表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
114/281

一瞬の無力化

お互いに目を合わせたまま、固まってしまう。

メイヒールも派手な野郎たち側も、目の前。突然そこに現れるとは思いもしなかったのだ。

時間にしては、2秒ほどだったが、両者とも妙にスローに流れるのを感じる。


(・・・見つかったっ!!)


メイヒールは、しまった!と一瞬思うが、今は、目の前の敵を一刻も早く無力化しなければならないと認知する。

頭の中が、戦闘に切り替わる瞬間だった。

着地のしゃがんで背を向けていた体勢から、振り向きざまにすばやく仕掛ける。

今のメイヒールは、グールフとの一連の流れからここに来たため装備が何もない。

なので、攻撃手段は限られていた。


「・・・(フェアリーロック!!)」


メイヒールの傍に茶色の妖精が出現すると、その茶色の妖精の中心へと岩のかけらが発生していく。

瞬く間に、ゴツゴツとした岩石を形成する。

大きさ、形、共にサッカーボールほどで、それが宙に浮いた状態になっていた。

すると、そこから真ん中にいるトサカ頭に向けて、まっすぐ飛んでいく。

まさに直線状の投石だった。


バゴォッン!!「んぐっ!!」


トサカ頭の顔面に、見事クリーンヒットし、その拍子に岩石は激しく砕け散って飛散する。

トサカ頭は、大きくよろめいて、後ろへ倒れそうだった。

左右横のドレッドヘアー頭とオールバック頭は、口を開けたまま、その様子を見ることしかできていない。

つまりは、突然仕掛けられた攻撃にまったく反応できていなかった。


一方、メイヒールは、「フェアリーロック」が威力不十分であることは、充分承知だった。


ズザァァッ!!


その3人に向けて、飛び出すように距離を詰める。

大きくのけぞっているトサカ頭の懐に入るかのように接近すると、メイヒールの一瞬の視線は、腰に付けられていたハンドアックスを捉える。


バッ!!ドン!!


すると、トサカ頭を片手で突き飛ばすと同時に、腰のハンドアックスを抜き取る。

間髪入れず、バックステップ。

いったん、間隔を開けた。


ドサッ!!


メイヒールのバックステップ終了と同時に、トサカ頭は、後頭部から倒れた。


その時、初めてドレッドヘアー頭とオールバック頭は、目の前のメイヒールの方へと顔を向けた。

やっと状況を理解した瞬間だった。


だが、すでにその時には、メイヒールは攻撃へ移っていた。

片手でハンドアックスを持ち直すと、強く握る。

そして楕円を描くようにしてぐるっと回り、その勢いでドレッドヘアー頭を切りつける!!


ブウゥン・・・ヅシイィ!!ガ、ガッ、ヅスゥン!


ハンドアックスは、見事ドレッドヘアー頭の首元に命中し、いい角度から斜めに切りつける。

途中、引っかかるように切りつけがノックしたが、メイヒールは無理矢理、最後まで切り抜いた。


ブシュッチイィィ!!


ドレッドヘアー頭の血が飛散し、首から流血させながらドタッ!と勢いよく倒れ込んだ。

その時にはもう死んでいた。


そしてテンポよく、すでにメイヒールは、オールバック頭の方へと体を向けて、姿を捉えていた。

そこから、一気に近づく。


オールバック頭は、立て続けに二人が一瞬でやられる光景に、ただ圧倒される。

迫るメイヒールに、顔の前で腕をクロスさせて、ガードの体勢を見せるのが精一杯だった。


ザアアァァァッ!!


メイヒールは、足で砂埃を舞わしながらブレーキをきかせると、そのオールバック頭の側面に回る。

そして、そこから裏膝を切りつける。


ズコンッ・・・ヅシィィ!!


「ぐごおおおッ!!」


流れるような一連の動作は、美しいほどで、今度は流暢に切りつけが決まる。

オールバック頭は、何が起きたのかわからないレベルで片膝をつく。

その衝撃と痛みで自然と、ガードもだらっと解かれる。


「これでっ・・・!」


メイヒールはその膝をついた状態のオールバック頭に向けてトドメを刺す。


フウゥン・・・ヅッサァン!!


今度は、ノックすることなく綺麗に首を切りつけた。


「・・・ぁぁ・・・ぁ・・・」


オールバック頭は、息の根を発しながらバタッと顔面から倒れた。

ちょうど、うつぶせのような形となって、そこから血が地面に広がる。

首の痛々しい傷からトクトクと流れているのが確認できる。


倒し終えたメイヒールは、べっとり血のついたハンドアックスを片手に持ったまま、ふぅと息をついた。


「なんとか、大事おおごとになる前に、無力化できましたか・・・。それにしても・・・。」


片手で汗をぬぐいながら、そう呟くと、ハンドアックスを近づけて見る。


(以外と、こういう武器もしっくりきますね。)


メイヒールは、今までハンドアックスなど使ったことがなかったが、今回咄嗟に使って以外と自分に合うとふっと思った。

ナイフや針、弓矢などとはまた違った戦闘アプローチができるかもしれないと芽生えた瞬間だった。


(・・・これ以上、発見されないように気をつけなくては・・・。)


そして、メイヒールがそこから立ち去ろうと何気なく周囲を見渡した瞬間だった。


「まだ残ってっ・・・!?」


まだ、そこに敵が残っていたことに気づいた。

その一人は、3人と離れた位置にいたため今まで気づかなかった。


リーゼント頭は、怯えきった顔でありながらも、ポケットから笛を取り出して吹く寸前だった。

メイヒールが、次の行動に移るにはもう遅かった。


ピーーーーーーーー!!!


その状況下で吹かれた笛の意味は、誰でもわかる。

敵を知らせる笛だった。


(しまっ・・・!)


メイヒールは、吹かれてしまった笛の音に最大の危機を感じると同時に、体が反射的に動いていた。


ブオォン!!・・・スゥン!スゥン!スゥン!・・・


片手で持っていたハンドアックスを、そのリーゼント頭に向けて投射した。

ハンドアックスは、縦に回転して、風を切る音を発生させながら、リーゼント頭に一直線。


だが、メイヒールにとってその敵を倒すことは、すでに手遅れともいえていた。

メイヒールは、命中を確認することもなく、村の方向へ向けて全力疾走で飛び出していた。

すでに笛の音は、響き渡ってしまった。

距離を少しでも離して、逃げ切るしかない。

そうせざるを得なかった。


ピーー!ヅゴッ!!ピィィィ~~・・・


メイヒールが背を向けて逃げ出したと同時に、ハンドアックスがリーゼント頭に命中した。

薪割りのように刺さり、笛の音は止んだ。

ハンドアックスが頭部に刺さったままのリーゼント頭は後ろへドタンッ!!と倒れて、笛が転がる。

遅れて血が地面へと流れる。


「・・・・・・。」


自分は死んでしまった。

だが、その最後の行動は、事態を動かせる。

笛の音は、もちろんヒドウのところまで含めて、野郎共全員に聞き渡った。


「・・・うぅっ・・・・・・。」


そしてまた、笛の音は気絶したままだったトサカ頭の目を開けさせたのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ