先制するようにファイアーインパクトを放つ。
高速で炎のエネルギー球体はイーサンに向かう。
それは見事ヒットして、ドゴオオオォォン!!と轟音を上げて爆発する。
衝撃と黒煙が辺りに広がる。
それをガードしたイーサンは槍を軽く回し、黒煙をなぎ払うように吹き飛ばす。
姿を現す。
それほどダメージがないようだった。
ルークドもまた放った後、すでにイーサンとの距離を詰めていた。
黒煙が晴れたと同時にイーサンを剣で攻撃する。
カキン!!
槍で剣をガードしていた。
イーサンの反応速度は速かった。
両者は鍔迫り合い状態になる。
「くっ!」
「一気に片をつけるつもりだったか?(ルークドに向けて)焦るな。」
イーサンは力を入れ、ルークドをはねのける。
ルークドは後ろへよろめいた。
イーサンは即座に突きを繰り出す。
スッとルークドも反応し避けるが少し間に合わなかった。
ほっぺに紙一重に擦る。血がでる。
(は、速い!)
息をつく間もなく、次の突きがくる。
ガキン!
ルークドはなんとか剣でガードする。
少し後ろへノックバックした。
だが突きは終わらない。
フゥン!フゥン!フゥン!フゥン!・・・と風を切るような音と共に、鋭い槍の突きが来る。
ルークドはそれを紙一重で避けるか、剣でガードするのが精一杯で攻撃を考えることすらできなかった。
「どうした!」
イーサンは突きを繰り出しながら、ルークドを一喝する。
(くっ!この間合いはまずい!)
ルークドはそう考え、突きから逃げ出すようにバックステップ。
「スモークスパークス!」
火の粉を含んだ黒煙が辺りをブワッと包む。
ルークドはいったん猛攻を落ち着かせようとし、目くらまし目的で使ったのだった。
ブオォンと黒煙の中からルークドの体がでてくる。
そして体勢を立て直そうとする。
だが、そんな間も与えてくれなかった。
ブオォンと黒煙の中からイーサンが勢いをつけてでてくる。
その勢いで踏み込んだ突きを繰り出す。
「!?」
ルークドは完全に不意を突かれた。
なんとか剣でガードしようとする。
しかし突きはフェイントでイーサンはガードしたルークドを剣ごと蹴り飛ばす。
「どぅゎ!!」
ルークドは吹っ飛び、地面へと体をズザザザと引きずる。
立ち上がる。
でも蹴られたおかげで、イーサンと少し距離ができた。
(こうなったら・・!)
「スモークスパークス!・・・・・。」
ルークドは歩いてくるイーサンへ向けてスモークスパークスを放つ。
さらに加える。
「燃えろ!ファイアーーーブロウ!!」
ブオオオオオオオォォ!!
火の玉が黒煙の中へ入った瞬間、大火となる。
そしてルークドは間髪いれず刀身に手を添える。
「なんという大火!」
「すごい魔法力だわ・・・・。」
見ていたヤンとマリは思わず呟く。
「はあぁあ!!」
そんな声を上げながらイーサンは槍を大きくブンゥン!となぎ払うように回す。
火が瞬く間に風圧によって弱まり、イーサンは大火の中から抜け出した。
その時だった。
「ヴォルケーノソード!!」
ルークドはジャンプから剣を振り下ろす。
剣と槍とが触れた瞬間ものすごい衝撃と風圧が発生する。
さらにイーサンが立っている地面が爆発し、そのまま縦に砂埃が伸びる。
さすがのイーサンも力負けをし、砂埃が発生したように吹っ飛ばされた。
受け身を取り、すぐに立ち上がる。
「な・・・なんと!!」
「・・・あれはなんなの!?」
その様子を見ていた2人は何が起こったのかわからないほどの威力に驚いた。
ルークドの目は炎の色になっていた。
さらにイーサンを追撃する。
残像が見えるほどのスピードで距離を一気に詰める。
そしてイーサンを切りつける。
イーサンもガードをするが剣がぶつかった瞬間に爆発が起き、ダメージが発生する。
ルークドはそのまま押し切るように切りつける。
イーサンもまた攻撃に合わせて、槍でガードする。
そこからはそれが何度も発生する。
ドゴオォン!・・ドゴオォン!・・ドゴオォン!ドゴオォン!!・・・・ボゴオォン!
鍔迫り合いになるたびに爆発が起き、衝撃、風圧も発生する。
またそのたびに地面が削られていく。
イーサンの体にもダメージが蓄積していく。
そのためにイーサンは一度大きくバックステップし、距離を取る。
が、
ルークドにとって、この流れを断ち切るわけにはいかなかったので、速攻で追撃する。
「ファイアーメガアァ!インパクトオオォォォ!!」
ボゴオオオオオオオオオォォンォン!!!
大きい炎のエネルギー球体がイーサンへ命中する。
イーサンが立っていた場所は大きなクレーターになっていた。
またイーサン自身その攻撃によって着ていたジャケットが焼け、タンクトップ姿になっており、全身に火傷や黒煙によって汚れていた。
ルークドはすでにイーサンに向けて突走っていた。
(次で終わりだ・・・!)
一方、イーサンは槍の持ち方を変え何かをしようとしていた。
「かはぁ・・!!」
ルークドはいつのまにか吐血していた。
腹部が貫かれたような痛みを感じる。
(・・・・!?・・・!!)
その腹部は血まみれだった。
だが気づいた時には遅かった。
「光速で貫け。閃光!!」
光が見えたと同時にまた体が貫かれるような痛みがする。
ルークドは剣を落としドサッ!と膝をつく。
(こ・・・これは・・!!)
ルークドはその光の正体はイーサンによる槍の攻撃だと気づいた。
本当に腹部を貫かれていたのだ。
(そ・・その距離から・・だ・・と・・。)
痛みと出血によりルークドは気絶し、倒れてしまう。
「い・・いきなりルークド殿がた、倒れた!」
「いや一筋の光のようなものが見えたわ。きっと攻撃を受けたのよ。」
「だとしたら・・槍であの距離を・・!もはや飛び道具なみの攻撃だ。恐ろしい。」
「私もわからないわ。どうやってあんな攻撃を・・。悔しいけどこの戦闘自体にレベルの高さを感じるわ。認めざるを得ないわね。」
「それは拙者も思うところだ。」
イーサンは倒れたルークドを運んで、マリとヤンの元へ近づき言う。
「よし今日は終わりだ。明日は大講義室に集合してくれ。そこでそれぞれのこれからのプログラムを言う。じゃあ解散。」
「ちょっと。こいつ(ルークド)大丈夫なの!?」
マリがイーサンに聞く。
「あぁ、大丈夫だろう。医務室で治療すればすぐ良くなる。」
「ルークド殿はそんな、柔じゃないであろう。マリ殿、心配しているのか。」
「は・・はぁ!?そ、そんなんじゃ・・なくて!
あぁーあ、ほーんと退屈な見学だったわ。時間の無駄よ。そんじゃ。」
マリはそう言い捨て、立ち去った。
「打ち解けるにはまだ時間がかかりそうだ。・・・ではイーサン殿。ルークド殿を頼む。」
「あぁ。」




