お見舞い
君は僕が入院してから、必ず週に一回授業のノートや、本を持って、お見舞いに来てくれたよね。でも強い薬の影響で、ボーっとしてたり、うとうとしていることも多かった。でも、それでも君が一生懸命話しかけてくれたり、学校のこと、他の友達のこと話してくれているのは、ぼんやりした意識の下でもわかってたんだ。
薬はほんとに強くて、吐き気もひどかったし、体のだるさは体中に何十個もの重りをつけられているかのようにひどかった。でも、その体調の悪さの間に気分が良くなる時があって、その間に君が持ってきてくれたノートや本を読んだんだ。でも、気分が良くなるのは本当にわずかな時間で、なかなか目を通すことができなかったけど。
入院して一ヶ月くらいたった時、森野先生がやって来て、
「春樹君、感染が臓器に移ってないか見るためにちょっと手術しないといけないんだ。チョチョイっとみてみるからさ、頑張れるかな?」
「手術するんですか?こんなにしんどい薬飲んでるのに?」
「うん、薬の効果とか見るためにも必要なんだ。もしこれで、状態が良かったら一回家に戻ってもいいよ?」
「ほんとですか?でも、一回ってまた入院しないといけないってことですか?」
「うん、春樹君の感染症はね、何回かに分けて薬を体に入れないといけないんだ。それでね、しばらくは体がその感染症のせいで、いろんな病気の菌を取り込みやすい体になってるから、外で遊んだりするのは、やめておいてほしいんだ。学校は行ってもいいけど、体育はお休みすることと、マスクを必ずしていくこと。それを守ってくれるなら、手術の結果を見てになるけど、状態が落ち着いたところで、一回家に帰ろうか?」
「どっちにしろ、手術はしないと家に帰れないんですよね・・・・。わかりました。僕頑張ります。よろしくお願いします。」
「うん、頑張ろうね。」
手術って言う言葉は不安だったけど、それよりも家に帰れるんだって思いのほうが強かったから、僕は頑張ろうって思ったんだ。