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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
ゲンエイガハラ村編ーⅠ
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吐露

正面に立ったメイヒールを、一瞬見ると、またグールフは夜空に視線を移す。

その様子は、特に反応がないといった感じで、それよりも何かを考えているような上の空だった。


「隣・・・いいですか。」


メイヒールは、そう言ってグールフの隣にいくと崩した体育座りで座る。

草が敷かれ、踏みしめられる音がよく聞こえる。


「・・・・・・。」


少しの間、その状況で静かな時間が過ぎる。


サアァァァ・・・


風が吹き、その一帯の草が流れるように調和の音を立てる。

さっきまでの無風状態からその夜風は、メイヒールが話を切り出すタイミングへと自然に仕立て上げる。


「・・・グールフは、キングリメイカーのことをどう思っていますか・・・。」


「・・・・・・。」


グールフは、メイヒールに視線をやると、また夜空を見る。

相変わらず反応のないグールフにかまわず、メイヒールは、話を続ける。


「私は・・・いい方たちだと思っています・・・。あの方たちのような「人」が、この世界を導いてくれるなら、きっといい理想に近づくはずです。それは・・・もちろん私たちにとっても。」


「・・・。」


「私は、そのためにキングリメイカーに力を尽くしたい・・・!」


気持ちのこもったメイヒールの言葉に、グールフが、その時反応した。

体を起こす。


「どうして、そこまであいつらを信用できる・・・?あいつらも人間なんだぞ?」


グールフの真剣なまなざしに、メイヒールは少し驚いたが、続ける。

その時の、グールフは明らかに、これまでと違っていた。


「・・・理由は、ありません。」


「なんだと・・・?」


「ですが、私の感覚が告げているのです。あの方たちなら大丈夫と・・・それに、ここで、もし拒否してしまえば私たちはこれまでと何ら変わりの無い日々を、隠れて生きていかなければならない。そんなのは望む生き方ではないはずです・・・グールフ。それは、あなたもわかっているのでは・・・!」


「・・・それは認めよう。我たちが、今の、まるで檻の中のような狭い世界で生きることを強いられる理不尽さ。生まれたときから、ただあるだけの存在を認められないこの苦しさ。この村のやつら全員が感じてきたことだ・・・。そして我自身、こんなくだらない世界を変えたい。と一秒たりとも忘れたことはないッ・・・!!」


「グールフ・・・。」


メイヒールは、その滅多に語られないグールフの強い思いを感じる。


「・・・だが、考えてみろ。諸悪の根源は、人間だ。その人間のいいなりになって世界を変えるだと・・・?馬鹿言え。人間の力をあてにする時点で、我たちの理想郷とはほど遠い。それどころか破滅の未来しかない。」


「だからこそ、今度は私たちの力を加える。私たちの”遺伝子”が含まれて出来上がった世界なら、どうですか?」


「・・・なんだと。」


「私たち半端物という存在が、”開拓”に積極的に関わろうとしてこなかったから、結果として今のこのキングテレトリー・・・半端物が除け者扱いされるという世界がある。

だから今こそ、動くときなのです。

分裂したキングテレトリーのこの状況は、私たちにとっても変えられる機会だと思いませんか。」


「・・・その代表が、我たちとでもいうつもりか!」


「そうです!!私たちがキングリメイカーに加わって、”未来への開拓”という目標の一助となることで、私たちの存在認識は大きく変わります・・・!それは、ゲンエイガハラ村のみんなにとって・・・キングテレトリーにおいて半端物と呼ばれるすべての者たちのためになるはずです・・・ッ!!」


メイヒールは、一滴の汗を流して、少し息切れの様子を見せる。

言い切った。


「・・・。」


グールフは、少しすると、また寝転がると夜空を見ながら、話し出す。

それは、メイヒールに面と向かって言うことの照れ隠しが無意識のうちに出ていた。


「我を必要としてくれる人間に初めて会った。・・・人間にはいろいろな愚かさの種類があるみたいだとその時、我は思った。」


それは、ルークドに勧誘された時の事を指していた。

グールフは、その場面を思い返していた。


「・・・。」


メイヒールは、黙って耳を傾ける。


「愚かさに興味が湧いたのだ。・・・・・・フッ、もはや我も愚かになってしまったのかもしれんな。」


グールフは、そう言うと立ち上がる。


「メイヒール。お前一人だけを行かせるわけにはいかない。」


「グールフ・・・!」


遠回しではあるが、充分にグールフの気持ちは、伝わる。


「ただ勘違いするな。キングリメイカーというのがしょうもないやつらの集まりだとわかった時は、すぐにでも全員、我が殺す。その事は覚えておけ。」


メイヒールは、立ち上がって、感激の表情を見せる。


「はい・・・!」


グールフ、メイヒールの二人は意思が固まったといえた。


「さぁ、もう夜遅い。冷えることだし、村に戻るぞ、メイヒール。」


「・・・そうですね、戻りましょうか。」


メイヒールは、涙目をぬぐい、グールフとともに村に帰ろうとする。

だが、その時二人は少し気になる物を遠くで視認する。


「・・・誰か、野営でもしているのか。」


二人が見たのは、森の方から立ち上る煙だった。

それは、のろしのような何かたき火で燃やしているような煙だった。


「村のみんなにはこんな時なので、村から出ないようにと伝えてはいますが・・・誰か行っているのでしょうか。」


「・・・・・・少し気になるな。メイヒール、念のため確認しにいくぞ。」


「は、はぁ・・・おそらく大丈夫だと思いますが・・・グールフがそう言うのなら確認にいきましょう。」


そして、二人は、その煙の方向へ向かっていく。
























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