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イメチェンでお悩みならこちら~入門編〈カットスタイル②〉

 いらっしゃい。

 あら、この前の方。お元気でいらした? どうぞこちらへ。


 昨日、会社帰りに通りかかったら閉まってた? そりゃそうよ。うちは六時までだもの。早いですって? だから言ったでしょ? 馬車馬のように働かなくて済んでるって。


 髪だって、本当は会社帰りの遅い時間に施術するのは美に反するのよ。夜型はバイオリズムが崩れるもの。

 でも忙しい現実世界じゃそうもいってられないから、どの店もそこに目を瞑ってニーズに応えてるのよ。

 美を追求するなら、できれば日中、時間に余裕のある日にやりたいものよね。

 お客様だって、疲れの溜まった夜の美容師より、昼間のピチピチした美容師のほうがいい結果を得られると思うわよ。


 あらヘンな方向に行っちゃってるわね。本題に入りましょうか。


 カットのお話だったわね。面長のあなたに似合うスタイル選び。


 横にボリュームが出やすいスタイルはミドル。中くらいの長さだってお話ししたわね。

 ミドルにも幅があって、意外とスタイルは色々選べるの。


 このスタイルブックを見て。


 なんだか多すぎてよくわからない? 

 そうね。迷ってるときにいきなりこれ見たらワケわかんなくなるわね。

 だからこれを見る前にミドルに絞っておいたのよ。失敗しないスタイル選びには絞り込みが大事よ。

 大抵のスタイルブックはショート、ミドル、ロングに分かれているわ。だからあなたはまずミドルのページを開きましょう。


 あのね。ぶっちゃけていうと、スタイルも基本はボブ、グラデーション、レイヤーの三つなの。


 ボブは昔でいうおかっぱ。今のあなたはこれのロングよ。

 レイヤーはズバリ段カット。トップの長さが短いわ。サイドや襟足の長さはお好みよ。ショートレイヤーといったら、日本人男性の七十パーセントはこれじゃないかしらね。

 グラデーションは、レイヤーではあるけれど、上の長さがレイヤーより長めで、裾の長さは短いの。

 その昔、ビートルズが初来日した頃、マッシュルームカットていう、彼らのやってたグラデーションスタイルが有名になったけど、ようはレイヤーの部分が横や裾のほうに集中してんのよ。

 まさかビートルズを知らないとか言わないわよね。

 えっ、名前しか知らない?

 んもう! スマホで検索しなさい。


 まあとにかく。

 この三つのスタイルにショートかミドルかロングがついて、パーマでくるくるしてるか、ストレートか。あとはすきバサミでギザギザ、つまりシャギーをどのくらい入れるか。これでスタイルは作られるの。


 あら。こう言うと簡単そうだわ。


 でもよくよく考えると、長さが三つ、基本スタイルが三つ。パーマ、ストレート、シャギーの選択が三つ。しかもパーマは強いか中くらいか弱いか、の三つ、シャギーもたくさん入れるか少なめか。

 最低でも3×3×3×3×2通り。うわぁ、たくさん

 だからヘアスタイル雑誌は毎年新刊が出せるのよ。


 さて、あなたはミドル、しかも横にフワッとボリュームがほしいわね。

 ボリュームの出るカット。それはレイヤーよ。段がついていると、根本がつぶれないから髪に動きが出やすいの。逆にストレートのボブだとボリュームは出にくいわ。

 面長の人はトップにボリュームはあっちゃ困るわね。

 トップはボリュームがなく、横にはボリュームがある。そんなスタイル……そう、それはトップが長めのレイヤー、つまりグラデーションよ。

 面長の人はモンクなしにグラデーションが似合うのよ。

 これは何も他のスタイルは似合わないってわけじゃないわ。

 スタイルは工夫しだいよ。

 ロングだってショートだって似合うものはあるわ。ただこの二つには工夫が必要で、グラデーションなら工夫はいらないの。


 よく、お客様から打ち明けられるのは、『ヘアスタイルの切り抜きを持っていったら、このスタイルはあなたには似合いません、って断られて違う髪型にされちゃった』って話よ。

 全くもってヒドい話だわ。

 いい? 似合わないですって言われたら『この美容師さん、ヘタクソね』って笑っていいわよ。

 似合わないんじゃないの。似合わせることができないの。それに近いスタイルを提案する能力がないのよ。

 そりゃあね。美容師には、その方にもっとも似合うスタイルがわかるわよ。

 でもね。どんなド田舎でも、真のプロはぜったいそんなこと言わないわ。だって私たちは接客業、お客様は神様ですもの。

『わかりました。お客様により似合うように、ちょっとここだけ変えましょう。いかがですか?』

 って言うのよ。


 お客様が自ら見本を持ってくるとき。それは必ず理由があるの。

 憧れてたけどできなかったとか、そのモデルさんがとてもステキに見えて、自分もやってみたくなったとか、今のスタイルは飽きちゃったから、ちょっと変えてみたいとか。

 そんなことも察することができずに、美に対する好奇心や憧れをバッサリ『似合わない』で切り捨てるような美容師は失格よ。

 

 あら、つい力が入っちゃったわ。ごめんあそばせ。むかーし色々あったもんだから……。

 あたしだってね。もともとはあなたと同じシロウトよ。


 さあ。

 じゃあイメチェンを希望するあなたにはショートからミドルのグラデーションがイチオシ。

 レイヤーは横にボリュームがくるようにセットするテクニックでカバーできるし、ボブなら横にボリュームが出るようにパーマをおすすめするわ。

 どのスタイルでも、長さを今のロングからミドルに変えるから、イメチェンにはぴったりよ。


 え? 面長だとロングはだめなのかって?

 バカね。言ったじゃないの。工夫次第だって。

 せっかくだから、まずはロングでイメチェンして、徐々に短くしていきたい?

 おやまあ。根性が出てきたわね。

 いいわよ。梅さんの辞書に似合わないの文字はないのよ。

 ちょっと休憩して、このあとあなたに似合うロングスタイルを考察してみようじゃないの。

 

 ではね。お茶を入れてくるわ。

 少しだけ待っていてちょうだい。



大丈夫。どんな長さでも、あなたに似合うシルエットが必ずあるのよ。さ、話はグッと深まっていくわよ~。

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