遅すぎた救援
ザンギャクはルークドのもとへさらに近づいていき、破壊されて壁がないところから家の中へ入る。
そして鉄球を抱えたまま動かないドンゴを信じられないような目でまじまじと見る。
「こいつ・・・立ったまま死んでやがる。なんてやつだ・・・。」
あのザンギャクでさえも素直に感心していた。
「まっ!ただの無駄死になんだけどな!グヘヘヘヘヘヘヘ!ガキもすぐ送ってやるよ!」
そう言いながらあたりを見渡す。
「なんか殺すもの落ちてねぇか~な~・・・・・。おっ!このハンマーちょうどいいなあ!それにこのハンマー、こいつ(=ドンゴ)が持ってたやつだなぁ。
グヘへへへへへ!命を捨てて守った相手が自分の愛用していた武器で殺される。
グハハハハハハ!グヘヘヘヘ!最高だあぁ!オレ様の武勇伝に加えてやるよ!!」
ザンギャクはさっきまでと違い、活力が湧いてテンションが戻ってきていた。
ドンゴの命をかけた行動を無駄にすることに快感を感じていたのだ。
そのザンギャクの心はまさに外道だった。
そしてザンギャクはハンマーを拾いあげると立ったまま死んでいるドンゴをぶん殴る。
ドンゴの死体は鈍い音と衝撃、風圧を立て吹っ飛び、壁へ激突した。
「うおおおぉぉ!綺麗に吹っ飛んだな!」
続けてザンギャクはルークドにハンマーが届く距離に立ち、ハンマーを持った手を上にあげる。
「グハハハハハハ!あばよおおおおぉぉぉ!!」
ザンギャクはあざ笑いながらルークドの脳天をめがけて、ハンマーを振り下ろす。
その時の顔は、この世の悪を固めたような顔だった。
(・・・・・・・。)
ルークドは死を覚悟し目を閉じる。
・・・がその時だった!
青色の波動の魔法がルークドの前に発動し、人影が現れた。
それはまるで瞬間移動してきたみたいだった。
そしてほぼ同時にどこかで聞いたことのある渋い声が響きわたる。
「発動せよ!パワールースン!」
その声と共にその人影の左手の甲の紋章が光り、ハンマーをいとも簡単に手のひらで受け止める。
振り下ろされたハンマーがピタッと静止したのだ。
(・・・・!)
ルークドは何事かと目を開くと前に立っていたのは、なんとノルスだった。
ノルスはハンマーを受け止めた後、即座に右手の手のひらをザンギャクのほうへ向け魔法を発動する。
「モルトポールウェーブ!!」
すると青色の波動が何層にも広がり、ザンギャクはものすごい速さで100メートル以上家の外まで吹っ飛んだ。
同時に砂ぼこりがザンギャクの後を追いかける。
「・・・・っ!!」
そこまで飛ばされたところで、ザンギャクはなにが起きたのかわからないまま生まれたての子鹿のように立ち上がる。
ノルスの魔法の威力は絶大でザンギャクを瀕死にさせた。
そしてそれとほぼ同時にロープを着た人物がザンギャクに向かって走っていく。
ちょっとだけ振り返りノルスに伝えるようにこっちに声をあげた。
「あとはおまかせを!」
それだけを言うとその人物は前を向き、続けて呟く。
「・・・雷走」
その人物は魔法を使ったようだった。
電撃の稲妻が足に纏うと、そこからスピードは一気に加速した。
もはや視覚で捉えられるレベルなどではなく、地面に稲妻だけが遅れて映る。
魔法を使って1秒掛からないぐらいでザンギャクに迫ると高くジャンプし、ロープを脱ぎ捨て、腰につけていた鞘から日本刀を抜く。
「響き渡れ・・・雷鳴・・切り。」
そう言うと日本刀が電撃を激しく纏い、それでザンギャクを一刀両断する。
その瞬間激しい閃光と轟音に見舞われる。
それはまさに落雷だった。
ザンギャクはすぐさま倒れこみ、絶命していたようだった。
2者の連続的な攻撃はオーバーすぎるほどだった。
切った人物は着地した後、刀を鞘に納めた。
ルークドはその人物を消えゆく意識のなか見ていた。
それは小柄で金髪の髪をした女だった。
(・・・あい・・つ・・は・・・)
だがルークドはその後、気を失ってしまう。




