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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
126/282

エルード家Ⅲ ~長女~

「・・・・・・それは驚愕、としか・・・」


ケリーは、次々出てくるエルード家についての情報に圧倒され、苦笑いの表情を見せる。

仮にもケリーはキングテレトリー時代、軍で兵士育成の職に就いていたが、まったく噂すら聞いたことがなかった。

そのことは、ケリーの諜報魂を傷つけ、少し自信を失うようにも見えた。


「・・・まぁ、この事はエルード家最大の極秘ともいえる内容だからね。君のセンサーにまったくかからなくて当然のことだ。」


ノルスは、フォローするかのようにそう言う。

それに対しケリーは、すぐに気になることが浮かんだ。


「・・・ですが、仮にエルード家の次女といえる者がいたとするなら、有識に入っていてもおかしくないのでは?」


「うむ。・・・次女は、ライネットの2年前に生まれ、長女のレーナ同様、血の判別を受けた。ここからだ。ここからがエルード家長女レーナと三女ライネットと大きく分かれる点なのだ。」


ケリーは、それを聞いてすぐにわかった。


「・・・なるほど。血が優秀ではなかったと。」


「あぁ。・・・当時エルード家から抹消された次女のことをいくら調べても名前すら出てこなかった。だが、2番目に生まれた者がいることの記録は残っている。・・・結構苦労したよ、次女についてのを見つけるのはね。次女の血の判別結果は5発。殺される一歩手前で踏みとどまったというわけだね。」


それを聞いてケリーの眉がピクッと反応した。


「さすがにこれだけ情報が揃えば私にも見えてきましたよ。・・・次女はエルードの名前を与えられることなく、エルード家で育った。つまり、これってエルード家から見れば「家」の中で他人を育てるっていうもんですよね。・・・きっと娘扱いしないのにわざわざ育てるってことは、何かに利用とかって感じですかね~。」


「フフ、さすがに勘がいいね。その通りだ。だが、一つ言わせてもらうと、育てるのではなく、”飼う”と言ったほうがより適切だ。レーナとライネットは、エルードの名を与え、”娘”として育てる。・・・次女は家に、とりあえずの利益をもたらすから飼う。例えるなら”家政婦”の育成に近い。こういえるかね。」


「では・・・その利益とは一体?」


「残念だが、そこまでの情報は得られなかった。だが、君もキングテレトリー時代の中央で、レーナの傍にヘルムを覆った鎧の護衛が1人いたのを見かけたことないかね?」


そう尋ねられケリーは、空を見ながらキングテレトリー時代を思い出す。

すれ違った程度に過ぎない記憶を探る。


「・・・あぁ、確かにそういえば、いましたねぇ・・・。あのレーナの護衛なのに、こう、重圧感がないといいますか~・・・。身長と体格、そして鎧の関節部分から女子なのかと印象が残っています。・・・ってまさか、その正体が?」


ノルスは、そう聞かれ何やらニヤリと笑った。

その笑いは自分の中では確信しているということに対しての笑いだった。


「いや、確定はできない。・・・あくまで話半分に聞いてくれるといい。」


「わかりました。・・・じゃあ、私はこう仮説を立てます。聞いて頂けますか。」


ケリーもまたニヤリと笑い、ノルスに話を持ちかける。


「ほう、興味深い・・・。」


今度は、ノルスが興味深いという態度を見せる。

ケリーが話す。


「エルード家は、見事有識という地位に就いたレーナに、育成した”家政婦”を付けることにした。やはり有識という立場は敵も多いですからね。いくら本人が強いといってもエルード家史上最高の長女をノーガードというのは落ち着かないでしょう。

・・・そして、今レーナといえばケルン・マルクに追従して、彼の立ち上げたキングソードに入った。と、いうことはですよ。その次女もレーナについて行き、キングソードに入ったというのはどうでしょう。」


「・・・うむ、私も同意見だ。そう考えていた方が、都合がいい。次女を仮想敵の中に入れておいて損はないはずだ。」


「ですね。」


そこでレーナという人物に焦点が当たり、話題が自然と移る。


「それにしても、総長。あの聖剣せいけん騎士ナイトで有識ケルン・マルクとエルード・レーナってすごい組み合わせですよね。・・・実力的にもそうですが、あのワンツー名家、ケルン家とエルード家が合併となれば、キングテレトリー史上最高の権威。・・・私たちはそんな相手と戦わなければならないんですよね。いや~私個人としては思いやられますねぇ~。」


ケリーは、ほぼ独り言のように呟いた。

特に深い意味はなく、ケリーの感想だった。

ノルスは、少し考えた後、口を開く。


「・・・私も、まさかレーナがキングソードに入るとは思わなかった限りかね。レーナが有識に入って早々やつ(ケルン・マルク)に近づいたのも、家の意向だったからね。つまりは、感情なしの打算。だが、今のこの分裂した状況において、やつについて行ったということは、”本物”を見つけたのだろうね。」


「本物ですか・・・それって恋とか愛みたいなもんですかねぇ。」


それは政略結婚から恋愛結婚になることと同義といえた。


「(仮に家の意向に従ったなら、ソードではなくシールドか・・・。)・・・・・・家の意向に従い続けたおかげで、家の呪いから解放されて、かけがえのない拠り所を見つけるとはね。何とも皮肉なものだ。」


「ふん~・・・・・・わからないものですね。人の一生ってもんは・・・。」




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