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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
119/281

集合

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」


メイヒールは、前屈みになって呼吸を乱していた。

そこまで苦しくなるぐらい、走ったということは、何か緊急事態が起こったことを安易にその場に知らせる。

グールフを除く、ルークド、ヤン、マリはただ驚いて固まったままだった。

そして数秒が経過すると、メイヒールは何とか姿勢を戻して、ルークドたちの所まで近づいていく。


「・・・何も、ありま、せんでした・・・?」


メイヒールは、息切れした様子で、グールフに尋ねた。

グールフは、目を逸らしながら、何かを考えていたが目を合わせる。


「あぁ、至って・・・何もなかった。」


「それは、よかったです・・・。」


その2人の僅かなやり取りは、ルークドたち3人と今、村に向かってきている大勢の者たちには何ら関係がないことをお互いの共通了解にした瞬間だった。

眺望段階でメイヒールは、最初からルークドたちを信頼していたが、グールフは疑って怒りを見せていた。

だが、今こうして集会所で何も起こらなかったということは、グールフがルークドたちに対する信頼をしっかり確信できたという表れだった。

ただ、メイヒールは「手を出していませんよね?」とのプレッシャー的意味合いを含んでいたのに対しグールフは、どっちかというと「ルークドたちは白。すなわち潔白だった。」という判断的意味合いを含んだ返答だった。


それを横で聞いていたルークドが思い出したように反応する。

忘れていたことを蒸し返すようだった。


「・・・いやいや何もなかったことないだろ!寝てる時にこいつ(グールフ)がいきなり・・・」


そこまで言った時、急いでマリがルークドに駆け寄って口をふさいだ。


「グールフの言うとおりここは静かなもんよ。・・・ねー!ルークドー!」


「おい!!kfのいえrf」


ルークドは、必死に抵抗して何かを訴えようとするが口を強く塞がれ、何を言っているのかわからない。

暴れるルークドにマリは、何やら耳打ちする。


「(うまくおさまっているんだから、余計なこと言わないでよ!!)」


「うぅぅぅ!!fmふぉmふぉいf!!」


ルークドは、もぞもぞと解こうとするが何を言っているのかわからない。

ルークドがさっきの戦闘のことをメイヒールに言えば、またややこしくなる。

直感的にそう感じたマリは、反射的にルークドを黙らせる行動をとったのだった。


「・・・それならいいんですが・・・。」


メイヒールは、その光景を不思議そうに見ながら、マリに返答した。


「ところで、メイヒール殿。随分と慌てた様子だったが、何かあったのか。」


話題を変えるようにヤンが、メイヒールに尋ねた。

メイヒールは、真剣な表情をする。


「・・・この村に切迫した危機が差し迫っています。その事で協力をして頂きたいのです。」


「えぇ、もちろん協力するけど・・・危機って?」


マリが、自然とルークドの口から手を放してメイヒールのほうを見る。

ルークドも空気の真剣さに応えるよう黙った。


「ありがとうございます。・・・時間はありません。私は少し準備をしてきます。グールフは、ファイとキャアシーを呼んできて。待ってる間、マリたちもどうか準備をお願いします。・・・全員が揃ってから説明しようと思います。」


メイヒールは、的確に事を進めていく。

ゲンエイガハラ村の有事とだけあって、一段と冴えている。


「準備ということは・・・」


ヤンが、準備という意味ありげな言葉に何かを察知する。

メイヒールは、ただ頷いて反応する。

ルークドたち3人は、とりあえず今はそれ以上聞かず、指示に従う。


「おい、メイヒール。ファイはわかるが、どうしてキャアシーまで呼んでくるんだ。あいつは戦えないぞ。」


その時、グールフはメイヒールに尋ねた。


「・・・わかっています。ですが、キャアシーにも協力してもらいたいことがあるので・・・。」


「・・・お前が何を考えているかわからんが・・・まぁいいだろう。」


「お願いします。」


そして、それを合図にそれぞれ散開した。

ルークドたちは、さっきまでいた部屋に武器や就寝の際のラフな格好のままなので、いつも着ている服を取りに。

メイヒールは、自分の家に装備を。グールフは、ファイとキャアシーを呼びに行った。


ーーそして、数分後。

その集会所の先ほどと同じ大広間にルークド、ヤン、マリ、メイヒールが集まっていた。

やはりピリピリとした緊張が張り詰める。

さっきまでの姿と変わって、全員がいつでも戦闘に入れる通常姿をしている。

とくにその変化は、メイヒールが顕著だった。


そして、グールフと、連れられてきたファイとキャアシーが扉を開けて入ってきた。


「ニャ!ルークドニャ~。」


キャアシーは、真っ先にルークドに駆け寄ってピョンと跳ねて、存在をアピールする。


「よっ!」


それにルークドは、軽く手を挙げてあいさつした。


「・・・メイヒール、危機とはなんだ。村の緊急事態と聞いてきたが・・・。」


連れられてきたファイが到着するやいなや不安そうに聞いた。

メイヒールは、ただ頷いて全員が揃ったのを確認する。


「揃いましたね。」


メイヒールは、神妙な表情をしている。

そして、話そうとした時だった。


「おい、グールフ。・・・。」


ルークドがグールフに呼びかけて、一本のナタを軽く投げてパスした。

グールフは、それをキャッチすると、鞘に収める。

ルークドと目が合う。


「ふん・・・」


「・・・チッ、愛想がないやつだ。」


ルークドとグールフは、お互いにまだ距離がある。

ただ周りから見て、安心感が出てきていた。

そして、全員がメイヒールのほうを向き、聞く体勢をとる。


「・・・では、いいですか。・・・この村に、武装勢力が迫っています・・・」


メイヒールは、偵察で得た情報を元に切迫する危機について話始めるのだった。







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