表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

即興小説

宇宙本棚

作者: 音海佐弥

「即興小説」で執筆した作品の改稿版です。

2015/7/27 お題:小説の中の幻覚 制限時間:15分

 宇宙人を見た――とボクが伝えた人の中には、信じてくれる人は誰もいなかった。

 たいていの人は、『マジかよこいつ』『頭大丈夫か』と蔑みの目を向けてくるものだったし、『この猛暑にやられたか』『いい病院紹介しようか?』と嘲るヤツらもいた。彼らの意見を総合すると、こういう結論になった――『幻覚を見たか、もしくは狂ったか』。

 ボクは思った。幻覚だなんて、そんな夢のないコトを言うヤツらは放っておけばいい。ボクがほんとうに宇宙人を見つけてとっ捕まえたとしても、ヤツらには絶対に見せてやらない。

 その夜もボクは、前日にUFOの光を見た野山に足を向けていた。一、二時間もして、そろそろ蚊に刺された鼻の頭のかゆさが限界になってきた、そのときだった。

 頭上に、一条の光が閃いた。

『あ……っ!』

 声を上げる間もなく、その光に照らされたボクは、遥か上空まで吸い上げられて行った。

 やっぱり、彼らは幻覚なんかじゃなかった!

 それが、ボクとベテルギウス星人との、最初の出会いだった――。


「おいウィリー、またその本読んでんのか」

 ウィリーと呼ばれた彼の手には、古めかしい一冊の本が抱えられている。

「なんだ、“地球人”の本じゃねえか。なんつったっけ……SF小説? われわれベテルギウス星人が数百年前に滅ぼした種族が書いた小説なんざ、読んだって次の宙空浮遊試験には通らねえぞ」

「うん……」

 ウィリーはそうつぶやいて、ぼろぼろの本を棚に戻した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ