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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
116/281

揺れ動き

グールフは、集会所に戻ってきた。

そして、真っ先にルークドがいるであろう部屋に見当をつけ、大広間を通り廊下をドス、ドス、ドスと歩いていく。


「・・・・・・。」


扉が閉まっている一室を見つけると前に立つ。

ルークドが、その部屋の中にいることを不思議と確信する。


ギィィィ・・・


扉のきしむ音を立てながら、グールフは遂に開ける。


(・・・。)


案の定、その部屋のベッドで爆睡状態のルークドがいた。

扉が開いても、まったく気づいて起きる気配はない。


ドス、ドス、ドス・・・


グールフは、その部屋の中へ入ると、ルークドが寝ているベッドの真横に立つ。

2メートルを超えるグールフの影が、寝ているルークドを覆う。


(間抜けめ・・・。)


グールフは、爆睡中のルークドの顔を睨むと、獣化の形相を見せる。

すると、片方の手を鞘に収まっているナタへと持っていく。


キィィィ・・・


持ち手を掴むと、ゆっくりナタを抜いていく。

鞘と刃物がこすれる音がいかつく鳴り、キラッと光る。


(・・・先にこいつを殺してから、あの小娘と坊主頭も殺す・・・。その後は、我が侵入者共を皆殺しにすれば、この村は元通りに平穏が訪れる・・・。)


そう思いながら、ナタを抜き終えると、逆手持ちに切り替える。

そして、枕に乗せた爆睡中のルークドの顔面を捉える。


「・・・。」


ナタを持った手を、高く上げる。

そして、そこから振り下ろす!!


ブフゥッン!!


ナタが深くブッ刺さり、その瞬間羽が舞った。

それと同時だった。


「・・・おい、マリやめろよ~・・・だからお前は育ちが・・・ムニャムニャ」


ルークドは小さい声で寝言を唱えて、寝返りを打った。

なんとルークドは生きている。

そう、ナタはルークドの顔数センチ横に刺さり、顔面には刺さらなかった。

羽は、空振りに終わった枕の羽だった。


「・・・危機感のないやつだ・・・。」


舞った羽が落ち着くと、グールフはそう呟きながら刺さったままのナタから手を放した。

それと同時に、獣化の形相は引いていた。

それが意味していたことは、ナタがルークドの顔横ギリギリに刺さったというよりは、わざとグールフがそこに刺したのだった。


グールフは、そのまま突っ立っていた。


(この我が、少しでも信じてしまった人間だ。そんなやつに、裏切られたとは思いたくない・・・。)


グールフは、冷静にいろいろと考える。

ルークドたちがこの村にやってきてから、あの前代未聞の数の侵入者たちがやってきた。

まるで狙ったかのようなタイミングで、ルークドたちとあの大勢の侵入者の関係のつながりを疑わざるを得ない。

いずれにしろ、それを明確にするために聞く必要はある。

だが、グールフはそうした疑いを持つと同時に、断定して殺すに踏み切れない理由があった。

まず、自分が戦闘の影響で寝込んでいた間に、充分この村を制圧できたはずだが、何もなかったということだった。

メイヒールとファイの2人だけなら、実力は定かではないがあの小娘、坊主頭。すなわちマリとヤンで制圧できたはずだと思っていた。

それにあのメイヒールが信用仕切って、食事を共にするばかりか、今こうして、のうのうと緊張感のかけらもない様子で、この集会所で寝ているということがどうしても気になってしまう。

そうした理屈よりも、何よりグールフは、自分を初めて必要とし、認めてくれた人間。

そして、それに応えるようにして、人間を信用したことがなく、嫌い、拒絶して、冷たい世界で生きてきた自分がルークドたちを刹那でも信用したこと。

その事実をグールフは、消したくなかった。

それは、メイヒールとの決意表明にも表れる。

結局のところ、グールフは心のどこかで、ルークドを信じたいという思いがあった。


(・・・こんな事を考えるなど我はどうかしている・・・。これも人間の影響か・・・。)


グールフは、そこまで考えると、いずれにしろルークドを今すぐ起こして、しっかり問う必要があると行動を決める。

ルークドが呼び寄せたのか、はたまた偶然のタイミングか。

敵か味方か。

ここをしっかり明確にしておく必要がある。

でないと、キングリメイカーに行くかどうかというのは、すべてそれを前提にしている。

ゲンエイガハラ村は、狡猾に地獄への穴におとしいれられたのか、それとも訪れる終末に救世主が現れたのか。


(・・・それにしても、こいつはどうやったら目を覚ますのだ。)


グールフは、そう少し悩んだ末、手をルークドの首へと伸ばしていく。

とりあえず、目を覚ますには立たせることが必要と考えた結果だった。

絞めてはいけない。

あくまでも掴むだけだ。

そんな繊細な力加減をグールフは、不得意としていたが、仕方なかった。


(・・・掴む・・・掴む・・・やさしく掴む・・・。)


グールフは、汗を流しながらゆっくり慎重に、ルークドの首に手を持っていく・・・。










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