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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
デサン村編
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ルークドの決意

「・・・は、はぁ?俺以外・・・死亡・・・だと?」


あまりにも衝撃すぎたのか、ルークドは聞いた情報をうまく処理しきれなかった。

いや、それ以上にすべてが受け止められなかった。

ただただ絶望感が溢れる目で下をうつむく。

心の機能がピタッと止んだような雰囲気を醸し出していた。


「・・・・・・・・・・。」


その場にいる全員が、口を開くこと無く、しばらく沈黙の状況が続いた。

その時の場の空気はまさに、死んではいけない人が早くに死んだ時の葬式の空気だった。


しばらく後、ノルスはその静けさを打ち破るようにして、ルークドをなだめるように語りかける。


「君は・・・十分に最善を尽くした。なにも自分を責めることはない。結果がこうなってしまったからといって、君が必死に守ろうとしたその時の行動や思いは消えないし、罪悪感を感じる必要もない。」


そのノルスの雄弁な言葉は、沈黙したままのルークドの心を読み通し見透かしているようだった。


「・・それにザンギャクという男は暴力によってこの世界を支配しようとする、キングリーパーという組織の幹部だった男だ。

悪名高い、撲殺兄ぼくさつにいザンギャク、処刑改造魔弟しょけいかいぞうまていヒドウで有名な兄弟の片割れを君は、粛正したのだ。

もし君がいなければ、デサン村だけではなく、アスーダ地方中の街や村が殺戮の場となっていただろう。

痛みで多数の未来を守った君は英雄だ。」


ノルスは、ルークドに自分自身が成し遂げた事の重要さをわからせるように雄弁に説得する。

その、簡単に割り切れるほどの強さや弁が立つ様子は、元キングテレトリー軍総統という人物が表れていた。


ルークドは理屈では納得できても、気持ちがまだ受け止められなかった。


「それでも!!村のみんなは死んでしまった!守る立場の俺だけが生き残るなんてよぉ・・・。

皮肉もいいところだぜ・・・。なぁ!」


重々しい空気が続いた。

ルークドは悲しかった。それも涙がでないほど悲しかったのだ。


「あんた・・・実は最初からすべてこうなることがわかっていたんじゃないのか?村に訪れた時から・・・。」


ルークドが悲しみ、怒りを含んだ疑問をノルスに投げかける。


「いや・・・この村に危機が起こるかもしれないというある一種の予測は考えていたが、こうなることはわからなかった。こればかりは想定外としか言いようがない・・・その事は私も君に対して、本当に・・・すまないと思っている。」


ノルスは申し訳なさそうに謝る。

本当に意外性を感じているような感情は含まれていなかったが、「すまない」という言葉だけは痛みを感じているようなものが含まれていた。

そしてノルスは、いつもの厳粛な様子を見せる。


「・・・キングという統一的存在がいない今、こんな悲劇がこの世界を未来永劫包むのだ。

そのために我々は、キングテレトリーを復活させる必要がある。

・・・・・立ち上がれ!少年!!」


その時、珍しくノルスの感情が全面にでていた。

ルークドは突き動かされるようにして、目が少し変わる。


「・・・じゃあ悲劇を生まないためには戦うしかないということか?」


ルークドの目がノルスの目を真っ直ぐ見る。それはなにか秘めるものがあった。


「あぁ。」




「そうか・・・・・。」


ノルスとルークドの受け答えは、その言葉以上のもので、2人にしかわからないといえた。

その後、長い沈黙が続いた。


その沈黙を破るようにライネットがルークドを見て話す。


「・・実はアリーさんはまだ僅かに息があったんです。でも死は免れない状況でした。

それを恐らく・・・彼女もわかっていたのだと思います。

だから彼女は最後に、ルークド。あなたの顔を見たいとおっしゃったのです。

『ルークドのそばに・・・』と。」


ライネットは続ける。


「私は、アリーさんを気絶しているあなたの元へ運びました。

すると彼女はあなたの顔を見て、手で頬を触りながら話しかけたのです。

『私のことは気にしないでルークド。いつまでも見守っているから。』と。

それだけ言うとアリーさんはあなたに笑顔を見せた後・・その、絶命しました。

・・・言いづらいのですが・・その彼女の顔はとても幸せそうな顔をしていて、とても死んだ方の顔とはとても・・・。」


それを聞くとルークドはその時、アリーの顔を実際に見ていないにもかかわらず、鮮明に浮かび上がってくる。

頬を触られた感触までも。


「・・・・・・・。」


今までアリーと過ごした日々がフラッシュバックする。

また同時に村での生活、ドンゴの最後の横顔、そして『生きろ!』と言われた場面がフラッシュバックする。


(・・・・アリー、ドンゴ、そして村のみんな・・。)


ルークドは自分だけ残されたことを悲劇と感じたが、同時になにか託されたものがあるのではないかと思った。


(残された俺にできる・・・こと・・・。)


ルークドの眼が炎の色に変わる。

それは決意の目だった。


そしてノルスの目を見て言う。


「俺が・・・俺がキングテレトリーを復活させてやるッ!!」


ルークドの中に火がついた瞬間だった。




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