賭け
午後。
ルークドの放った言葉に、グールフは集会所からどこかに行ってしまった。
その目的のグールフがいなくなってしまったために、その日、マリたちは、どうすることもできなかった。
また、説得から勧誘ということになって、もはや状況は、混沌を極めていた。
さらに、グールフが去ってしばらくした後に、「少し・・・一人で考え事をしてきてもいいですか?」と残して、メイヒールまでもどこかに行ってしまったのだった。
その集会所の大広間には、ルークド、ヤン、マリ、ファイ、キャアシーだけが残る形となった。
「はぁ~どうしてこうなっちゃうの~・・・。」とマリがため息をつきながら言う。
「何、ため息ついてんだよ。これが一番いいに決まってる。少なくとも事態は進展したしな。ゆっくり明日を待とう、ぜ!」
ルークドは余裕を見せる。
「あんた、本当にグールフがキングリメイカーに来てくれると思うわけ?ただでさえ、あんな態度なのに・・・。」
「・・・こういうのはな、本音をぶつけるのが大事なんだよ。コソコソと計算を企てるお前じゃできないよな~。」
ルークドは、嫌みな視線をマリに送る。
「あー!もう!うっさい!うっさい!・・・いいわ!どうせ明日わかることだし、戦う準備でもしとくことね!」
マリは、ルークドに優位に立たれたことを悔しがりながら、勧誘失敗のほうに賭けた。
「キングリメイカーにとっても、戦力が増強されることは望ましい。拙者は、もちろん歓迎だ。」
ヤンは、勧誘成功のほうに賭けた。
「これで1:1か・・・。」とルークドが呟いた時だった。
「ルークドニャ!我が輩もキングリメイカー?に、ついていってもいいかニャ?」
ルークドの視線の前にぴょんぴょんとキャアシーが現れた。
やはり少し照れている。
するとその時だった。
「キャアシー。お前は、ダメだろう。なんせ戦えない。邪魔になるだけだ。」
ファイが、水を差すようにキャアシーに言い放った。
「・・・(邪魔ニャッ!)ニャッ!!そんなことないニャ!戦えなくても、役に立つことはできるニャ!!」
キャアシーは、会話を邪魔をされたのと意思を否定された感じから少しムキになる表情を見せる。
「まぁ・・・そうだな。別に戦えなくても、サポート面で務めることはできると思うぜ。ただ、やっぱり拠点にいる以上、どうしても攻撃されるリスクは・・・」
「問題ないニャ!是非、我が輩をコキ使ってほしいニャ!ボロぞうきんになるニャ!!我が輩は今からボロぞうきんニャ~!ボロぞうきん~♪ボロぞうきん~♪」
キャアシーが、目を輝かせながら、スリスリと頭を擦りつけながらルークドに言う。
「あ、あぁ・・・。」
少し、ルークドは押されてしまう。
(とても、迫害されていた子の発言とは思えないわね・・・)
マリは、そう思うしかなかった。
「ところで、ファイ殿はどうするつもりなのだ?」とヤンは、ファイに聞く。
「俺は・・・・・・」
そのまま黙ってしまう。
すると、ファイは歩いて、棚の前に行くと、そこから一つのボードを取り出してきて、机に置く。
さらに7つのポーンとダイスを、そのボードの上に置く。
「迷っているといったところだ。・・・全員は揃っていないが、今日はまだ時間があるし、暇つぶしにこの”運命ゲーム”をしないか?」
「各自考える時間は必要だしな。・・・いいぜ!ちょうど暇だったし、やるか!」
ルークドは、ファイがやろうと提案した「運命ゲーム」に乗る気を見せる。
「ニャ!久々だニャ。それにしてもニャ、ファイが提案するなんて、珍しいニャ。」
そのキャアシーの言葉に、ファイは、やや一瞬重い表情を見せた。
「ま、まぁな。そういう気分もあるさ。」
「では、拙者も・・・」
ヤンも何気にスッと乗る。
「えぇ~・・・今、この状況でするの・・・。はぁ~随分と暢気ねぇ。」
マリの反応は、微妙だった。
「そうか。そんじゃあお前は、俺たちが楽しくやってる間、精々一人”ぼっち”で見てることだな。あぁ~悲しやつだなぁ・・・。」
マリは、ルークドの煽るような言葉に、恥ずかしがって過剰に反応する。
「(ぐっ!)しょ、しょうがないわね。私が、いなくて始まらないって言うならやってあげるわ。仕方なしに・・・仕方なしに!!」
「お前はただの、数合わせだけどな。だから、最終結果には関係な・・・」
ゴツン!
マリは、ルークド殴った。
「おい!いってーな!何すんだ!!」
「ルークド。あんたの、どこまでも私を軽視した意識・・・ここで叩き潰してあげるわ。後悔することね!!」
マリは、やる気に満ちた目で、まるでメラメラと背後に炎を燃やすような雰囲気で言う。
それに対し、ルークドも対抗心を露わにする。
「へぇ~・・・お前が、俺よりいい運命になるとは、とても思えないけどな・・・。どんな最低な運命が見れられるか楽しみだなぁ・・・!」
お互いにバチバチとメンチを切って、殺気を放つ。
(こ、怖いニャ・・・)とキャアシーは怯え、
(そ、そこまで本気にならんでも・・・)とファイは、思い、
(・・・拙者はこのポーンにするか。)とヤンは、ポーンを手に取ったのだった・・・。




