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海の幸ってなんですか?

執筆モードに入っている内にこの作品の更新も



 勇者が言ってみれば「神の使いっぱしり」だというのは理解した。


 じゃあ、魔王ってなに?


「世界チャンピオンみたいなもんじゃな。魔王の称号なんぞチャンピオンベルトの様なものじゃ。魔族、魔物で一番強いのが魔王だ。大概、その世代で隔絶した強さを持つ者がなるので、タイトルマッチとかは滅多にないがの? ほれほれ、尊敬してもいいんじゃぞ? 取りあえずゴマのおはぎをもらおうかの?」


 「ご主人様、スマ子はキナコのおはぎが欲しいです!」


 「私は餡子のをもらおうか、お茶も欲しいな!」


 「わちしはゴマとキナコを一個ずつもらうにゃ!」


 なんで勇者と魔王と一緒に旅しなきゃいけないんだぜ?



 ◆

 ◆



「こっちの方が何かうまいものがありそうだ」との勇者の一言で、俺たちは西へと向かった。


 俺にしてみれば、そもそもが目的も目的地も無い。

 勇者が「行く」と言ったら従わざるを得ない。

 無駄に自信たっぷりな勇者だが、こと食い物に関してはその発言は外れたことが無いため、俺も内心はその「うまいもの」に期待はしている。


 スマ子は人間サイズに成れる様になったとはいえ、自分の足や羽を滅多に使わず小さいままで、俺を乗り物兼食料庫として活用している。


 ネコの神官さんは時々それを羨ましそうに見ているが、ネコそのものに変身するならともかく、そうでないなら流石に運べない。

 もしネコになれるなら、運ぶ前に当然モフり倒させてもらうがな!?

 腹に顔をうずめてフガフガもさせてもらいたい!


 毛並み自体は今でもモフモフなんだけどな。

 流石に人に近い状態でやったらセクハラだ(ネコになっても本人の意識があればセクハラだって? こまけえことはいいんだよ!)。


 女性に囲まれた状況だってのにハーレム臭の痕跡すら無いってのはどういうことなんだろうね?

 俺にそういうのは似合わないとかそういうのは置いておいて、こう、潤いっていうか、そういうものが欲しいトコじゃね?


 レベルは嫌になるほど順調に上がっている。

 オムライス、肉巻きオニギリ、天むすなどのバリエーションも増えたところで、何故か唐突におはぎが召喚出来る様になった。


 甘いもの好きなスマ子だけでなく皆喜んだ。

 俺もこういう甘味は久々だったので嬉しい。


 だが、嫌な意味で「デザートは別腹」ということを理解する羽目になるとは思わなかった。

 レベルが上がって、オニギリ召喚では勇者の怒涛の責めにも耐え切れるようなってきたところで、おはぎが召喚出来る様になって「食後のデザートとしておはぎを!」との攻撃。

 奮闘空しく俺は気絶した。


 復活するとお茶を請求された。

「おはぎには緑茶!」なのだとか。

 まあ、確かにそれは俺もそう思う。

 しかし、容赦とか遠慮とか無いのかよ!

 常識人枠に見せといて、ネコ神官さんも食う時には手加減無しだし。

 勇者を制止することも無いし。

「勇者は誰にも止められないし、止めちゃいけない存在にゃ!」


 そっすか・・・。



 ◆

 ◆




 勇者一行である俺たちがたどり着いたのは港町だった。

 海なんだが、南国リゾート的な色合いでは無く、冬の日本海的な色合いだった。

 まあ、食い物的には期待出来るだろう。

 勇者のお墨付きだしな。


 普通は宿なりなんなりを探すところだろうに、そのまま魚市場に直行。

 勇者だけでなくネコ神官さんも美味いものを求めてどこかに行ってしまい、俺が取り残される形になった。

 スマ子は人の頭の上でゴマのおはぎを食べている。

 俺の髪の毛はゴマまみれだ。


 漁師のおっちゃんやら、おばちゃんやらが俺の周りに集まってきたんで、なにごとかと思ったらおはぎが欲しいらしい。

 ある意味実演販売か?

 美味そうに食ってやがるんだろうなぁ、スマ子は。

 見返りを期待しつつ振舞うと、まあ、なんというか、甘いものはこの国ではなかなか果物以外は無い事もあって、凄い人気となった。


 見返りも、俺の両手には抱えきれないほどになって、どっかからおっちゃんが持ってきてくれたタライからも溢れそうになり、荷車一台に山盛りとなった。


 ウニとか、カニとかエビとかアワビとか、高そうなものがゴロゴロある上に、魚の方も新鮮で型のいいものが盛り沢山。

 まあ、こんだけあっても勇者が戻ってくればあっさり食い尽くされるんだろうけどな?

 で、気が付けば、一緒になっておはぎを食ってた角の生えたねーちゃん。


 それが魔王だった。


 元々がのほほん日本人だからなのか、それとも勇者のそばに居て麻痺してしまったのか、強さとかオーラとかを感じることは全く出来ないが、「魔王だ」と自称されてあっさりと何故か納得。


 食い物につられてか戻って来た勇者と敵対している感じも無いし「じゃ魔王って何?」との俺の疑問への答えが「チャンピオンベルトみたいなもん」であったのだ。



「魔王と勇者が同一パーティーって前例あるの?」

「「ないな」」

「いいの?」

「あまり望ましいとは言われないな」

「ズルいぞ、勇者! そう言っておはぎとおむすびを独占する気じゃろ!」

「オニギリくんのおむすびは私のものだ!」

「まあまあ、ここはわちしにおかかを譲るにゃ」

「ご主人様、半殺しってなんですか?」

「ええーい! 俺は俺自身のものだ!」

「「「「ないな!」」」」


 え~っ!?

 ないの?



 ◆

 ◆



 山盛りの海の幸、魔王が時空魔術で収納した。

 さんざんっぱら勇者の戦うところを見てきた俺だが、こういう技は勇者は使えないため「ファンタジーらしさ」に感動した。

 普通なら持ち逃げとかを警戒するところ(なんせ、その日の水揚げの最上級が全部来たって感じだし)だが、魔王が俺たちについてくる気が満々で、逆に置き去りにされないか警戒しているくらいなので全く問題は無い。

 時空魔術での収納は中の時間が止まるということで、いつでも取れたて新鮮な海の幸にありつける。

 山の中で「山海の珍味」づくしなんてことも出来る。

 うん、こう考えるとこの一行で魔王が一番役に立つんじゃね?


 でだ、そうやって今日手に入れたものを後回しにして、俺たちがどこに居るかと言うと、あの後やってきたこの辺の網元の屋敷に招待され、接客用の離れに通されて海の幸尽くしを振舞われているのだ……俺以外。


 俺はというと、おむすびを出し、おはぎを出し、お茶を出し、勇者に絡まれ、スマ子にからかわれ、ネコ神官さんにおかかをねだられ、魔王に酒を強要され、全然、海の幸を楽しまない内に轟沈してしまった。


 なんか途中から網元や網元の家族、使用人、近所の漁師、旅の商人なんかも屋敷の敷地内に入ってきて、祭りの様な感じになっていたのを魔王に酒を飲まされてあいまいになっていく意識の中で見ていた。


 そして、今日、俺が意識を失っていた間の話で決まったらしいが、俺たち一行は港一番の腕利きだという漁師の船に乗って沖を目指している。


 クラーケンだけでも災難なのに、巨大なシーサーペントまで出現して、漁も実はあれで半減、商船などはこの辺りを航路から外して災難を避けていて、色々と物価も上がったりと大変な状況になっていたというのだ。

 そうして落ち込んでるところに、おれのおはぎが久々の「いいこと」だったため、お祭り的な騒ぎになってしまったのだとか。


 しかし、クラーケンにしろシーサーペントにしろ、海のボスクラスのモンスターなのに、「食材」「海の幸」としか見れないのは何故なんだろうな?

 まあ、勇者と魔王がタッグを組んで、しかもその両者とも食い意地がはっているとあっては仕方の無いことか……。





 完全なオーバーキルで倒されたクラーケンとシーサーペントが、勇者と魔王によって浜に引きずり上げられ、その場で解体が始まり、すぐさま調理されていったのは言うまでも無い。


 ……そして、俺がまたおむすびとおはぎとお茶の供給マッシーンとなったのも言うまでも無い。





書く勢いがある作品書いてると、その勢いで他の作品も書けるんです^^;

その結果が今の有様なんですが(´・ω・`)

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