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新世界へ  作者: 戸雨 のる
誤-5-
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イツキ

 世界の境は崩壊しつつある。既に、校舎内は繋がり始めていた。混沌はこの場から始まるのだ。傀儡が散り、世界を広げる。全てが常に覆われるまで、僕は高みの見物でもしていようか。

「空が……」

 雲がゆっくりと、崩壊の序曲を奏で始めた。姿を隠す太陽を僕の宴へと導き出す。眩い光が校舎を照らし、赤黒い海に反射する。

 生存者は、どのくらいいるのだろう。

 操り、殺め。半数は既にこの世界の住人ではなくなっている頃合いか。もっとも、生存者が何人かなど、僕にはあまり興味がないのだが。

 ただの餌の生死など、いちいち構ってやる必要もない。使える人間の方が少ない。残したいのは、ただひとり。

 あいつは、利用できる。

 右手をおもむろに伸ばし、黄金色の反物を撫でた。愛しい、僕の宝物。艶やかで滑らかで、眩く妖しく美しく。

 目を細め、一本の糸を摘まむ。仄僅か、特別な糸。僕はそれを慈しむように、丁寧に手繰り寄せた。

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