真意
「ファイアァァ・・・」
手の平を広げて、グールフに向けたルークドは、渾身の一撃を放つかのように、重く呟く。
その行動は、後は任せろといわんばかりだった。
「・・・イン~」
ファイアーフィースト状態にあるルークドは、溜めに溜めていた。
もうそこまできたら止まる気配がないと察したグールフは、動じる。
「待て!!」
グールフは、大きな声を出して、一歩前へ踏み出した。
その時だった。
シュッン!
「くっ・・・!」
空中で制止していたアイスクルの一本がグールフの顔面をかすめ、床に突き刺さった。
それは本気だぞという脅しを意味しており、グールフは、それ以上動くことができなかった。
次は、間違いなく刺さる。
そう感じていた。
そんな状況で、グールフに出来ることは限られていた。
「先に我の手を燃やし攻撃したのは、お前の方だろう・・・!のってしまった非は認めるが、少し
ぐらい聞いたらどうなんだ・・・!」
何とか言葉で弁明するしかなかった。
だが、ルークドはまったく聞いていない。
その状況下で、冷静にグールフの言葉を受けとめていたのは、ヤンだけだった。
「(イン)パク・・・」
ルークドが、ファイアーインパクトを放つ寸前だった。
「落ち着け!ルークド殿!」
パァン!
瞬状態にあるヤンは、すぐ後ろのルークドに向けて振り返ると、放とうとしていた方の手を強くはたいた。
それによって溜めは中断され、さらに集中を乱したルークドは、ファイアーインパクトのエネルギーを消してしまう。
そこまで一瞬の出来事だった。
ドタアァン!!
「えぁッ!!」
ヤンは、はたいた後そのまま合気道の動きのごとくルークドを一回転させて、床へ背中から叩きつけた。
ここまでが一連のセットだった。
瞬は解除された。
「ちょっ・・・」
その音によって、マリも思わず視線を移し、困惑の様子を見せる。
だが、少し冷静にもなれた。
グールフは、動くことなくただ黙って見ていた。
「・・・いっっ・・・」
同じく冷静さを取り戻したルークドも、数秒ほどして体を起こす。
その時、すでにファイアーフィーストは解除されていた。
「すまない、ルークド殿。判断的に、こうするしかなかった。」
ヤンは、ルークドに手を差し伸べる。
「いや、気にするな。ちょっとヒートアップしすぎていた。ヤン、お前の行動は正しかったぜ。」
ルークドは、そう言いながら手を掴んだ。
「それによく考えると、こんなところで放っていたら全員に及んでたしな。・・・にしても、お前と喧嘩したら勝てそうにねぇな。」
ルークドは、引っ張られて立ち上がると、軽い感じで冗談を言った。
そして、ルークドはグールフの方に振り返り、近づいていく。
「・・・さてっと、何か言いたいことがあるんだろ?」
「・・・・・・お前たちに、聞いて確かめておきたいことがあるだけだ。それも早急にだ。とりあえず、この状態を解け。落ち着けん。」
そう言われたルークドは、少し離れた位置にいるマリと目を合わせる。
お互い迷いがあったのか数秒間は目でやり取りをする。
その後、最後にルークドが頷くのを合図に、マリのアイスクルはすべて消えた。
「これで満足だろ。さっさと言え。」
「・・・お前たちは、今、森にいるやつらと関係があるのか。」
「・・・?」
ルークド、ヤン、マリの3人は、何を言っているのかわからないという表情を見せる。
その抜けた表情とは反対に、グールフの表情は険しい。
3人が動揺を少しでも見せたら、いまここで殺さなければならないという緊張感があった。
「・・・どうなんだ。」
グールフは、目を鋭くさせて、3人に問う。
ルークドは、グールフが何について言っているのかまったくわからないので言葉に詰まっていたが、ついに口を開く。
「・・・えぇ~とだな・・・。正直言うと・・・」
そこまでを耳にすると、グールフは驚くしかなかった。
まさか、あっさりと(正直に)自白でもするつもりなのかというものと、つまりそれはやはり密偵か何かだったという驚きだった。
「他の2人もだが、お前が何について言っているのかさっぱりだ。・・・もっと順を追って話してくんねぇ?」
「・・・・・・。」
その時だった。
ダァン!
集会所の入り口扉が大きな音を立て、開いた。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
荒っぽく扉を開けて、中に入ってきたのは、とてつもなく息を切らしたメイヒールだった。




