表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
117/281

勃発

グールフが、片手で寝ているルークドの首をやさしく包み込むように掴み、そこから持ち上げようとした瞬間だった。


「・・・ぅッ!」


ルークドが、目を開ける。

そして瞬時に、自分の首がグールフに掴まれているこの状況を理解し、抵抗するように両手を掴んでいる手に持っていく。


ブウオォッ!!


ファイアーブロウを使って、グールフの手を燃やした。


「ぐぉッ!!」


それによってグールフの白い毛並みは延焼し、ちょっとした火事になる。

その燃える痛みと驚きのあまり、僅かに持ち上げていたルークドの体を、そのまま部屋の扉側へと放り投げた。


ドタアァン!!


ルークドの体は扉へ激突し、そのまま突き破って、廊下の壁へ打ちつけた。

首に、鋭く爪の後が残っていた。

だが、すぐに顔を上げて、グールフを視認する。


(クソッ、ダメだったか・・・仕方ねぇッ!)


ルークドは寝起きの頭から即座に戦闘モードへと切り替わる。

この状況からグールフの勧誘、説得に失敗し、遂に自分を殺しにきたのだと、把握するしかなかった。

そして、即座に立ち上がって、大広間に向けてその廊下を走っていく。


一方、グールフは、手に延焼している炎を、もう一方の手でパタパタとはたいて鎮火する。

突然、攻撃を受けたことに、怒りを感じて瞳孔が開く。


「あいつッ・・・!」


鎮火させると、部屋を飛び出し、自分に背を向けて走っているルークドの姿を捉える。


「おいッ!!待て!!」


一応、呼び止めてみるが、ルークドはまったく振り返ることなく、遠ざかっていく。


(我とやる気かッ・・・!)


グールフも戦闘モードに入ってしまった。


「いいだろう!!八つ裂きにしてやるッ!!・・・サイクロンブレード!!」


そうと決まれば、グールフは即座にサイクロンブレードを勢いよく放つ。


ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


円盤状の風の刃が、廊下の壁を削り取りながら、ルークドへと飛んでいく。

少し弧を描くような軌道だった。


「・・・!」


ルークドは、攻撃が飛んでくるのを察知すると、そのまま走りながら、壁に目をやる。

そして、タイミングを計ると、動きに移す。


ダッダッダッ・・・ダアァン!


両足で壁を蹴って駆け上がっていくと、最終的に大きく蹴って、ジャンプする。

そして、パルクールのような動きを見せ、その滞空においてサイクロンブレードを顔面スレスレに避ける。


ヅヅヅウウウゥ・・・ブオオン!!


風の厳つい音が至近距離で鳴るのを聞いて、何とか触れることなく、避けきった。

外れたサイクロンブレードは、軌道が外れるようにして、大きく曲がって風圧に変わって消えた。


それと同時に、グールフの方を向いて着地する。

着地すると、間髪入れず、攻撃を放つ。


「上等だぁッ!!ファイアーブロウ!!」


ファイアーブロウがグールフ一直線に飛んでいく。

しかし、ルークドは、その着弾を見ることなく、すぐに背を向けてまた大広間に向け走り始める。


「・・・!」


飛んでくるファイアーブロウを視認すると、グールフは、暴風ウインドストームアイを使う。


バアァァン!!


渦巻く風と火がぶつかり、激しい音を上げた。

火は風に乗って、火の粉を散らして消えた。


「くっ・・・」


グールフは、ファイアーブロウをかき消すと同時に、すぐにルークドの後を追いかける。


ルークドは、大広間まで来ると、くるっとターンして、廊下からやってくるグールフに対して、迎え撃つ体勢を整える。

ファイティングポーズで構える。


「・・・ファイアーフィースト!」


ルークドの拳に火が纏う。

その時、グールフがついに大広間にやってきた。

ちょうど、対立の構図となった。


グールフは、ナタは抜かず、手の平を広げて爪を鋭く光らせる。

すでに冷静さを取り戻しつつあった。

ルークドに呼びかけてみる。


「おい!話を聞け!!」


「・・・そんな状態で言われても、なぁッ!!」


ルークドは、聞く耳を持たない様子で、そう言い放つと同時にグールフとの距離を詰める。

そこからは、インファイトが繰り出される。


ブオゥゥン、ブオゥゥン・・・


ルークドの攻撃一発ごとに、拳の火が振られて音を立てる。

火が曲線を描くようにうごめく。


グールフは、防衛するようにして後ろにジリジリと下がって避けていく。

こんなことをやっている場合じゃないことを把握していた。

差し迫った危機が近づいており、そのことに関して聞く必要がある。


そうちょっと考えた時だった。


「どうしたぁ、集中・・・しろ!!」


ドゴォン!!


「ぐぅぉ!!」


ルークドの力の入った拳が、グールフの顔面を捉えた。

ファイアーフィースト状態の攻撃は、強烈だった。

火と打撃の両方がグールフにダメージを与える。


「おのれぇ・・・!」


グールフは、挑発されるかのように怒り心頭の形相を見せる。

ルークドに向けて、手の平精一杯広げて、爪で切り裂こうと試みる。


スウウゥッ!!


だが、ルークドはバックステップして、見事に避けた。

さらにもう2回バックステップをして、今度は距離を開けた。


グールフは、バックステップしたルークドに対して、ドン、ドン、ドンと大きな歩幅で迫り、爪で攻撃しようとする。

その時だった。


「させん・・・!」


ルークドとグールフの間に誰かが突如、割り込むように現れた。


「・・・!」


青いオーラを全身に纏ったその人物は、ルークドに背を向けて守るように、すなわちグールフに正面を向き、2人の間に入り込んだ。

すると拳を握って、手の甲ではじき飛ばすようにグールフに攻撃を繰り出す。


ズドッ!!


グールフは、その攻撃を咄嗟に腕で受け止めるが、その惰性で後ろへ下がった。

そのため距離が開いた。

顔を前に向ける。


「坊主頭・・・!」


その時初めて、グールフは、目の前に突然現れた人物を把握する。

そうしゅんの闘気を纏ったヤンだった。


グールフが、それを認知した時だった。


「動かないで!!」


「・・・!」


間髪入れず、女の声が響き渡ると、グールフを目標にした空中に氷の矢が何本も現れた。

10本を超えるかのような数で、360度グルッと取り囲む位置づけだった。

それが意味していることは、明らかだった。


「ぐっ・・・!」


グールフは、氷の矢を視認すると、じっと動きを止めるしかなかった。

なんせそこから動けば、その矢が自分に刺さるのは目に見えていた。


「そのままにしてなさい・・・。動けば、死ぬわ。」


そうその声は、マリだった。

氷の矢は、マリの「アイスクル」によるもので、その本数には本気が表れている。

グールフを生かすか殺すかという際どい状況と緊張が伝わる。


「ふぅ・・・助かったぜ。ナイスタイミングだ、ヤン、マリ。後は・・・」


とりあえず動きが止まった瞬間に、ルークドはそう呟いた。

そして、手の平をグールフに向ける。


さっきのルークドとグールフのぶつかり合いの音で、ヤンとマリは飛び起きて、そこに駆けつけたのだった。

そして今、グールフを包囲する事となった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ