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仲直り

 家に帰った後、心配してるお母さんにも何にも言えず、ご飯もほとんど喉を通らなかった。頭の中では、さっき言ってしまった言葉と、君に謝らなければという思いが胸に渦巻いていた。でも、とても怒っている様子だった君にどういえばいいのか、考えても考えても思いつくことが出来なかった。


 次の日学校に行っても、君は目を合せてくれなくて、合ってもすぐにそらされてしまって、余計に君に言葉をかけることができなかった。それに、どう謝ればいいのかもわかっていない僕には、君に声をかけることなんてできなかったんだ。3日経っても事態は変わらず僕はひたすらどうすればいいのか考え続けていた。


 その時、少し熱っぽさと体のだるさを感じていたんだけれど、それよりも君とどうやって仲直りすればいいのかに、考えが傾いていて、自分の体調の悪さなど、どうでもよかった。


 僕はどうしても、君と喧嘩をする前の状態に戻りたくて、全てを話すことにした。君の話を聞いて、僕がどう思ったのか、どうして君にあんなこと言ってしまったのか、全て話して許してくれるまで、謝ろう。やっとそう決心した。


 次の日の、昼休み僕は君に一生分くらいの勇気を出して、話しかけたんだ。君は、しぶしぶながら僕と話をしてくれたね。そして、僕はお父さんのこと、君に抱いたあの時の気持ちを全て正直に話したんだ。そしたら君は、


 「お前なー。俺のこと子供っぽいって言ったけど、お前のが子供みたいだぞ?ちゃんと正直に謝ったし、許してやる!でも、今度はないからな?」


 「うん、ごめんね。ありがと。ほんとにごめんね。」


 嬉しくて、涙が滲んできた。そしたら君が僕にもっと嬉しい事を言ってくれたんだよね。


 「あのさー。お前の父さんがさ、やってくれねーんだったらさ、俺がやってやるよ。俺とやろうぜ。キャッチボール。」


 あのいつもの太陽みたいな笑顔を浮かべて言ってくれたんだ。


 「いいの?ほんとにやってくれる?」


 「ああ、約束な。その代り、練習しろよな?俺が教えてやるからさ。」


 「うん、頑張るよ。練習する。教えてね。頑張るから。」


 久しぶりに笑顔で家に帰った僕に、お母さんが、安心したような顔で笑ってお帰りって言ってくれた。

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