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お祭りってなんですか?

ネコ神官さん回?


 さて、次はどこに行くかとの話に「わちしはお祭りに行かなくてはならないのにゃ」とネコ神官さんが言い出した。


「あー、あの……」

 勇者も魔王も、俺以外は知ってる様だ。


 ネコ神官さんの信仰する神は海と漁師の神。

 その祭りは「実に酷いものにゃ……」と言うくらい問題のある祭りだそうだ。


「なんせ、死人が出る年があるからな、あれは……」

「まあ、優勝者への加護がガチだからのう。加護の続く一年で新しい漁船が買えるくらいのご利益があるから、漁師たちが目の色変えて当然じゃな」

「スマ子知ってるよ、それでも最初のころに比べるとずいぶんマシになってるって。昔は競い合うんじゃなく殺し合ってたんだって!」

 なにそれ?


「治療要員として、どうしても行けない者以外は神官全員参加なのにゃ。そもそもがウチの神官がほぼ全員治癒魔法が使えるのは、この祭りのためなのにゃ」

 喜んでとか使命感で行くという訳ではないようだ。


 割と神と人の距離が近いこの世界の場合、そういうのサボると神官資格取り上げられたり、天罰下ったりしそうだもんな。

 やっぱ、神はろくでもない。


「なら、総本山行きか、あそこも魚が美味いからな、よし行こう」

「神にはあまり関わりたくないのだがのう、祭り見物はしてみたいが」

 勇者は賛成、魔王は消極的賛成。

 スマ子?

「これは撮影しなくては! 腕が鳴りますね!」

 お前、撮影機能付いてたんかよ!?



 ◆

 ◆



 そんなこんなで、ネコ神官さんの信仰する海と漁師の神の総本山へ。


 海と漁師の神だけあり、海に臨む丘の上に神殿が存在する。

 ネコ神官さんは重い足を引きずって神殿に、俺らは門前町でもある漁港の街に繰り出している。


 普通の道は他所の町と同じ感じだが、港から神殿に続くメインストリートの道幅が異様に広い。

 なんか広過ぎないか?


「この大通りは神殿が出来た頃はこれほど広くなかったそうだぞ、祭りのためにだんだんと広くなり、今では国内で一番広い道になっているのだ、炒飯10個と天むす8個、それに肉巻きおむすびを12個もらおう!」

「港から自分たちの乗る漁船を担いで競い、最初に神殿に着いた船が加護を受けられるのじゃからのう。これでも祭り当日になれば、狭く感じるほどじゃぞ、ツナマヨ、カニマヨ、焼き鮭10個ずつじゃ」

「スマ子は胡麻のおはぎと混ぜご飯のお稲荷さんを3つずつ!」

「わちしにおかかを20個寄越すにゃ……」

 疲れ切った顔のネコ神官さんが顔を見せるなり、おかかを要求した。


 大変なのって祭り当日なんじゃないの?


「今の大神官様が来年で引退するのにゃ、何をとち狂ったのか、わちしを次の大神官に推薦したバカが本山に居るのにゃ、わちしは死んでも御免なのにゃ!」

 お、おう……。

 こう見えて、ネコ神官さん、あんま信仰心そのものは無いもんな。

 海と漁師への感謝は同門トップクラスだろうけど……。


「あー、うん、頑張れ! オニギリくん、中華ちまきの肉と餡子8個ずつ!」

「最悪、逃げてしまえばよかろう。ジャンバラヤと竹の子ご飯7個ずつじゃな」

「スマ子知ってるよ、そういう時は別の誰かに押し付ければいいって。ご主人様、きな粉とふつうのおはぎ2個ずつください」

 その後も愚痴りつつおかかをはじめとするおむすびを食べまくっていたネコ神官さんだったが、漁師がコスプレした様な浅黒い肌に筋肉質の神官たちに見つかると神殿へ連行されてしまった。


 なんとか乗り切って欲しい。

 なんだかんだでやっぱりネコ神官さんが一番まともだからな。

 居なくなると俺が厳しい。



 ◆

 ◆



 そして祭り当日、参加者やその家族、観光客や地元の応援客、海産物系の屋台も色々出ていて、勇者も魔王もおむすび片手に色々な屋台の料理を片っ端から手を付けている。


「ふむ、飛び入り参加はありか?」

 なんか、魔王が恐ろしいこと言ってるぞ?

「見ているだけというのもつまらないな、オニギリくん天かすとオムライスと鶏唐を6つずつもらおう」

「幸い、漁船はあるし、妾と勇者の2人だけならいいハンデになろう。ジャンバラヤと炒飯と焼きたらこを7つずつじゃ!」

 俺が参加させられることは無さそうだけど、止めてあげて、漁師さんたちは生活もかかってるんだから!

 参加するなら優勝は絶対にしないでね!?


「ここは応援するところじゃろう、おはぎと稲荷を4つずつ」

「そうだぞ、最初から勝とうとしないのは祭りの精神に反する! というわけでごま塩と豆ごはんと五目おこわを7つずつ!」


 スマ子は参加者の上空をゆっくり飛んでる。

 自分でアナウンスしながら撮影でもしてるのかもしれない。


 あれ? 勇者と魔王、マジで参加しにいったのか?

 えらく久々の一人きりだな。


 どっかの店入って、ゆっくり見物したいトコだけど、今からじゃ空いてるトコないか?

 この人混みだもんなぁ。


 と、辺りを見回していると、肩にポンと手が置かれた。

 振り返るとさらに疲れ切ったネコ神官さん。

 俺は何も言わず、おかかのおむすびを差し出した。



 ◆

 ◆



 結局、勇者と魔王は3位だった。

 祭りにかける漁師スゲー!!

 

 幸い、今年は死者は出なかった模様。

 ただ、勇者と魔王のせいで、リタイアは多かったそうだ。

 3位止まりだったの、そっちに精を出し過ぎたせいなんじゃねーの?


 ネコ神官さんは、なんとか次期大神官は回避。

 実に晴れやかな表情だ。

 

 でも、俺聞いちゃったんだよね、神官たちが話してるの。

「次の次はあの人で決まりだな」って、反対者ゼロ。

 せっかくの開放ムードに水を差す気は無いから言わんけど。


 優勝者はもう漁に出てる。

 すでに加護は始まってるからな。

 5人組でシャチ、セイウチ、トドの獣人と竜人2人。

 この5人相手に2人じゃ、戦闘ならともかく漁船担ぎレースじゃ無理だ。

 他も上位の漁師はゴツイ集団だったし、3位は大健闘だったみたい。


 今回は気絶しなかったなぁ、などと思ってたら、祭りの打ち上げで、神官たちやら漁師たちやらにたかられて、順当に気絶した。

 屋台の食い物美味いじゃん。

 そっちで満足しとけよ!

 なんかスゲー髭の長い赤銅色の肌の爺さんとかまでおむすび食いまくってたし……。


 え?

 あれが今の大神官?

 あと10年は現役平気そうじゃん!

 今でも素潜りで魚突いてるの?

 うーん……。


 ネコ神官さん、大神官になっても平気そうじゃね?



さて、次は何を書くか

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