3.魔王
「......で、あなた様はガチでホンモノの魔王であり、俺がガチで今日からあなた様の下僕である、と......」
目の前にいる魔王は両手を腰にあて、無理やり正座させられている俺を見下していることがよくわかるポーズで「そうだ」とあっさり言いやがると、部屋をぐるりと見回して、
「椅子はどこだ」
そう言った。
「へ?」
俺の口から間抜けた声が漏れる。魔王は呆れたように長いため息をつき述べた。
「魔王が勇者を迎える場合、大体は椅子に座っているであろう?」
「えっあ、はい......」
「だから、椅子」
なんとも説明力のない魔王だ。
「いやいやいやいや!!つまり!あなた様はここを拠点、魔王城して、ここで勇者を迎え撃つ気ですか!!??」
俺は魔王が多分言いたかったことを問いとして訊き返す。すると思った通り、魔王はあっさりと答える。
「?当たり前であろう」
「ええぇぇ......」
「文句あるのか?」
「いえいえ滅相もございませぬ魔王様」
この後、話を少し聞いてみたところ、
⒈何故ここに運ばれてきたのかは不明
⒉数日前までは、ちゃんと魔王城にいた
3.しかし、魔王でありながら、世界征服などの夢をもたずダラダラと毎日を過ごしていた
4.その毎日にイライラしていたジイという人物の怒りが爆発
⒌魔王としての自覚を持つためどこかで修行をしてこいと言われ段ボールに突っ込まれた
⒍それからは知らない
「はあ......つまり、ここに辿り着いたのはそのジイっつう奴が適当に住所を書き、それが俺のとこだったと」
「多分、そうであろうな」
ジイめ......なんてことを......。
......?
「でもよぉ魔王様」
「なんだ?」
「ここに勇者が来るっつうことはまずねぇんじゃねーの?」
「何故そう思う」
説明力もない上、理解力もない......だと......?普通に考えて答えは一つだろ!!
「ここは一般人の家、それにあんたら魔王城のある所とはすんげー離れてるわけで、魔王がこっちにいるだなんて思いやしねぇはず」
「ふむ......」
『ピンポーン』
チャイム音がなる。そういや今日は友達の神田悠斗(と書いてロリコンと読む)と遊ぶ予定だった。
「ちょっと待ってな。出てくっから」
「待て。もしかしたら勇者が来たのかもしれない。我が迎える」
「だから勇者は来ねーって言ったのに......」
いや、勇者でなくてもロリコンの悠斗が魔王を見たらどうなる。考えなくともわかるであろう。即警察のお世話となる。ということは......。
「魔王!!開けちゃダメだ!!」
「え」
遅 か っ た 。
「ぁ......?」
「き、ききき、貴様......勇者、なの、か?」
魔王を見て鼻血を出す勇者がどこにいる。
「きゃっわぃぃぃいいいい!!!!」
「うおぁぁああああ!!!!離せぇぇええええ!!!!」
「魔王ぉぉおおおお!!!!」
「詩音んんん!!!!貴様いつこんな可愛いロリ少女とフラグを立てやがったんだぁぁあああああ!!!!」
「違うわアホぉおおおおお!!!!」
それよりまずは変態からの魔王救出だ!!
「悠斗!公園で小1の女の子達がかくれんぼやってっぞ!!」
「なぬぃ!?」
「魔王!!こっちだ!!」
「おおお、おおおう!!」
ナイスキャッチ俺!!とりあえず魔王救出成功!次は誤解を解かねーと......。




