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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅡ
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夜明けの対峙

「来たな・・・。」


ゲンエイガハラ村の門の前でただ1人たたずんでいるルークドは、そう呟いた。

もちろんあれから修復する時間など無く、後ろのその門は、下半分はスッポリ穴が空いている。


ザッ、ザッ、ザッ・・・


気迫のある門番となったルークドにヒドウを先頭にした200人以上の隊列が、一歩一歩踏みしめる音を立てて、近づいていく。

その隊列から後光が刺すように、朝日が昇ってきており、ルークドの顔を照らしていた。

まるで朝になったのを合図とするように、両者互いに存在を認識する。

目の前に敵がいるという緊張感が、その一帯を包み込んでいた。


ーー「ヒドウは・・・俺、1人にやらせてくれ。」


ルークドは、その場にいる全員に言い放った。


「・・・ちょっ、ちょっと!冗談よね・・・?」


真っ先にマリが反発を見せた。


「いや、俺は本気だ。」


「ルークド殿、なぜそのようなことを?よかったら理由を聞かせてくれないか。」


いつもは、ルークドに肯定的なヤンもその時ばかりは、疑問を呈せざるを得なかった。


「・・・2人してそんなに真剣な顔すんなって!ただ単に俺1人でヒドウと戦って、力試しをしたいってだけだ。ちょうど仮想敵にいいしな。」


ルークドは、軽い感じで返す。


「・・・さっきアンタ『冷静だ。』って言ってたけど、全然そんなことないわね。さすがに今、力試しはないんじゃない?少し、落ち着いてよ。」


マリは、ルークドの言い分を理解できないといった様子で、冷たく苦言を呈す。


「う~ん・・・。」


ヤンも腕を組んで、渋い表情をしている。

マリとヤンはルークドの過去話を聞いて、心情を理解しているからこそ、今回の反応だった。

戦いに私情を持ち込むのは危険というのは、当たり前の鉄則だった。


「ルークド。あなたの提案を尊重したいところですが、今は連携したほうが、迅速に済むと思います。」


メイヒールも、やはり反対の意見を示す。


「・・・その意気込みと自信は見習いたいぐらいだが、賛同はできない。いくら脅威が低くても実戦である以上、最善の選択をするべきだと俺は思う。」


ファイも納得はできない様子だった。


自分含めてヤン、メイヒール、ファイと4人の意見が揃ったのをマリは受け取ると、ルークドの方を見る。


「・・・ほら、みんなの意見は明白!!一騎打ちとかそんなバカなことしないで、一斉に全員でヒドウをボコって、後はザコをテキトーに蹴散らして終了でいいじゃない。少しはこの村のことも考えることね。」


「・・・ぐっ(ここまで反発されるとは・・・ボコボコだな、俺・・・)」


マリのそのまとめの言い分で、ルークドは気まずい表情を見せる。

完全に出端ではなを挫かれた。


「・・・・・・。」


少し沈黙が流れ、ルークドが、もう折れるしかないと考えていた時だった。


「・・・我は、こいつの提案にのってやろう。」


そう言ったのは、なんとグールフだった。

その場の全員が驚いて、グールフを見る。


「フン、勘違いするなよ、小僧。あくまで疫病神の責任をとって貰おうというだけだ。・・・ヒドウとかいうやつはお前1人で片付けろ。」


「・・・で、ですがグールフ・・・」


メイヒールが、異議を唱えようとするとグールフはわかっているという風な表情を見せる。


「あぁ、もちろん・・・こいつ(ルークド)1人に任せると碌なことはないし、頼りにもならない。」


「・・・(言われ放題だな・・・俺・・・。)」


「だから、あくまでこいつの自由時間を設けてやってもいいというだけだ。・・・最初に我含む、5人でザコ共を殺す。このザコ共を皆殺しにするまでが、こいつの自由時間だ。」


「それってつまりお前らが200人の相手をしている間、俺はヒドウと一騎打ちで戦えるってことか?」


ルークドは活気を取り戻すようにしてグールフに聞く。


「あぁ・・・十分すぎるぐらいだ。もし我たちがザコ共を殺し終えても、お前がそいつを殺せていないなら、その時は、多勢に無勢でヒドウとかいう、しょうもないやつを殺す・・・!これだけは覚えておけ。」


殺すと言った時、グールフの目が見開いた。

グールフのその発言を聞いて、ルークドはニヤリと笑った。


「・・・ハッ、今回ばかりはお前に助けられたな。いいぜ・・・決まりだ!」


「いやいや、決まったわけないでしょ!!この状況で2人揃って戦闘バカを発揮するのは勘弁してよ~。ねぇー!メイヒールー!・・・グールフに言ってあげて。」


マリが、速攻反発する。

メイヒールは何やら困惑した表情をしていた。


「・・・私、個人としては・・・とても・・・その、賛同はできないのですが・・・グールフがルークドの提案に賛成するなら、仕方ありませんね・・・。マリ、ごめんなさい・・・。」


メイヒールは、苦笑いでマリに返答する。

渋々賛成するしかないといった感じだった。


「そんなぁ~・・・。」


今度は、マリ側が不利になってきた。


「では、拙者も流れに乗ろう。ルークド殿の提案は決して1人よがりではなかったようだ。」


間髪入れず、ヤンも賛成側に回る。


「ちょっ!うそ、うそ、うそ!」


ドミノ倒しのように賛成が増えていく。

マリは、その現実に頭を抱え始める。


「なるほど・・・最善の選択というのは、そこにあるのではなく、自分たち次第なのだな・・・。俺は視野が狭かったようだ。・・・実力を発揮できる方というなら、俺もルークドの提案に賛成だ。」


続けてファイも、賛成した。


「全員一致ッ!!」


ルークドが、勝利のかけ声を発した。


「・・・あーーー!!!もう知らない!!好きにすれば!!ヒドウに殺されても、文句なしよ!絶対、供養してやんないから!野垂れ死んじゃえば!」


マリも遂に折れた。

いや、折れるしかなかった。


「おっ?負け犬の遠吠えが聞こえるぞ?」


ルークドは、ほくそ笑みながらマリを煽る。


「調子に・・・乗るなァ!!」


ズゴン!!


マリは、そう叫びながら、ルークドの頭にげんこつをぶちかましたのだった。


ーーそして、ついにルークドと対峙するようにして隊列が止まった。


「・・・・・・。」


ルークドは、緊張感を漂いわせ、その先頭にいる全身鎧、すなわちヒドウをじっと睨みつける。

一目で他のやつらと違うとわかるほどのオーラを放っている。


「はぁ、なんだよ。こいつは・・・よぉ。」


それと同時にヒドウがバイザーを上げて、目の前のルークドを確認する。


「・・・!(間違いねぇ・・・)」


ルークドは、ヒドウの顔を見て、確信する。

それは、ルークドとヒドウのファーストコンタクトだった。














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