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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
120/282

団結

「・・・以上が偵察で得た情報になります。」


メイヒールは、武装勢力に関する情報を無駄なく正確に、その場にいる全員に伝えた。

それは、200以上の兵隊と危険種の魔物ヘルドッグ10匹という戦力ということ。

そして、それを率いるリーダー格が、ヒドウという名の全身鎧男と参謀的な立場のヘッターレという小さい男で、その2人の会話の内容から考えられることはキングリーパーであるということ。

ちなみに「ダークエルフ」の事に関しては、とりあえず今は重要ではないため省いた。


メイヒールが話終わると、ルークドとマリ、ヤンの3人は頷いていた。

なんせ、キングリーパーのことはよく知っているし、ひとまずの要注意人物として、活発的なヒドウの情報は、ケリーから教えられていた。


「・・・クソッタレの縁を感じるな。どうも、どこかで繋がっているみたいだ。」


ルークドは、静かに怒りを臭わすように呟いた。


「ルークド・・・。」


そのルークドの呟きに、マリとヤンは、察するように心配する。

2人の反応は、ルークドの過去話を聞いていれば当然だった。

ヒドウの兄、ザンギャクに故郷を失わされ、大事な人も殺された。

今度は、その血のつながりがある弟ヒドウが、ここにやってきている。

まるでルークド自身が、ザンギャク、ヒドウ兄弟を呼び寄せてしまっているかのような縁を感じられるのが、妙にルークドは腹立たしかった。

それは、デサン村との状況がよく似通っている点にもあった。


「・・・気にすんな。俺は、冷静だ。」


ルークドは、2人の視線を感じ、感情を引っ込めた。

しかし、違う点といえば今度は、最初から自分がその場にいるということ。

そう考えていた。


その3人の様子を見ていたグールフは、口を開く。


「どうやらその様子だと、”まったく無関係でもなかった”ようだな。・・・お前は疫病神だ。お前が訪れてから碌なことがない。」


グールフは皮肉った。


「ふっ・・・何とでも言え。お前だって、キングリメイカーに来れば、因縁を感じるお友達(敵)ぐらいできるだろうさ。」


それに対しルークドも軽口で返した。


「・・・えっと、いいですか・・・?」


メイヒールは、割り込むように制止させた。

そして、話す。


「迎え撃つのは、もちろんですが・・・私としては、先にみんな(村民)の避難を優先したいと思います。

・・・そこで、キャアシー。」


「ニャ!?・・・ここで我が輩かニャ!?」


キャアシーは、唐突な呼びかけに驚いた。


「・・・あなたが村のみんなを”生存通路”まで誘導してください。」


「もしかして、この村がなくなってしまうのかニャ・・・そんなにヤバいかニャ・・・。」


生存通路と聞き、キャアシーは不安のあまりしょんぼりする。


「心配はいりませんよ、キャアシー。私たちが戦いますから。一応、念のためです。被害はないほうがいいですよね。」


メイヒールは、安心させるように優しく説いた。


「わ、わかったニャ・・・村のみんなのことは任せるニャ・・・。でも一つ聞いていいかニャ・・・。」


メイヒールは頷いた。


「今回、どうして我が輩ニャ・・・?村長であるメイヒールが、誘導しなくてもいいのかニャ・・・?」


キャアシーのその疑問は、素朴な疑問だった。

どうして、今回そんな責任重大なことを自分に任せるのかという率直なものだった。


「・・・え、えっと・・・それは、私がいなくなっても、村がやって・・・」


メイヒールは、はっきり言えず、困った様子を見せる。


「ニャ・・・!?もしかしてメイヒール、キングリメイカーに・・・」


「キャアシー。それは、終わってからだ。今は、村に迫った危機を乗り越えるぞ。」


核心をついたことをキャアシーが言っている途中、ファイが止めた。


「ぶーー、わかったニャ・・・とりあえずこんなところで死んじゃダメニャ!・・・ザコを蹴散らしてくるニャ!!メイヒールなら絶対、勝てるニャ!!」


キャアシーは、メイヒールに近づいて、手を差し出した。


「・・・ありがとう、キャアシー。ここにいる皆さんと共に、村を守ってみせますね。」


メイヒールはしゃがんで、キャアシーの手を握った。


「うんニャ!」


2人は強固な信頼を確認した。


「・・・ただ、これが終わったら、しっかりお前の口から”先”を聞かせてもらうぞ。・・・ちなみにグールフ、お前もだ。」


そこで、ファイがメイヒールに言った後、グールフをチラッと見た。


「はい・・・わかりました。」


メイヒールは、真摯にファイの目を見て、答えた。


「・・・あぁ。」


グールフもメイヒールと同様にファイに答えた。


「水を差すようで悪いが、メイヒール殿。聞いてもいいか?」


ヤンが、そこでやっと切り出せた。


「はい、なんでしょう。」


「その・・・生存通路とは何か教えてくれんか。」


「そうでした。まだ話していませんでしたね。・・・生存通路は・・・」


ーーメイヒールは、ルークド、ヤン、マリの3人に生存通路について説明した。


「へぇ~すげぇな。そんなものがあるのか。確かに、そこに居れば安全かもな。」


ルークドは、生存通路という存在に驚嘆する。


「この村って、ほんっとすごいわ。何から何まで備わってる感じね。」


マリは、改めてゲンエイガハラ村という場所の設計のすごさを実感する。

秘密の抜け道を通ってきたマリだからこそより、わかる。


「ゲンエイ街までつなぐ地下道か・・・。フフッ・・・」


ヤンは、何かを考えて笑った。


「どうした?ヤン。」とルークドは聞く。


「ルークド殿。ゲンエイ街といえば・・・」


「あっ!」


数秒のちに、ルークドとマリが同時に、そう気づいた。

その様子を不思議そうにメイヒールたちは見ていた。


「・・・メイヒール、状況がどんなに悪化しても、被害はゼロで済みそうだぜ。・・・村のことは一切、気にせず思う存分戦える。」


ルークドは、自信満々に言い放つ。


「えっ・・・」


メイヒールは、そう声をあげるしかなかった。

そして、ルークド、マリ、ヤンの3人は顔を見合わせると、頷く。


「そうだな・・・ちょうどいい、あれを見てくれ。」


壁に貼ってある周辺地図に指をさして、場所を確認しながら、ゲンエイ街はキングリメイカーの保護下に入っていることを説明する。

つまり、地下道で繋がっているならいくらでも救援を請うことができるということだった。


「最悪を想定して・・・戦う俺たち全員が死んでもだ。村民は、全員保護してもらえるってわけだな。」


「ほう・・・。不幸中の幸いだ。」


ルークドたちが説明を終えるとグールフは思わず、感心の声をあげた。

ルークドは続ける。


「ただ、街の中は一般市民もいる。だから、あらかじめ騒ぎにならないように、オーガっていう人、つまり駐屯所の隊長に接触して、このことを俺からの伝言と伝えてくれ。俺の名前を出せば、信じてもらえるはずだ。そうすれば、村の全員がキングリメイカーに安全に保護される。」


「わかりました。では、ひとまず村のみんなを生存通路に入れて待機させてから、そして・・・」


メイヒールが、そこまで言ったときだった。


「ニャ!!我が輩が、そのオーガって人に伝えればいいのニャ!」


キャアシーがそう了解した。


「あぁ、そうすれば迅速に確実に済むはずだ。地下道で一直線に結ばれているとはいえ、それなりに距離はあるかもしれんが・・・」


「問題ないニャ!!・・・ルークドニャ!見ててニャ!!託された任務、全うして見せるニャ~!!」


そう張り切って、キャアシーは四足歩行状態になると集会所を飛び出していった。

村民全員の家にまわって、生存通路に誘導。

そして、村民たちを生存通路に入れた後は、キャアシー単独で、ゲンエイ街まで走って、地上に上がり、オーガと接触し伝える。

この役目を果たしにいった。


「元気なやつだ・・・今が、深刻なのか、まったくわからなくなってくるな。」


飛び出したキャアシーの姿を見て、グールフは呟いた。


「まぁ、実際のところ、私らとあんたたち(グールフたち)の6人がいるし、余裕があるんじゃない?私だって、そんなに危機感ないし。」


マリが、今の心情を正直に明かした。

それは、気の抜けではなく、自分たちの自信からだった。


「・・・実をいうと、偵察の際、4人の兵に見つかってしまい、戦闘になったんです。ですが、兵に関しては弱いというのが正直なところでした。」


メイヒールが、そう言った。


「・・・なら、なおさら俺から、提案させてくれ・・・。」


ルークドが、その時ゆっくりと顔を上げた。

本気の目だった。

全員が、ルークドを見る。

そして、重々しくルークドは言い放つ。


「ヒドウは・・・俺、1人にやらせてくれ。」


ーーールークドのその提案の後、段取りを固め、門を通って村の外に出ると、全員が迎え撃つ位置についた。

夜が明け、ちょうど朝日が差し込む。

景色としては、まさに未明。

同じくして、兵隊たちがゾロゾロとヒドウを先頭に門へと近づいてくるのが見えてくる。

門の前には、ただルークド1人だけが立っている。

いよいよ戦いの1日が始まろうとしていた・・・。






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