手術の日
先生の話を聞いてから一週間後、僕の手術は行われた。この日も、お父さんとお母さんが朝から来てくれて、不安な気持ちでいた僕を、いろんな話で紛らわせてくれた。お父さんは最近よく病院まで顔を出してくれる。
「お父さん、仕事忙しくないの?最近よく来てくれるし、嬉しいけど大丈夫なの?クビになったりしてないよね?」
って僕がきくとお父さんが大笑いしながら、
「お父さんはこれでも優秀な社員なんだぞ。今まで仕事がすっごく忙しくて、春樹にかまってやれなかったからな。入院して退屈してる、春樹に会いに来ることのほうを優先したって大丈夫なんだよ。それに、お父さんは社長さんにだって信頼されてるんだから、クビになんてならないさ。」
そんな話をしていると、看護師さんがそろそろ手術室へって呼びに来た。
朝一番で行われた手術がいつ終わったのか、手術後でぐったりしていた僕にはわからなかった。堪えず点滴で流される痛み止めで、意識がもうろうとしていたのもあったけど。痛みで、一週間以上動くことすらできなくて、なんでこんなことになったのかなーって、ボーっとした頭で考え続けていた。なんか、手術が終わった後、もうろうとしている僕に話しかける、お母さんの目が泣いたあとみたいに腫れていたような気がするんだけど。気のせいだったのかな。なんか、お父さんの様子も変だったような気がするし・・・・。痛みが引いてきて、楽になった時に聞いてみたんだけど、気のせいだって笑っていたから、気のせいなんだろうけど、なんか少し引っ掛かるような気がして、もう一回話しかけようとしたところで、先生が病室にやってきた。
「春樹君、痛みも引いてきたみたいだし、後一週間くらい様子を見て、大丈夫そうなら、一回お家に帰ってみようか。こないだ言ったこと、きちんと守れるなら帰ってもいいよ。」
「えっと、学校に行く時はマスクをして、体育は休むことと、感染しやすいから、外で遊ばないってことだよね?」
「そう、それと病院に定期的に検査しに通ってきてもらうことと、調子が少しでも悪くなったら病院に来ること。感染症を甘く見てたら大変な目に遭うからね。いいかい?約束できる?」
「わかりました。必ず守ります。」
こうして僕の一時退院は決まった。